コロナ禍かの大学だいがく “対面たいめん授業じゅぎょう”再開さいかいへの取り組とりくみ

入学にゅうがくはしたけれど…

大学だいがくの授業じゅぎょうをめぐっては、小中こなか学校がっこうや高校こうこうが再開さいかいした6月つき以降いこうも、学生がくせいの行動こうどう範囲はんいの広ひろさや、人数にんずうの多おおさなどから感染かんせんリスクがあるとして、多おおくの大学だいがくが前期ぜんきは遠隔えんかく授業じゅぎょうを中心ちゅうしんに行おこない、入学にゅうがく後ごに一いち度ども大学だいがくに通かよえない学生がくせいがいるなど対応たいおうが課題かだいとなっていました。

後期こうきは授業じゅぎょうスタイルを“選択せんたく”

桜美林おうびりん大学だいがくは、前期ぜんきはオンライン授業じゅぎょうでしたが、今月こんげつ18日にちから始はじまる後期こうき授業じゅぎょうでは感染かんせん対策たいさくを講こうじたうえで、

▽「対面たいめん」

▽「オンラインと対面たいめんの混合こんごう」

そして

▽「オンラインの授業じゅぎょう」を選択せんたくできるようにしました。

後期こうき授業じゅぎょうを前まえに、15日にちは新入生しんにゅうせいに向むけたキャンパスツアーが開ひらかれ、多おおくの1年生ねんせいが入学にゅうがく後ご初はじめて大学だいがくを訪おとずれました。

大学だいがくでは、対面たいめん授業じゅぎょうの再開さいかいに向むけ今月こんげつ、サーモグラフィーを30台だい導入どうにゅうし、37度どを超こえる熱ねつがある学生がくせいは保健ほけん室しつに行いくよう促うながされるということで、早速さっそく、学生がくせいたちもサーモグラフィーのある入り口いりくちを通とおってツアーに参加さんかしていました。また学生がくせいや教員きょういん向むけに開発かいはつされたアプリでは、位置いち情報じょうほうを利用りようして教室きょうしつやカフェテリヤなどに人ひとが多おおく集あつまると赤あかく表示ひょうじされるようになっていて、いわゆる「3密みつ」対策たいさくに役立やくだてることができるということです。

参加さんかした女子じょし学生がくせいは「入試にゅうし以来いらい、初はじめてキャンパスに来きました。オンラインでも前向まえむきに勉強べんきょうしていましたが、友達ともだちに会あえなくて寂さびしかったので、対面たいめんが始はじまってよかったです」と話はなしていました。

また男子だんし学生がくせいは対面たいめんかオンラインか選択せんたくができることについて、「家族かぞくと同居どうきょしているので、数すう百ひゃく人にん単位たんいで行おこなわれる授業じゅぎょうはオンラインで参加さんかできるのは安心あんしんできます。これまで朝あさから夕方ゆうがたまで1人にんで部屋へやにこもってオンライン授業じゅぎょうを受うけていたので、秋あきからは憧あこがれていたキャンパスライフを満喫まんきつしたいです」と話はなしていました。

大学だいがくを運営うんえいする桜美林おうびりん学園がくえんの太田おおた幸宏ゆきひろ総務そうむ部長ぶちょうは「『キャンパスに行いきたい』という学生がくせいもいれば、『もう少もうすこし慎重しんちょうに考かんがえたい』という学生がくせいもいます。オンラインか対面たいめんかは学校がっこう側がわが強制きょうせいするのではなく、個人こじんの判断はんだんに応おうじて選択せんたくできるような仕組しくみを整ととのえていくことで、教職きょうしょく員いんと学生がくせいの協力きょうりょくのもと学習がくしゅう環境かんきょうを守まもっていきたい」と話はなしています。

8割わりは「対面たいめん」と「遠隔えんかく」併用へいよう

文部もんぶ科学かがく省しょうの調査ちょうさで、後期こうきは2割わり近ちかい大学だいがくが全面ぜんめん的てきに対面たいめん授業じゅぎょうを実施じっしし、8割わりの大学だいがくが「対面たいめん」と「遠隔えんかく」を併用へいようすることが、わかりました。

文部もんぶ科学かがく省しょうは、今月こんげつから来月らいげつにかけ後期こうき授業じゅぎょうが始はじまるのを前まえに、全国ぜんこくの国公私立こっこうしりつ大学だいがくや短期たんき大学だいがく、それに高等こうとう専門せんもん学校がっこう、合あわせて1060校こうを対象たいしょうに調査ちょうさしました。

この中なかで、後期こうき授業じゅぎょうの方針ほうしんについて尋たずねたところ、

▽「全面ぜんめん対面たいめんで行おこなう」と答こたえたのは全体ぜんたいの19％、

▽「対面たいめんとオンラインなどの遠隔えんかくを併用へいようする」と答こたえたのが80％で、

99％の大学だいがくなどが対面たいめん授業じゅぎょうを取り入とりいれることがわかりました。

授業じゅぎょうの半分はんぶん以上いじょうを「対面たいめん」は6割わり近ちかくに

併用へいようすると回答かいとうしたところの対面たいめん授業じゅぎょうの割合わりあいを見みると

▽「ほとんど対面たいめん」が20％、

▽「7割わり対面たいめん」が11％、

▽「おおむね半々はんはん」が25％で、

半分はんぶん以上いじょうの授業じゅぎょうを対面たいめんで実施じっしするのは、合あわせて6割わり近ちかくになりました。

一方いっぽうで、併用へいようするとしつつも19％は「ほとんど遠隔えんかく」と回答かいとうしました。

具体ぐたい的てきな対応たいおうとしては、

▽実験じっけんや実習じっしゅう、少しょう人数にんずうのゼミなどを対面たいめんで実施じっししたり、

▽対面たいめんと遠隔えんかくの授業じゅぎょうを同時どうじに行いったりする大学だいがくが多おおいほか、

▽不安ふあんを抱かかえる学生がくせいのメンタルケアのため、相談そうだん窓口まどぐちを設もうけた大学だいがくも9割わりとなっています。

今回こんかいの結果けっかを受うけ、文部もんぶ科学かがく省しょうは対面たいめん授業じゅぎょうの積極せっきょく的てきな検討けんとうや、新入生しんにゅうせいの心こころのケアを求もとめる通知つうちを出だすことにしています。

