二階幹事長「国民のための政治を行う」
自民党の役員人事で続投が決まった二階幹事長は「役員会で、菅新総裁からは、『新型コロナウイルスへの対応をはじめ、さまざまな重要課題について、党と政府一体となってしっかり取り組みたい』と発言があった。党一丸で新総裁を支え、国民のための政治を行っていきたい」と述べました。
政治経験が豊富で党内外に幅広い人脈
幹事長に再任された二階俊博氏は、衆議院和歌山3区選出の当選12回で、81歳。
二階派を率いています。
和歌山県議会議員などを経て、昭和58年の衆議院選挙で初当選し、平成5年に自民党を離党したものの、新進党や自由党などを経て、平成15年に復党しました。
これまでに経済産業大臣や党の総務会長などを歴任し、4年前の8月からは幹事長を務めていて、今月8日に幹事長の在任期間が、政治の師と仰ぐ田中角栄・元総理大臣を抜き歴代最長となっています。
二階氏は、自民党の総裁任期の延長を主導するなどして、安倍総理大臣の政権運営を支えたほか、今回の総裁選挙では、安倍総理大臣の辞任表明の翌日に菅新総裁と会談し、いち早く、みずからが率いる二階派をあげて支持の方針を打ち出しました。また議員外交にも積極的で、中国や韓国、それにベトナムなどと太いパイプを持つことでも知られています。
菅氏は、これまで二階氏について、「政策を実行していくためには、政府・与党が緊密に連携することが不可欠だ。幹事長が党内をしっかりと、取りまとめていただけるので、非常に頼りになる存在だ」と述べるなど信頼を寄せています。
菅氏としては、政治経験が豊富で、党内外に幅広い人脈を持つ二階氏を党運営の要である幹事長に再任することで、政権基盤を安定させるねらいがあるものとみられます。
二階氏は、高校時代、応援団長と生徒会長を務めました。う年生まれで、地元の後援会のマークにうさぎを使用しているほか、ふだん、うさぎがデザインされたネクタイをつけたり、幹事長室にぬいぐるみを飾ったりするなど、うさぎ好きとしても知られています。
佐藤総務会長「全会一致を念頭に円満な総務会の運営を」
佐藤総務会長は、記者会見で「菅総裁のもと、総務会の今までの伝統などを守りつつ、全会一致を念頭に円満に運営し、二階幹事長はじめ、役員の協力を得ながら頑張りたい」と述べました。
党内第2派閥の麻生派幹部
総務会長に起用された佐藤勉氏は、衆議院栃木4区選出の当選8回で、68歳。
麻生派に所属しています。
建設会社の社員を経て栃木県議会議員を務めたあと、菅新総裁と同じ、平成8年の衆議院選挙で初当選しました。
これまでに総務大臣や国家公安委員長を歴任し、現在は衆議院の憲法審査会長を務めています。
党の国会対策委員長を務めた際には、与野党が対決した、集団的自衛権の行使を可能にすることなどを盛り込んだ安全保障関連法の成立に尽力しました。
佐藤氏は、谷垣元総裁に近い議員で作る谷垣グループに所属していましたが、3年前に離脱し、麻生派に合流しました。
菅氏としては、豊富な政治経験を持ち、党内第2派閥の麻生派幹部を務める佐藤氏を総務会長に起用することで、党運営を安定させたいというねらいがあるものとみられます。
佐藤氏は大のゴルフ好きで、ゴルフを通じて与野党の国会議員や官僚とのパイプを築いてきたほか、頻繁に若手議員を食事に誘うなど、面倒見のよさで知られています。また、情報通信などの政策に通じていることでも知られています。
下村政務調査会長「新型コロナへの対応に全力」
下村政務調査会長は、記者会見で「当面の課題は、新型コロナウイルスへの対応だ。国民の命と健康を守るため、ワクチンや治療薬の確保をはじめ、医療機関への支援も全力で対応していきたい。産業と雇用を守り、経済を成長軌道に回復させることで、暮らしの安心を早く取り戻せるような政策を打っていきたい」と述べました。
文科相や幹事長代行など歴任 政策にも精通
政務調査会長に起用された下村博文氏は、衆議院東京11区選出の当選8回で、66歳。
細田派に所属しています。
東京都議会議員などを経て、菅新総裁と同じ、平成8年の衆議院選挙で初当選しました。
これまでに、文部科学大臣や党の幹事長代行などを歴任し、去年9月からは選挙対策委員長を務めてきました。
