千葉ちば 野田のだ 小４しょうよん女児じょじ虐待ぎゃくたい死し 対応たいおう記録きろくした資料しりょう開示かいじ 経緯けいい明あきらかに

この事件じけんでは心こころ愛あいさんが被害ひがいを訴うったえたアンケートのコピーを教育きょういく委員いいん会かいが親おやに渡わたすなど、不適切ふてきせつな行政ぎょうせいの対応たいおうも明あきらかになりました。

このうち児童じどう相談そうだん所しょの対応たいおうについてＮＨＫえぬえいちけいが県けんに情報じょうほう公開こうかい請求せいきゅうしたところ、対応たいおうをまとめた「児童じどう記録きろく」の一部いちぶが新あらたに開示かいじされました。

資料しりょうには事件じけんの１いち年ねん余あまり前まえに児童じどう相談そうだん所しょが一時いちじ保護ほごしたものの、１いちか月かげつ半はんで解除かいじょした理由りゆうについて「安全あんぜんに生活せいかつできる環境かんきょうが整ととのえられた」などと記しるされています。

しかしそのわずか２にか月かげつ後ごには、勇いさむ一郎いちろう被告ひこくが担当たんとう者しゃに対にたいし「これ以上いじょう、家庭かていをひっかきまわさないでほしい」とか「訴うったえることも検討けんとうしている」などと敵対てきたい的てきな発言はつげんを繰り返くりかえしていたことが記録きろくされているほか、「一時いちじ保護ほご解除かいじょ時じの約束やくそくが守まもられていない」という記述きじゅつも確認かくにんできます。

こうした記録きろくからは児童じどう相談そうだん所しょが誤あやまった判断はんだんのもとで不適切ふてきせつな対応たいおうをとり、心こころ愛あいさんを取り巻とりまく状況じょうきょうが悪化あっかしていったことがうかがえます。

県けんの検証けんしょう委員いいん会かいは一連いちれんの関係かんけい機関きかんの対応たいおうについて「不十分ふじゅうぶん、不適切ふてきせつだった」と指摘してきしていて、今後こんご、再発さいはつ防止ぼうしに向むけた実効じっこう性せいのある取り組とりくみをどう進すすめていくかが問とわれています。

検証けんしょうの専門せんもん家か「父親ちちおやの言いいなりになってしまった」

今回こんかいの事件じけんで行政ぎょうせいの対応たいおうを検証けんしょうした千葉ちば県けんの第三者だいさんしゃ委員いいん会かいの副ふく委員いいん長ちょうを務つとめた東京とうきょう経営けいえい短期たんき大学だいがくの小木曽こぎそ宏ひろし教授きょうじゅがＮＨＫえぬえいちけいの取材しゅざいに応おうじました。

このなかで小木曽こぎそ教授きょうじゅは敵対てきたい的てきな姿勢しせいを取とる父親ちちおやを前まえに、関係かんけい機関きかんが不適切ふてきせつな対応たいおうを繰り返くりかえしたことについて「教育きょういく委員いいん会かいによるアンケートの開示かいじなど、子こどもの権利けんりを守まもる側がわが決けっして、してはならないことが行おこなわれた。こうした対応たいおうを疑問ぎもんに思おもわなかったことを含ふくめ、父親ちちおやのペースに完全かんぜんに巻き込まきこまれ、要求ようきゅうに従したがってしまったと感かんじる。また父親ちちおやから組織そしきではなく職員しょくいん個人こじんの責任せきにんを追及ついきゅうすることを示唆しさされ、言いいなりになってしまった。そうした中なかで、女の子おんなのこが発はっしたＳＯＳえすお-えすは見逃みのがされてしまった」と指摘してきしました。

また「現場げんば職員しょくいんの専門せんもん性せいの確保かくほや養成ようせいが十分じゅうぶんではなく、事案じあんの重大じゅうだい性せいの見立みたてやリスクアセスメントが正ただしくできていないことは根本こんぽん的てきな問題もんだいだ」と述のべ、現場げんばで対応たいおうにあたる職員しょくいんの知識ちしきや対応たいおう能力のうりょくが十分じゅうぶんなレベルに達たっしていないことが不適切ふてきせつな対応たいおうの背景はいけいにあると指摘してきしました。

