ことし世界選手権を連覇し、世界ランキング1位も経験した日本の誇るオリンピックの金メダル候補です。
そんな二人がいまだ手にしていないタイトル、それが日本一を決める全日本総合選手権の優勝でした。
世界で戦うナガマツペアが、なぜ「日本一」にこだわるのか、そこには支え続けてくれたチームの監督や地元のファンヘの思いがありました。
世界選手権をはじめ、海外での国際大会は日本代表で臨む試合。この大会は所属する秋田の実業団チームの一員として出場するため佐々木翔監督がコート脇に付き添いスタンドにはこれまで支えてくれた地元の人たちが数多く駆けつけました。
日本代表の二人にとってお世話になった人たちへの最高の恩返しの舞台なのです。
しかし、去年まではその思いが空回りしてベスト4が最高で決勝の舞台に立ったことはありませんでした。
そうしたなか東京オリンピック前最後の全日本総合となった今大会は代表争いを繰り広げる高橋礼華選手と松友美佐紀選手のタカマツペアを準決勝で破り、決勝の相手は福島由紀選手と廣田彩花選手のフクヒロペアと優勝すれば誰もが「日本一」と認める条件がそろいました。
迎えた決勝。
第1ゲームは悪夢のような展開となりました。
「浮き足だってしまった」と、立ち上がりに7連続ポイントを奪われるなどいいところなく10対21と大差で落としてしまいます。
あとがなくなった第2ゲーム。
佐々木監督は「自分たちの力を出してこい」と声をかけたといいいます。
この大会で2回の優勝を経験している佐々木監督のことばは、二人の気持ちを動かすのに十分すぎるものでした。
開き直ったふたりは長身を生かした高い打点からの強烈なショットを連発し、本来の攻撃的なプレーを取り戻し一気に2ゲームを連取。
逆転勝ちで初優勝を決めました。
優勝インタビューでマイクを向けられた松本選手は、涙が止まらなくなりました。
「この優勝がすごく遠かったんですけど、やっときょう手にすることができて本当にうれしいです」その涙はうれし涙でもあり感謝の涙でもありました。
永原選手は「しれつな代表争いは続きます。切さたく磨して私たちも周りを引っ張れる存在になりたい」と意気込みを話しました。
日本一と世界一の両方のタイトルと自信を手にしたナガマツペア。
オリンピック金メダルというさらに一つ上のタイトルに挑むために必要なピースがまた一つ埋まった瞬間でした。