コロナ感染かんせん者しゃへの差別さべつ 専門せんもん家か “感染かんせん対策たいさくに影響えいきょう 社会しゃかいに有害ゆうがい”

それによりますと、未知みちの感染かんせん症しょうに対にたいする不安ふあんなどから、感染かんせん者しゃや感染かんせん対策たいさくをおろそかにしているように見みえる人ひとへの処罰しょばつ的てきな感情かんじょうが生うまれ、深刻しんこくな人権じんけん侵害しんがいが起おき、感染かんせん対策たいさくや社会しゃかいや経済けいざいの活動かつどうにも負まけの影響えいきょうが出でているとしています。

そして、実際じっさいにあった例れいとして、感染かんせん対応たいおうにあたる病院びょういん関係かんけい者しゃや介護かいご従事じゅうじ者しゃの子こどもへのいじめや保育ほいく所しょでの預あずかり拒否きょひ、クラスターが発生はっせいした学校がっこうの生徒せいとの写真しゃしんのSNSでの拡散かくさん、それに感染かんせんを理由りゆうにした雇やとい止とめなどを挙あげていて、報告ほうこく書しょではふだんから感染かんせん症しょうについての正ただしい知識ちしきを広ひろめるとともに、悪質あくしつな差別さべつ行為こういは法的ほうてきな責任せきにんが問とわれる場合ばあいがあることを国くにが広ひろく周知しゅうちするべきとしています。

また、自治体じちたいが発表はっぴょうして報道ほうどうされた情報じょうほうをきっかけに、被害ひがいが出でたケースも確認かくにんされたとしていて、感染かんせん拡大かくだいの防止ぼうしに役立やくだつ情報じょうほうの公表こうひょうと、個人こじん情報じょうほうの保護ほごとのバランスを取とることを基本きほんとしつつ、感染かんせん者しゃの特定とくていや差別さべつにつながる情報じょうほうが公表こうひょうされないよう国こくに考え方かんがえかたを示しめすことを求もとめました。

そして報道ほうどう機関きかんに対にたいしても、差別さべつにつながる誤あやまった情報じょうほうを正ただすような報道ほうどうを行おこなうことなどを求もとめています。

中山なかやまひとみ座長ざちょうは「どんなに気きをつけていてもウイルスの感染かんせんを100％免まぬかれることはできず、感染かんせんしたことの責任せきにんは問とうべきではない。差別さべつを受うけるかもしれないという恐怖きょうふから、感染かんせんの事実じじつを言い出いいだせなかったり、保健所ほけんじょの調査ちょうさに協力きょうりょくしにくくなったりして、感染かんせん防止ぼうし対策たいさくにも大おおきな影響えいきょうが出でるなど、感染かんせん者しゃへの差別さべつは社会しゃかいにとって有害ゆうがいだということを多おおくの人ひとに認識にんしきしてもらうことが必要ひつようだ」と話はなしています。

“地方ちほう都市としは感染かんせん者しゃが目立めだちやすく差別さべつなど受うけやすい傾向けいこう”

新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんした人ひとやその家族かぞくに対にたいする差別さべつ。

相談そうだんに応おうじている団体だんたいは特とくに地方ちほう都市としでの深刻しんこくな実情じつじょうを訴うったえています。

NPO法人ほうじん「WorldOpen Heart」は、ことし9月つきから感染かんせんを理由りゆうに差別さべつやひぼう中傷ちゅうしょうを受うけた人ひとたちの電話でんわ相談そうだんに応おうじています。

これまでに寄よせられた相談そうだんは10件けん余あまりで、ほとんどが感染かんせん者しゃが比較的ひかくてき少すくない地方ちほうの都市としに住すむ人ひとからだということです。

このうち、四国しこくに住すむ40代だいの女性じょせいは東京とうきょうの大学だいがくに通かよう長男ちょうなんが帰省きせいした際さいに発熱はつねつしたところ、地域ちいきの人ひとから「感染かんせんを広ひろめたら犯罪はんざい者しゃだ。家族かぞくとして責任せきにんを取とれ」などと詰め寄つめよられ転居てんきょも考かんがえたということです。

また、医療いりょう関係かんけい者しゃの妻つまがいる九州きゅうしゅうの50代だいの男性だんせいは、職場しょくばの人ひとから無視むしされたり業務ぎょうむ連絡れんらくはメールでするよう指示しじされたりしたということです。

さらに親族しんぞくからは、妻つまの仕事しごとを辞やめさせるように促うながされたり別べつの親族しんぞくの結婚式けっこんしきには出席しゅっせきしないでほしいと言いわれたりしたということです。

このほか、関西かんさいに住すむ50代だいの女性じょせいは感染かんせんが拡大かくだいしている大阪おおさかに仕事しごとで行いく必要ひつようがあるにもかかわらず、同僚どうりょうや友人ゆうじんから「地元じもとにコロナウイルスを持ち込もちこまないでほしい」などと言いわれたということです。

NPO法人ほうじんは、感染かんせん者しゃが少すくない地方ちほう都市としは感染かんせんした人ひとが目立めだちやすく、周まわりから差別さべつやひぼう中傷ちゅうしょうを受うけやすい傾向けいこうにあると分析ぶんせきしています。

阿部あべ恭子きょうこ理事りじ長ちょうはもともと犯罪はんざい加害かがい者しゃの家族かぞくを支援しえんする活動かつどうを行おこなっていますが、犯罪はんざいを犯おかした人ひとの家族かぞくが悪わるいわけでもないのに、ひぼう中傷ちゅうしょうを受うけたり謝罪しゃざいに追い込おいこまれたりする状況じょうきょうと、コロナを理由りゆうとした差別さべつがよく似にていると指摘してきしています。

そのうえで「地方ちほうでは相談そうだんの窓口まどぐちが少すくなく差別さべつの解消かいしょうが進すすんでいない地域ちいきもあり、相談そうだん・支援しえん体制たいせいを全国ぜんこくで拡大かくだいしていく必要ひつようがあると思おもう。また差別さべつを禁止きんしする条例じょうれいを制定せいていするなどして地域ちいきで意識いしきを高たかめていくことが重要じゅうようだ」と話はなしています。

加藤かとう官房かんぼう長官ちょうかん「偏見へんけんや差別さべつはあってはならない」

加藤かとう官房かんぼう長官ちょうかんは午後ごごの記者きしゃ会見かいけんで、政府せいふの分科ぶんか会かいで感染かんせん者しゃの差別さべつへの対策たいさくをまとめた作業さぎょうチームの報告ほうこく書しょが示しめされたことに関連かんれんし、「政府せいふとしてもSNSやホームページなどにより、差別さべつや偏見へんけんなどの防止ぼうしに向むけた啓発けいはつに資しする発信はっしんを強化きょうかするなど、さらに取り組とりくみを進すすめたい」と述のべました。

そのうえで、「新型しんがたコロナウイルスは誰だれもが感染かんせんするおそれがあり、偏見へんけんや差別さべつはあってはならない。この機会きかいを通をつうじて、改あらためて国民こくみんに呼よびかけたい」と述のべました。