そのうえで今後こんご取とるべき対策たいさくについて「児童じどう相談そうだん所しょなどの人員じんいんを増ふやすだけではなく、職員しょくいんの専門せんもん性せいを高たかめるための研修けんしゅうが必要ひつようだ。単たんに研修けんしゅうを受うければいいということではなく、効果こうかを検証けんしょうし、その結果けっかを次つぎの研修けんしゅうに生いかしていくことが重要じゅうようだ」と述のべました。

有識者ゆうしきしゃ委い「頼たよれる大人おとなが１いち人にんでもいたら救すくえる命いのちだった」

千葉ちば県けんとは別べつに、教育きょういく委員いいん会かいなどの対応たいおうを検証けんしょうしてきた野田のだ市しの有識者ゆうしきしゃ委員いいん会かいは23日にち、報告ほうこく書しょを公表こうひょうし「頼たよれる大人おとなが１いち人にんでもいたら救すくえる命いのちだった」と当時とうじの対応たいおうを批判ひはんしました。

報告ほうこく書しょの中なかでは、心こころ愛あいさんが被害ひがいを訴うったえたアンケートのコピーを父親ちちおやに渡わたした教育きょういく委員いいん会かいの対応たいおうについて「子こどもへの裏切うらぎり」で、「子こどもの権利けんりに対にたいする意識いしきの低ひくさは非常ひじょうに大おおきな問題もんだいだ」と指摘してきしました。

また父親ちちおやに迎合げいごうした教育きょういく委員いいん会かいや学校がっこうの関係かんけい者しゃがいたとして「子こどもより自分じぶんや組織そしきを優先ゆうせんさせていると言いわれても仕方しかたがない」と厳きびしく批判ひはんしています。

さらに市しについては関係かんけい機関きかんの要ようとして積極せっきょく的てきに動うごくべきだったのに協議きょうぎの場ばを設もうけないなど、対応たいおうに問題もんだいがあったとしています。

そのうえで「女の子おんなのこは公的こうてき機関きかんの大人おとなを信頼しんらいすることができなかった。頼たよれる大人おとなが１いち人にんでもいたら救すくえる命いのちだった」と指摘してきしています。

事件じけんの経緯けいい

小学しょうがく４よん年生ねんせいだった栗原くりはら心こころ愛あいさん（10）が自宅じたくで亡なくなったのは去年きょねん１月いちがつ24日にちの夜よるでした。

父親ちちおやから「浴室よくしつでもみ合もみあいになった娘むすめが呼吸こきゅうをしていない」と110番ばん通報つうほうがあり、警察けいさつと消防しょうぼうが駆かけつけたところ自宅じたくの浴室よくしつで倒たおれて死亡しぼうしていました。

警察けいさつは冷水れいすいのシャワーをかけるなどの暴行ぼうこうを加くわえたとして父親ちちおやの勇いさむ一郎いちろう被告ひこく（42）を傷害しょうがいの疑うたがいで逮捕たいほしました。10日にち後ごには暴行ぼうこうを止とめなかったとして母親ははおやも逮捕たいほし、心こころ愛あいさんが日常にちじょう的てきに虐待ぎゃくたいを受うけていた疑うたがいがあるとみて捜査そうさを進すすめました。

その結果けっか、勇いさむ一郎いちろう被告ひこくが心こころ愛あいさんに胸むねの骨ほねを折おるなどの大だいけがをさせるなど、たびたび虐待ぎゃくたいを加くわえていた疑うたがいがあることがわかりました。

さらに虐待ぎゃくたいと心こころ愛あいさんの死因しいんとの関連かんれんについて捜査そうさが進すすめられ、検察けんさつは食事しょくじや十分じゅうぶんな睡眠すいみんを取とらせず、シャワーを浴あびせ続つづけるなどの暴行ぼうこうを加くわえたことによって死亡しぼうしたとして、去年きょねん３月さんがつ、勇いさむ一郎いちろう被告ひこくを傷害しょうがい致死ちしなどの罪つみで起訴きそしました。

一方いっぽう、母親ははおやは夫おっとの暴行ぼうこうを止とめなかったなどとして傷害しょうがいほう助ほうじょの罪つみで起訴きそされ、すでに執行しっこう猶予ゆうよの付ついた有罪ゆうざい判決はんけつが確定かくていしています。

父親ちちおやの勇いさむ一郎いちろう被告ひこくについては来月らいげつ21日にちに初はつ公判こうはんが行おこなわれる予定よていです。