「対面たいめん」再開さいかいで学長がくちょうらが説明せつめい

前期ぜんきは原則げんそくオンラインでの授業じゅぎょうだった国立こくりつの宇都宮うつのみや大学だいがくは、後期こうきは対面たいめん授業じゅぎょうを再開さいかいすることになり、出身しゅっしん者しゃの多おおい東北とうほく6県けんを学長がくちょうや教授きょうじゅが回まわって、学生がくせいに授業じゅぎょうの方針ほうしんを説明せつめいしています。

今月こんげつ12日にちに、仙台せんだい市内しないで開ひらかれた説明せつめい会かいには学生がくせいや保護ほご者しゃ30人にん余あまりが参加さんかし、大学だいがく側がわは、来月らいげつ1日にちから始はじまる後期こうき授業じゅぎょうは理系りけいの実験じっけんや実習じっしゅうを中心ちゅうしんに対面たいめんの比率ひりつを3割わり以上いじょうに引き上ひきあげる方針ほうしんを伝つたえた一方いっぽうで、県境けんきょうを越こえて通学つうがくする学生がくせいも多おおく行動こうどう範囲はんいが広ひろいことなどから、感染かんせんリスクを考かんがえて遠隔えんかくでの授業じゅぎょうも継続けいぞくすることを説明せつめいしていました。

学長がくちょうと学生がくせいが個別こべつに面談めんだんする場ばも設もうけられ、入学にゅうがく後ご、大学だいがくに通かよえていない国際こくさい学部がくぶ1年ねんの女子じょし学生がくせいが、学部がくぶの雰囲気ふんいきや留学りゅうがくの見通みとおしについて尋たずねると、学長がくちょうがオンラインでも国際こくさい交流こうりゅうができることを説明せつめいしたうえで、将来しょうらい的てきな留学りゅうがくについても諦あきらめないでほしいと話はなしていました。

女子じょし学生がくせいは、「先さきが見通みとおせず不安ふあんだったのでほっとしました。早はやく大学だいがくに通かよって画面がめん越ごしにしか会あえていない友達ともだちに会あってみたい」と話はなしていました。

また大学だいがくでは、経済けいざい的てきに厳きびしい学生がくせいのため、地元じもと企業きぎょうや大学だいがくの教職きょうしょく員いんからの寄付きふを原資げんしに、400人にんを対象たいしょうに支援しえん金きんとして給付きゅうふし、対応たいおうしているということです。

宇都宮うつのみや大学だいがくの石田いしだ朋とも靖やすし学長がくちょうは「オンライン教育きょういくの質しつを保たもつとともに、人間にんげん性せいを育はぐくむさまざまな体験たいけんも必要ひつようで、対面たいめんの場ばや学生がくせいどうしがつながる機会きかいの提供ていきょうが重要じゅうようだと考かんがえている。感染かんせん対策たいさくとの両立りょうりつで難むずかしい部分ぶぶんもあるが、大学だいがくとして学生がくせいに寄り添よりそっていきたい」と話はなしていました。

“学生がくせいが納得なっとくする対応たいおうや工夫くふうを”

萩生田はぎうだ文部もんぶ科学かがく大臣だいじんは、閣議かくぎのあとの記者きしゃ会見かいけんで、「コロナ禍かのもとでも質しつの高たかい学習がくしゅう機会きかいを確保かくほすることは、大学だいがくなどの高等こうとう教育きょういく機関きかんの使命しめいで、学習がくしゅうに慣なれていない新入生しんにゅうせいも含ふくめて学生がくせいが納得なっとくする対応たいおうや工夫くふうをしっかりと講こうじていくことが求もとめられている。今回こんかいの調査ちょうさ結果けっかや大学だいがくなどとの意見いけん交換こうかんの結果けっかも踏ふまえ、授業じゅぎょうを実施じっしする際さいの留意りゅうい事項じこうを整理せいりし、大学だいがくなどに通知つうちする予定よていだ」と述のべました。

また今回こんかいの調査ちょうさ結果けっかについて、文部もんぶ科学かがく省しょうの淵上ふちがみ孝たかし高等こうとう教育きょういく企画きかく課長かちょうは、「前期ぜんきよりも対面たいめん授業じゅぎょうの実施じっしが増ふえており、各かく大学だいがくが感染かんせん状況じょうきょうを見みながら学生がくせいたちの学まなびに対にたいして、より質しつの高たかい授業じゅぎょうを展開てんかいしようと取り組とりくんだ結果けっかだと思おもっている。大学だいがくにおける学まなびというのは、人ひとと人ひととの交流こうりゅうも大事だいじな要素ようそで、感染かんせん防止ぼうしの対策たいさくが大事だいじなのはもちろんだが、対面たいめんによる授業じゅぎょうの実施じっしも教育きょういくの大切たいせつな一いち場面ばめんなので引き続ひきつづき要請ようせいしていきたい」と話はなしています。