日本新聞: 丹下健三のスケッチ見つかる代々木競技場の設計過程手帳に

丹下たんげ健三けんぞうのスケッチ見みつかる代々木よよぎ競技きょうぎ場じょうの設計せっけい過程かてい手帳てちょうに

Feb 10, 2020 19:02

Furigana

前回ぜんかいの東京とうきょうオリンピックに合あわせて建設けんせつされた代々木よよぎ競技きょうぎ場じょうの設計せっけいの過程かていがうかがえるスケッチが、世界せかい的てきな建築けんちく家か、丹下たんげ健三けんぞうの手帳てちょうからこのほど見みつかりました。丹下たんげの直筆じきひつのスケッチはほとんど残のこされておらず、専門せんもん家かは「貴重きちょうな発見はっけんだ」と話はなしています。

スケッチは、代々木よよぎ競技きょうぎ場じょうの基本きほん設計せっけいが終おわり、実施じっし設計せっけいへと移行いこうする昭和しょうわ37年ねん６月ろくがつに描えがかれたとみられます。

先月せんげつから東京とうきょう渋谷しぶや区くで開ひらかれている丹下たんげ健三けんぞうの展示てんじ会かいに向むけて研究けんきゅう者しゃが丹下たんげの遺品いひんを探さがしている中なかで、手帳てちょうに残のこされているのが見みつかりました。

代々木よよぎ競技きょうぎ場じょうは、上空じょうくうから見みると円えんを半分はんぶんに切きって左右さゆうにずらしたようなデザインが特徴とくちょうですが、スケッチが描えがかれた当時とうじは、左右さゆうが逆ぎゃくにずれていて、試行しこう錯誤さくごの様子ようすがうかがえます。

また、当時とうじ、世界せかい初はつの技術ぎじゅつだったつり橋つりばしをイメージした特徴とくちょう的てきな屋根やねの構造こうぞうも描えがかれています。

手帳てちょうには、ローマのコロッセオのイメージ図いめ-じずや、当時とうじ、丹下たんげが視察しさつしたローマオリンピックのバスケットボールの会場かいじょうも描えがかれていて、設計せっけいの参考さんこうにしていたこともうかがえます。

丹下たんげのもとで代々木よよぎ競技きょうぎ場じょうの設計せっけいに携たずさわった曽根そね幸一こういちさんは「丹下たんげさんは、はがきサイズの紙かみに簡単かんたんな線せんを描えがいて私わたしたちとイメージを共有きょうゆうしていた。スケッチが残のこっていたのは驚おどろきだ」と話はなしています。

前回ぜんかい、水泳すいえいなどの会場かいじょうとして使つかわれた代々木よよぎ競技きょうぎ場じょうは、今回こんかいの東京とうきょうオリンピック・パラリンピックでも会場かいじょうとして使つかわれることになっていて、建築けんちく家かのグループが世界せかい文化ぶんか遺産いさんへの登録とうろくを目指めざしています。

手帳てちょうを見みつけた千葉ちば大学だいがくの豊川とよかわ斎ひとし赫准じゅん教授きょうじゅは「丹下たんげのスケッチはほとんど残のこっておらず、設計せっけいの過程かていがうかがえる貴重きちょうな発見はっけんだ。代々木よよぎ競技きょうぎ場じょうは、オリンピックを後世こうせいに伝つたえるレガシーだ」と話はなしています。