「ディープフェイク」技術ぎじゅつでアダルト動画どうが作成さくせいか 初はつ検挙けんきょ

警視庁けいしちょうによりますと、2人にんは去年きょねん12月つきからことし7月つきにかけて、アダルト動画どうがの出演しゅつえん者しゃの顔かおを合あわせて4人にんの女性じょせい芸能人げいのうじんの顔かおと入れ替いれかえた偽にせの動画どうがを作成さくせいし、インターネットで配信はいしんしたとして名誉めいよ毀損きそんと著作ちょさく権けん法ほう違反いはんの疑うたがいが持もたれています。

2人にんはパソコンとインターネット上じょうのフリーソフトを使つかい、「ディープフェイク」と呼よばれる技術ぎじゅつで芸能人げいのうじん1人にんにつき、およそ3万まん枚まいの画像がぞうをAIに学習がくしゅうさせたうえで、アダルト動画どうがと合成ごうせいしていたということです。

調しらべに対にたいしいずれも容疑ようぎを認みとめ「金かねもうけをしたかった」、「技術ぎじゅつを評価ひょうかしてもらいたかった」などと、供述きょうじゅつしているということです。

このうち林田はやしだ容疑ようぎ者しゃは会員かいいん制せいの有料ゆうりょうサイトを運営うんえいし、およそ80万まん円えんを売り上うりあげていたということで、警視庁けいしちょうは2人にんがこれまでに合あわせて1200本ほんを超こえる偽にせの動画どうがを作成さくせいしたとみて調しらべています。

警視庁けいしちょうによりますと「ディープフェイク」の動画どうがをめぐって、制作せいさく者しゃが逮捕たいほされたのは初はじめてだということです。

京都きょうと府警ふけいもディープフェイク動画どうがで摘発てきはつ

AI＝人工じんこう知能ちのうを使つかって精巧せいこうな偽にせの動画どうがを作つくる「ディープフェイク」と呼よばれる技術ぎじゅつを使つかい芸能人げいのうじんの顔かおをアダルトビデオの女性じょせいの体からだに合成ごうせいした動画どうがを作成さくせいしたなどとして、大分おおいた県けんの30歳さいの男おとこが著作ちょさく権けん法ほう違反いはんなどの疑うたがいで逮捕たいほされました。

逮捕たいほされたのは大分おおいた県けん杵築きづき市しの無職むしょく、野間口のまぐち功いさお也容疑ようぎ者しゃ（30）です。

京都きょうと府警ふけい察さっ本部ほんぶによりますと、野間口のまぐち容疑ようぎ者しゃはことし4月つき、AIで本物ほんものと見分みわけが付つかないほど精巧せいこうな偽にせ動画どうがを作つくる「ディープフェイク」と呼よばれる技術ぎじゅつを使つかって芸能人げいのうじんの顔かおをアダルトビデオの女性じょせいの体からだに合成ごうせいした動画どうがを作成さくせいし、ツイッターに掲載けいさいしたなどとして、著作ちょさく権けん法ほう違反いはんや名誉めいよ毀損きそんの疑うたがいが持もたれています。

調しらべに対にたいして容疑ようぎを認みとめ「金かねもうけのためにやった」などと供述きょうじゅつしているということです。

警察けいさつは野間口のまぐち容疑ようぎ者しゃが専用せんようのアプリを使つかって100本ほん以上いじょうの偽にせ動画どうがを作つくり、販売はんばい料りょうやサイトの広告こうこく収入しゅうにゅうで50万まん円えん余あまりの利益りえきを得えていたとみて調しらべています。

警察けいさつによりますと、「ディープフェイク」を使つかった偽にせ動画どうがの制作せいさく者しゃが検挙けんきょされるのは全国ぜんこくで初はじめてだということです。

「ディープフェイク」とは

「ディープフェイク」とは、AI＝人工じんこう知能ちのうを使つかって、本物ほんものと見分みわけがつかないほどの巧妙こうみょうな偽にせの動画どうがを作つくる技術ぎじゅつのことです。

