国立感染症研究所によりますと、全国およそ3000の小児科の医療機関で、6月25日までの1週間にヘルパンギーナと診断された患者は1万8176人、1医療機関あたりでは5.79人と過去10年間で最も多くなりました。
地域別では、宮城県が1医療機関あたり14人と最も多く、鹿児島県や静岡県でも10人を上回るなど、18の都府県で1医療機関あたりの患者数が警報レベルの「6」を上回っています。
去年の同じ時期は0.58人で、ことしは去年を大幅に上回るペースとなっています。
ことし5月ごろから今月にかけていずれの感染症も患者数が増えていて、例年の4倍から5倍ほどにのぼっているということです。 病院では通常1日に15人ほどの患者を診療していますが、受診希望者が相次いでいることから先月からは1日に30人ほどの診療をしているということです。 それでもキャンセル待ちの患者が発生しているほか、せき止めやぜんそくの薬が不足する状況が続いているということです。 「いとう王子神谷内科外科クリニック」の伊藤博道院長は「RSウイルスやヘルパンギーナだけでなく手足口病などの患者も増えていて、大人も緊張感をもって、小さい子どもに感染させない行動をするよう心がけてほしいです。必要に応じてマスクを着用したり、手洗いうがいを十分にすることで感染症を予防し、症状がある場合には重症化する前に早めに受診してください」と訴えていました。
東京 港区にある小児科の診療所に併設された病児保育施設は、定員が6人ですがヘルパンギーナやRSウイルスなどの子どもで2ヶ月近くの間、ほぼ連日、予約が埋まっているといい、4日午前中の段階で7人がキャンセル待ちの申し込みをしていました。 ただ、キャンセル待ちをしても預かることができない場合もあり、5月はおよそ30人だったのが先月はおよそ90人と3倍に増加しています。 これまでは1回の予約で3日から4日程度、子どもを預けることもできましたが、現在はなるべく多くの子どもを受け入れるために一回の予約で預かる期間を2日に制限しているということです。 3歳の男の子を預けにきた父親は「39度近くの高熱が出ているので預けに来たが、キャンセル待ちでなかなか予約が取りづらい状況だった。きのうは在宅で子どもを見ていたがほとんど仕事にならなかった。これ以上流行すると予約枠も限られているので大変だ」と話していました。 「チャイルドケアばんびぃに」の時田章史院長は「コロナ禍の感染対策でかぜなどにかからなかったために、一般的な感染症への免疫を持っていない子どもが増えたり、免疫が低下したりして、子どもが発熱するような感染症がはやっている。もうしばらくはこの状況が続くのではないか」と話していました。
「RSウイルス感染症」去年を大幅に上回るペース
感染症データ・情報
クリニック せき止めやぜんそくの薬が不足
病児保育施設 予約埋まりキャンセル待ちも
専門家「夏休みに入るまで流行続くと考えられる」