日本新聞: ドーナツ食べた入所者死亡准看護師に逆転無罪東京高裁

ドーナツ食たべた入所にゅうしょ者しゃ死亡しぼう准じゅん看護かんご師しに逆転ぎゃくてん無罪むざい東京とうきょう高裁こうさい

Jul 28, 2020 16:07

Furigana

7年ねん前まえ、長野ながの県けんの特別とくべつ養護ようご老人ろうじんホームでドーナツを食たべた入所にゅうしょ者しゃが死亡しぼうし、准じゅん看護かんご師しが業務ぎょうむ上じょう過失かしつ致死ちしの罪つみに問とわれた裁判さいばんで、2審しんの東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょは、罰金ばっきん刑けいとした1審しんの有罪ゆうざい判決はんけつを取り消とりけし、無罪むざいを言い渡いいわたしました。今回こんかいの裁判さいばんは医療いりょうや福祉ふくしに携たずさわる全国ぜんこくの関係かんけい者しゃから介護かいごの現場げんばが萎縮いしゅくしかねないと注目ちゅうもくされていました。

無罪むざいを言い渡いいわたされたのは、長野ながの県けん安曇あずみ野市のいちの特別とくべつ養護ようご老人ろうじんホームに勤つとめる准じゅん看護かんご師しの60歳さいの女性じょせいです。平成へいせい25年ねん、おやつの確認かくにんを怠おこたり、ドーナツを食たべた85歳さいの女性じょせいを死亡しぼうさせたとして、業務ぎょうむ上じょう過失かしつ致死ちしの罪つみで起訴きそされていました。

1審しんの長野ながの地方ちほう裁判所さいばんしょ松本まつもと支部しぶでは、罰金ばっきん20万まん円えんの有罪ゆうざい判決はんけつを言い渡いいわたされ、2審しんで被告ひこく側がわは改あらためて無罪むざいを主張しゅちょうしていました。

28日にちの2審しんの判決はんけつで、東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょの大熊おおくま一之かずゆき裁判さいばん長ちょうは「1審しんは被害ひがい者しゃに対にたいするドーナツによる窒息ちっそくの危険きけん性せいを具体ぐたい的てきに検討けんとうすべきだったのにそれを見過みすごしている」と指摘してきし、1審しん判決はんけつを取り消とりけしました。

また、施設しせつでの食品しょくひんの提供ていきょうについて「おやつなどの間食かんしょくを含ふくめて食事しょくじは人ひとの健康けんこうや身体しんたい活動かつどうを維持いじするためだけでなく、精神せいしん的てきな満足まんぞく感かんや安やすらぎを得えるために重要じゅうようだ。身体しんたい的てきなリスクに応おうじて幅広はばひろくさまざまな食べ物たべものを取とることは、人ひとにとって必要ひつようだ」と指摘してきしました。

そのうえで「おやつの形状けいじょうが変更へんこうされていたことは准じゅん看護かんご師しの通常つうじょう業務ぎょうむの中なかでは容易よういに知しることができなかった。ドーナツで窒息ちっそくする危険きけん性せいや、死亡しぼうするとあらかじめ予測よそくできる可能かのう性せいは低ひくく、ドーナツを提供ていきょうしたことが刑法けいほう上じょうの注意ちゅうい義務ぎむに反はんするとは言いえない」として無罪むざいを言い渡いいわたしました。

今回こんかいの裁判さいばんは准じゅん看護かんご師しが有罪ゆうざいとされると、介護かいごの現場げんばが萎縮いしゅくしかねないとして、無罪むざいを求もとめる27万まん人にん余あまりの署名しょめいが東京とうきょう高裁こうさいに提出ていしゅつされるなど、医療いりょうや福祉ふくしに携たずさわる全国ぜんこくの関係かんけい者しゃの注目ちゅうもくを集あつめていました。