일본어 뉴스: トリチウムなど含む水処分基準以下に薄め海か大気中に放出案

福島ふくしま第だい一いち原子力げんしりょく発電はつでん所しょにたまり続つづけるトリチウムなどを含ふくむ水みずの処分しょぶん方法ほうほうについて、有識ゆうしき者しゃでつくる国くにの小しょう委員いいん会かいは基準きじゅん以下いかに薄うすめ、海うみか大気たいき中ちゅうに放出ほうしゅつする案あんを中心ちゅうしんに議論ぎろんを進すすめることを提言ていげんする素案そあんを示しめしました。風評ふうひょう被害ひがいを懸念けねんする地元じもとからは強つよい反発はんぱつが予想よそうされ、今後こんごの議論ぎろんが注目ちゅうもくされます。

●そもそも「トリチウム」とはどんな物質ぶっしつなのか。そして、「海うみに放出ほうしゅつする」「大気たいき中ちゅうに放出ほうしゅつする」とはどういうことなのか。文末ぶんまつのリンクから、次つぎの原稿げんこうをご覧ごらん下ください。

「トリチウムとは？なぜ『海うみか大気たいき中ちゅうに放出ほうしゅつ』なのか？」福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつでは、溶とけ落おちた核かく燃料ねんりょうを冷ひやした汚染おせん水すいから、放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを取り除とりのぞく処理しょりをしていますが、トリチウムなどの放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつは一部いちぶ残のこるため、現在げんざい1000近ちかくのタンクにおよそ117万まんトンが保管ほかんされていて、毎日まいにち170トン前後ぜんごのペースで増ふえています。

この処理しょりした水みずの処分しょぶん方法ほうほうを有識者ゆうしきしゃが検討けんとうする経済けいざい産業さんぎょう省しょうの小しょう委員いいん会かいは23日にち、これまでの議論ぎろんをまとめ、基準きじゅん以下いかに薄うすめたうえで海うみに放出ほうしゅつする案あんと、蒸発じょうはつさせて大気たいき中ちゅうに放出ほうしゅつする案あんが、実績じっせきもあり環境かんきょうや健康けんこうへの影響えいきょうもほとんどないなどとして、２に案あんを中心ちゅうしんに議論ぎろんを進すすめることを提言ていげんする素案そあんを示しめしました。

地層ちそうに注入ちゅうにゅうする案あんなどほかの案あんについては前例ぜんれいがなく技術ぎじゅつ的てきにも課題かだいが多おおいなどとしたほか、公聴こうちょう会かいで住民じゅうみんから出だされたタンクを増設ぞうせつし長期ちょうき保管ほかんする案あんについては、原発げんぱつの敷地しきちには限界げんかいがあるなどとして否定ひてい的てきな見解けんかいを示しめしました。

一方いっぽう、風評ふうひょう被害ひがいはどの処分しょぶん案あんでも起おこるとし、正確せいかくな測定そくていや丁寧ていねいな情報じょうほう発信はっしんなど対策たいさくの方向ほうこう性せいをまとめましたが、具体ぐたい策さくまでは示しめしませんでした。

これについて委員いいんからは「海洋かいよう放出ほうしゅつは社会しゃかい的てき影響えいきょうが極きわめて大おおきいときちんと書かくべきではないか」といった意見いけんが出だされたほか、「風評ふうひょう対策たいさくについて誰だれが何なにをするのか具体ぐたい的てきに書かいていくべきではないか」などの指摘してきがあがっていました。

経済けいざい産業さんぎょう省しょうは23日にちの議論ぎろんも踏ふまえ、今後こんご、報告ほうこく書しょをまとめる予定よていで、その後そのご、地元じもと福島ふくしまを中心ちゅうしんに幅広はばひろく意見いけんを聞きく場ばを設もうける方針ほうしんです。

最終さいしゅう的てきには政府せいふが決定けっていすることになりますが、海うみなど環境かんきょう中ちゅうに放出ほうしゅつする案あんは漁業ぎょぎょう者しゃを中心ちゅうしんに風評ふうひょう被害ひがいを懸念けねんする声こえが根強ねづよく、地元じもとの強つよい反発はんぱつが予想よそうされ、今後こんごの議論ぎろんの行方ゆくえが注目ちゅうもくされます。

風評ふうひょう対策たいさくの具体ぐたい策さく素案そあんでは示しめさず

有識者ゆうしきしゃによる経済けいざい産業さんぎょう省しょうの小しょう委員いいん会かいでは風評ふうひょう被害ひがいの実態じったいやメカニズムなどについても議論ぎろんされ、素案そあんには風評ふうひょう被害ひがい対策たいさくの方向ほうこう性せいが示しめされました。

それによりますと、どの処分しょぶん方法ほうほうでも程度ていどや時期じきの差さはあるものの風評ふうひょう被害ひがいの影響えいきょうは出でるとして対策たいさくを徹底てっていすべきとしています。

そのうえで、処分しょぶん量りょうや濃度のうど、開始かいし時期じきや処分しょぶん期間きかんについては風評ふうひょうへの影響えいきょうに配慮はいりょするとともに、国内外こくないがいに丁寧ていねいな情報じょうほう発信はっしんが必要ひつようなどとしています。

また原発げんぱつ事故じこのあと、一部いちぶの産業さんぎょうでは現在げんざいも風評ふうひょうで経済けいざい的てき被害ひがいが続つづいていることから、生産せいさん関係かんけい者しゃへの補償ほしょうや自立じりつ支援しえんだけでなく、流通りゅうつうの問題もんだいを解決かいけつすることも必要ひつようだとしています。