最近は、新型コロナウイルスの収束後を見据え、新たな働き方やデジタル化など社会の在り方について党内で活発に議論を進めてきました。
菅氏としては、閣僚や党幹部を務めた経験に加え、政策にも通じている下村氏を党の政策責任者である政務調査会長に起用したものとみられます。
また、下村氏が党内最大派閥の細田派に所属していることから、政権基盤を安定させるねらいもあるものとみられます。
下村氏は、9歳の時に、父親を交通事故で亡くし、生活費をアルバイトなどで賄いながら、学業に励みました。
こうした経験から、大学時代には交通事故で親を亡くした子どもたちを支援する活動に取り組みました。
今回の総裁選挙では、当初、立候補を模索していましたが、所属する細田派が菅氏を支持する方針となったことを受けて、立候補を見送りました。
山口選挙対策委員長「“絆” しっかりと選挙対策に」
自民党の山口選挙対策委員長は、記者会見で、「4年8か月、組織運動本部長として、多くの人と関わってきた経験を礎にしたい。新総裁のスローガンである、『絆』ということばは大好きで、しっかりと選挙対策にいかしていきたい」と述べました。
党務が豊富で業界団体とパイプ 菅陣営の選対本部事務総長
選挙対策委員長に起用された山口泰明氏は、衆議院埼玉10区選出の当選7回で、71歳。
竹下派に所属しています。
ガス会社の役員などを経て、菅新総裁と同じ、平成8年の衆議院選挙で初当選しました。
その後、外務政務官や内閣府副大臣などを歴任し、平成27年からこれまで、自民党で業界団体など外部団体との窓口となる組織運動本部長をおよそ5年にわたって務めています。
山口氏は、今回の総裁選挙では、衆議院の初当選同期のほかの議員とともに、菅氏に立候補を要請し、菅陣営の選挙対策本部の事務総長を務めました。
菅氏としては、豊富な党務の経験を持ち、業界団体とのパイプもある山口氏を選挙対策委員長に起用することで、衆議院議員の任期満了が1年余りとなる中、党の選挙体制を固めたいというねらいがあるものとみられます。
山口氏は、趣味のゴルフを通じて党内の人脈を形成しているほか、宴席好きで豪快な飲みっぷりでも知られています。ただ、ここ数年は、食事の際には必ず野菜をとるなど健康にも気をつかっています。
森山国対委員長 IR整備法など与野党対立の法案成立に尽力
自民党の国会対策委員長には森山裕氏が再任されました。
森山氏は衆議院鹿児島4区選出の当選6回で、75歳。
石原派に所属しています。
鹿児島市議会議長などを経て、平成10年の参議院選挙で初当選しました。
その後、山中貞則氏の死去に伴い平成16年に行われた、当時の衆議院鹿児島5区の補欠選挙に立候補し、当選しました。
平成17年の衆議院選挙では、郵政民営化関連法の成立に反対したため、自民党の公認を得られず、無所属で立候補して当選し、翌年、復党しました。
これまでに、農林水産大臣や衆議院農林水産委員長などを務め農業政策に精通しているほか、平成29年からこれまで3年間にわたり、国会対策委員長を務め、カジノを含むIR=統合型リゾート施設の整備法など与野党が対立した法案の成立に尽力しました。
また、今回の総裁選挙では、安倍総理大臣の辞任表明の翌日に、二階幹事長らとともに菅新総裁と会談し、立候補を後押ししました。
菅氏としては、国会対策で実績を重ね、信頼が厚い森山氏を国会対策委員長に再任することで、法案などの審議を円滑に進めたいというねらいもあるものとみられます。
森山氏は、尊敬する人物としてたびたび、明治維新を成し遂げた地元・鹿児島の西郷隆盛をあげています。「農業の振興こそが国の礎になる」という西郷隆盛の教えを大事にしているといいます。
世耕参院幹事長「新総裁を支えていくための十分な体制整う」
自民党の世耕参議院幹事長は、記者会見で「実務タイプの堅実な人が選ばれた。菅新総裁を与党として結束して支えていくために、極めて十分な体制が整った」と述べました。
また、続投が決まった二階幹事長については「誰もが認める手腕で、安倍政権で自民党内をしっかりまとめて、難しい局面で与党が政権を支える構図を作った。政治の安定を考えた時、二階氏の続投は極めて妥当な判断だ」と述べました。