ある人ひとの顔かおの映像えいぞうや音声おんせいデータを集あつめてAIに学習がくしゅうさせることで、合成ごうせいされた顔かおを単純たんじゅんなすり替すりかえではなく、自然しぜんな表情ひょうじょうで動うごかします。

3年ねんほど前まえから海外かいがいを中心ちゅうしんに広ひろがりはじめ、アメリカのオバマ前ぜん大統領だいとうりょうやフェイスブックのザッカーバーグCEOが実際じっさいには言いっていないことをインタビューで話はなしたように加工かこうした偽にせの動画どうがなどが公開こうかいされ、議論ぎろんを呼よびました。

ディープフェイク自体じたいを規制きせいする法律ほうりつはなく、被害ひがいをどう防ふせぐのか課題かだいとなっています。

俳優はいゆうやアイドルなどの被害ひがい 約やく200人にん

警視庁けいしちょうによりますと、「ディープフェイク」の技術ぎじゅつで作成さくせいしたとみられる偽にせのアダルト動画どうがは、国内こくないでは去年きょねんからインターネット上じょうで確認かくにんされるようになりました。

警視庁けいしちょうがサイバーパトロールを行おこなった結果けっか、9月つき末まつまでに少すくなくとも3500本ほんが確認かくにんされ、被害ひがいに遭あったとみられる女性じょせい芸能人げいのうじんは、俳優はいゆうやアイドルなどおよそ200人にんに上のぼっているということです。

「ディープフェイク」は、画像がぞうや音声おんせいなどをAIに繰り返くりかえし学習がくしゅうさせることで本物ほんものと見分みわけがつかないほどの動画どうがを作成さくせいする技術ぎじゅつですが、インターネット上じょうには専用せんようのフリーソフトが出回でまわっているほか、作り方つくりかたを指南しなんするサイトもあり、専門せんもん家かは被害ひがいが拡大かくだいする要因よういんになっていると指摘してきしています。

また、「ディープフェイク」の動画どうがを専門せんもんに扱あつかうサイトなども増ふえているということで、警視庁けいしちょうは今後こんご、取締とりしまりを強化きょうかすることにしています。

専門せんもん家か「名誉めいよ毀損きそんと表現ひょうげんの自由じゆうのバランスどう取とるか」

情報じょうほうセキュリティ大学院だいがくいん大学だいがくの湯淺ゆあさ墾道どう教授きょうじゅによりますと、「ディープフェイク」はすでに亡なくなった俳優はいゆうを現代げんだいの映像えいぞうに登場とうじょうさせるなど、主おもに映画えいが産業さんぎょうで発達はったつしてきた技術ぎじゅつだということです。

しかし、技術ぎじゅつが進歩しんぽしてスマートフォンでも手軽てがるに動画どうがの合成ごうせいや編集へんしゅうができるようになり、アメリカでは有名ゆうめいな政治せいじ家かが酔っ払よっぱらった状態じょうたいで討論とうろん会かいに出席しゅっせきしているような偽にせの動画どうがが拡散かくさんされたり、ポルノに使つかわれたりと、悪用あくようされるケースが増ふえているということです。

湯淺ゆあさ教授きょうじゅは、日本にっぽんでも今後こんご同様どうようのケースが増ふえることが考かんがえられるとして、制作せいさく者しゃが検挙けんきょされたことは抑止よくし効果こうかにつながり、意義いぎがあることだと述のべました。

一方いっぽうで、ディープフェイクの規制きせいは画像がぞうの加工かこうや公開こうかいといった行為こういの規制きせいにつながる可能かのう性せいがあり「表現ひょうげんの自由じゆうを守まもることと名誉めいよ毀損きそんを取り締とりしまるというバランスをいかに取とっていくかが法的ほうてきな課題かだいだ」と指摘してきしました。

また、被害ひがいを減へらすためにディープフェイクを使つかった偽にせ動画どうがの作成さくせいや配信はいしんが犯罪はんざいになりうるということを広ひろめるとともに、被害ひがいにあった人ひとの支援しえんにあたる団体だんたいが必要ひつようになると話はなしています。