このほか福島ふくしま県けん産さんのコメの全量ぜんりょう検査けんさの取り組とりくみなど、これまで風評ふうひょう対策たいさくに効果こうかがあった成功せいこう事例じれいを参考さんこうに、取り組とりくみを加速かそくさせることなどを提言ていげんしています。

しかし具体ぐたい的てきな対応たいおう策さくについては、政府せいふが今後こんご処分しょぶん方針ほうしんを最終さいしゅう決定けっていする際さいに見みえる形かたちでとりまとめるべきとし、素案そあんでは示しめしませんでした。

国くにの小しょう委員いいん会かい委員いいんの反応はんのうは

国くにの小しょう委員いいん会かいが海うみか大気たいき中ちゅうに放出ほうしゅつする案あんを中心ちゅうしんに議論ぎろんを進すすめることを提言ていげんする素案そあんが示しめされたことについて、委員いいんを務つとめる東京とうきょう大学だいがくの関谷せきや直也なおや准じゅん教授きょうじゅは「消去しょうきょ法ほうではこの２に案あんが技術ぎじゅつ的てきには妥当だとうだというのはやむを得やむをえない事実じじつだと思おもうが、過去かこの事例じれいを見みれば多おおくの人ひとが不安ふあんや疑問ぎもんを抱かかえながらの処分しょぶんにならざるをえず、社会しゃかい・経済けいざい的てきな影響えいきょうは大おおきくなるはずだ。政策せいさく決定けっていするうえではマイナス部分ぶぶんもきちんと考慮こうりょに入いれるべきで、提言ていげんに書き込かきこんでもらえるよう議論ぎろんを続つづけたい」と話はなしていました。

また同おなじく委員いいんを務つとめる水産すいさん研究けんきゅう・教育きょういく機構きこうの森田もりた貴たか己おのれグループ長ちょうは「５ご案あんから２に案あんになったプロセスについて委員いいん会かいで詳細しょうさいに検討けんとうした記憶きおくはないが、実現じつげん可能かのう性せいという観点かんてんから絞しぼったのはわかる。ただ絞しぼるのであれば、海洋かいよう放出ほうしゅつと大気たいき放出ほうしゅつに関にかんして環境かんきょう中ちゅうに出だされたものがどんな濃度のうどでどう分布ぶんぷしていくかなど事実じじつベースでもう少もうすこし丁寧ていねいにデータを示しめすべきだと思おもう」と話はなしていました。

大熊おおくま町長ちょうちょう「万全ばんぜんの対策たいさくで臨のぞんで」

福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつが立地りっちする大熊おおくま町まちの吉田よしだ淳あつし町長ちょうちょうは「放出ほうしゅつしても問題もんだいないというのであれば、そのことをわかりやすく丁寧ていねいに発信はっしんし、風評ふうひょう被害ひがいが拡大かくだいしないよう対策たいさくを求もとめたい。少すこしずつ町民ちょうみんが帰還きかんしている中なかで、８はち年ねん余あまりの再生さいせいの歩あゆみが水泡すいほうに帰きすことがないよう、万全ばんぜんの対策たいさくで臨のぞんでほしい」とコメントしています。

漁業ぎょぎょう者しゃ「海洋かいよう放出ほうしゅつ以外いがいの方法ほうほう検討けんとうを」

福島ふくしま県けん相馬そうま市しの漁師りょうしの高橋たかはし一はじめ泰やすしさん（41）は「タンクにため続つづけることで将来しょうらいにつけを回まわしていくことは分わかっているので複雑ふくざつな思おもいもあるが、トリチウムを含ふくんだ水みずが放出ほうしゅつされれば、消費しょうひ者しゃがまた福島ふくしまの魚さかなが危険きけんという認識にんしきを持もってしまう可能かのう性せいがあるので、海洋かいよう放出ほうしゅつ以外いがいの方法ほうほうで検討けんとうしてほしい」と話はなしていました。

また同おなじく相馬そうま市しの漁師りょうしの石橋いしばし正裕まさひろさん（40）は「これまで、漁師りょうしが一丸いちがんとなって福島ふくしまの魚さかなの安全あんぜん性せいをＰＲぴ-あ-るしてきた中なかで、震災しんさい直後ちょくご、福島ふくしまの魚さかなを食たべて貰もらえない状態じょうたいが続つづいていたのが徐々じょじょにみんなに食たべて貰もらえるようになってきた。もし海洋かいよう放出ほうしゅつしても安全あんぜんだと言いうのであれば、全国ぜんこくの人ひとにこういう理由りゆうで安全あんぜんだというのをまず説明せつめいしてほしい」と話はなしていました。

福島ふくしま県けん相馬そうま市しの道みちの駅えきで直売ちょくばい所しょを経営けいえいしながら魚さかなの仲買なかがいも行おこなっている中澤なかざわ正邦まさくにさんは「震災しんさいから８はち年ねん以上いじょうがたち、消費しょうひ者しゃにも徐々じょじょに魚さかなの安全あんぜん性せいが浸透しんとうして相馬そうまの魚さかなを食たべたいという声こえも多おおくなってきたように感かんじる。トリチウムを含ふくむ水みずが安全あんぜんだとしても、放出ほうしゅつされればまた福島ふくしまの魚さかなは危あぶないという認識にんしきになりかねないので、海洋かいようへの放出ほうしゅつではなく陸地りくちでの処分しょぶんを考かんがえてほしい」と話はなしていました。