アメリカ司法省は7日、過激派組織ISの元戦闘員で、イギリス国籍を剥奪されているアレクサンダ・コテー被告とエルシャフィー・エルシェイク被告を、シリアでアメリカ人4人が殺害されるなどした事件に関与したとして、殺人の共謀罪などで起訴したと発表しました。
記者会見でデマーズ次官補は、「これは、世界中のテロリストに対するメッセージだ。アメリカ人を傷つければアメリカの法で処罰することになる」と述べ、厳しい裁きを受けさせるとしています。
また司法省は2人が、イギリス人などに加えて日本人2人の殺害にも関与したと明らかにしました。2015年に、ISに殺害された日本人フリージャーナリストの後藤健二さんと湯川遥菜さんの事件にも関わったとしています。
元戦闘員2人は現地で拘束されたあと、去年からイラクのアメリカ軍施設に収容され、アメリカへの移送に向けた手続きが進められていました。
7日にはバージニア州の連邦地方裁判所に初めて出廷したということで、今後の審理で、日本人を含む外国人が人質にとられ殺害された事件の経緯が明らかになるかが焦点です。
殺害された後藤健二さんと湯川遥菜さん 事件の経緯
フリージャーナリストの後藤健二さんは過激派組織IS=イスラミックステートに拘束された知人の湯川遥菜さんの救出に向かうなどとして2014年10月にシリアに入り、ISに拘束されました。
ISは2015年1月20日に身代金を支払わなければ、2人を殺害すると脅迫する映像をインターネット上に公開したのに続き、4日後には、湯川さんが殺害されたことを示す写真を持たされた後藤さんの画像を投稿しました。
ISは、その後、後藤さんの解放の条件としてヨルダンで収監中の死刑囚の釈放を求め、1月29日を最終的な交渉期限としましたが、ヨルダン政府は要求には応じず、ISとの交渉は難航しました。
そして、翌月の2月1日に、ISが、後藤さんを殺害したとする動画をインターネット上に公開しました。
その後、ISは、後藤健二さんを殺害したとする映像に黒い覆面姿で出ていたイギリス人のモハメド・エンワジ容疑者が2015年11月に、シリアで空爆を受けて死亡したことを明らかにしました。
エンワジ容疑者は「ジョン」の呼び名で知られ、人質として捕らえた外国人を脅す映像に、たびたび登場していました。
アメリカ司法省によりますと今回、起訴した元戦闘員2人はエンワジ容疑者と行動をともにし、イギリスアクセントの英語を話すことからエンワジ容疑者と合わせて「ビートルズ」と呼ばれていたということです。
また2人を拘束した経緯については、2018年1月にシリアからトルコに逃れようとした際、アメリカと協力してISの掃討作戦を行っていたクルド人勢力主体の部隊が捕らえたとしています。