この際、アコスタ記者はマイクを回収して質問を制止しようと近づいた、ホワイトハウスの女性インターンをよけるようなしぐさをしました。
これについて、ホワイトハウスのサンダース報道官は「ホワイトハウスで仕事をしようとしていただけの若い女性に手を伸ばすような行為は決して許されない」という声明を出し、取材するための入館証を無効にし、当面、ホワイトハウスを出入りすることを認めないということを明らかにしました。
アコスタ記者は以前、トランプ大統領から「おまえはフェイクニュースだ」と名指しされるなど、政権に対する批判的な報道ぶりで知られています。
これに対し、CNNは「記者の積極的な質問に対する報復行為で、サンダース報道官の声明では、事実ではない出来事を取り上げている。この前例のない措置は民主主義への脅威だ」という声明を出し、反発しています。
繰り返しメディアを非難
トランプ大統領は、これまでにも自分に批判的なメディアを「フェイクニュース」や「国民の敵」などと呼んで、繰り返し非難してきました。
今回、ホワイトハウスへの出入りを認めないとされたCNNのアコスタ記者について、トランプ大統領は去年1月に行われた就任前の記者会見でも「あなたの会社はひどい。質問させない。あなたのところはフェイクニュースだ」と批判しました。
さらに、ことし1月には、大統領就任から1年を前に、自身のツイッターを通じて「フェイクニュース大賞」と称して、自身が事実ではなかったとみなした報道を発表して、メディアを批判しました。
こうした対立を背景に、トランプ大統領は、毎年開かれるホワイトハウスの記者会が主催する夕食会に2年連続で欠席しています。
この夕食会はおよそ100年の歴史があり、大統領の出席が恒例となっていているだけに、異例の欠席はメディアに大きく取り上げられました。
一連のトランプ大統領の対応は「報道の自由への挑戦」だとして、アメリカの300を超える新聞社が、ことし8月、トランプ大統領に抗議する社説を紙面やウェブサイトに一斉に掲載しました。
こうした抗議に対しても、トランプ大統領は「私が望んでいるのは真の報道の自由だ。報道機関が書きたいことを自由に書くのはよいが、そのほとんどがフェイクニュースだ」として、ツイッターで反論し、大統領とメディアとの対立が深まっていました。