各地の平均気温は兵庫県豊岡市で平年より3.9度高く、福井市と鳥取市で3.4度、名古屋市で3.1度、広島市と福岡市で2.9度、大阪市で2.6度、仙台市で2.4度、いずれも高くなるなど、全国92の地点で1月として最も高くなりました。東京の都心でも平年よりも1.9度高くなっています。
地域別に平年の平均気温との差をみると、西日本で2.8度高く、東日本で2.7度高くなり、いずれも統計を取り始めた昭和21年以降、最も気温の高い1月となりました。
また北日本では平年よりも1.7度高く、沖縄・奄美で1.5度高くなっています。
1月の降雪量も少なく、地域別に降った雪の量を平年と比較すると、北日本の日本海側で平年の31%、東日本と西日本の日本海側では統計上は0%となり、いずれも統計を始めてから最も少なくなりました。
記録的な暖冬の背景について、気象庁は上空を吹く偏西風が例年よりも北側に蛇行し、南から暖かい空気が流れ込みやすくなっている一方で、北からの寒気が弱くなっているためだとしています。
この状態は今月も続き、東日本と西日本、沖縄・奄美では平年よりも気温が高くなる見通しです。
「ダイポールモード現象」
記録的な暖冬の原因の1つに挙げられるのが、「ダイポールモード現象」です。インド洋の西側と東側の海水の温度に大きな差が出る現象で、各地に異常気象をもたらします。
JAMSTEC=海洋研究開発機構の土井威志研究員によりますと、「ダイポールモード現象」は数年に1度発生していて、去年5月ごろから、インド洋の西側の海水温が東側に比べて高くなったということです。
ダイポールモード現象はその後も続き、去年11月のピーク時には海面水温の差は2度に達し、過去最大クラスとなりました。
偏西風の蛇行や降雨量にも影響?
海水温が高い場所では上昇気流が発生しやすく、上空の「偏西風」の流れを変えます。
この影響で日本の周辺では、偏西風が例年より北側に蛇行したため、寒気が流れ込みにくくなり、暖冬をもたらしているとみられるということです。
一方で海水温の低いインド洋の東側では雲が発生しにくく、雨の量が減少するため、オーストラリアの山火事を長期化させている要因にもなっているということです。
ダイポールモード現象は先月上旬に終息したということですが、土井研究員は「海水温の高い状態は今も続いていて、今後も気象庁の情報に注意してほしい。ことしの夏にもダイポールモード現象が再び発生するという予測結果もあり、注意深く監視したい」と話していました。