Japanese News: 【詳しく】最終学歴“小卒”80万人 50代以下も2万人なぜ？

国くにが初はじめて国勢こくせい調査ちょうさで最終さいしゅう学歴がくれきが「小学校しょうがっこう卒業そつぎょう」の人ひとについて調しらべたところ、80万まん人にんを超こえることが分わかりました。

戦前せんぜんの教育きょういく制度せいどの違ちがいなどが背景はいけいにあるとみられ、80代だい以上いじょうが9割わりを占しめますが、50代だい以下いかも2万まん人にん近ちかくいます。

小学校しょうがっこうにも通とおっていない「未み就学しゅうがく」の人ひとと合あわせると50代だい以下いかで義務ぎむ教育きょういくを終おえていないとみられる人ひとが5万まん3000人にん余あまりに上のぼることもわかりました。

その背景はいけいは？

年代ねんだい別べつ、都道とどう府県ふけん別べつの詳くわしいデータとともに詳くわしくお伝おつたえします。

最終さいしゅう学歴がくれきが“小学校しょうがっこう卒業そつぎょう”なぜ調査ちょうさ？結果けっかの詳細しょうさいは

5年ねんに1度ど行おこなわれる国勢こくせい調査ちょうさでは、学歴がくれきに関にかんする調査ちょうさを10年ねんに1度ど行おこなっています。

今回こんかいの調査ちょうさでは、義務ぎむ教育きょういくを修了しゅうりょうしていない人ひとなどが学まなぶ「夜間やかん中学ちゅうがく」のニーズの把握はあくが求もとめられる中なか、初はじめて「小学校しょうがっこう」卒業そつぎょうを調査ちょうさすることになりました。

その結果けっか、おととし10月つき時点じてんで最終さいしゅう学歴がくれきが「小学校しょうがっこう卒業そつぎょう」の人ひとは80万まん4293人にんいることがわかりました。

これまでも調査ちょうさされてきた小学校しょうがっこうにも通とおったことがない「未み就学しゅうがく」の人数にんずうは、前回ぜんかい平成へいせい22年ねんから3万まん4000人にんほど減へりましたが9万まん4000人にん余あまりに上のぼっていて、中学校ちゅうがっこうまで卒業そつぎょうしていない人ひとは合あわせておよそ90万まん人にんとなっています。

“小学校しょうがっこう卒業そつぎょう”年代ねんだい別べつに見みると？80代だい以上いじょうが多おおい理由りゆうは？

年代ねんだい別べつに詳くわしくみていきます。

全体ぜんたいとしては、80代だい以上いじょうが多おおく9割わりを占しめています。

その理由りゆうの1つは、戦前せんぜんの教育きょういく制度せいどが今いまと異ことなり、中学校ちゅうがっこうは義務ぎむ教育きょういくではなかったことがあります。

1907年ねんに義務ぎむ教育きょういく課程かていが6年ねんとなり、当時とうじの「尋常じんじょう小学校しょうがっこう」を卒業そつぎょうすれば、義務ぎむ教育きょういくを修おさめたことになると規定きていされていました。

その後そのご、戦時せんじ下かで小学校しょうがっこうは「国民こくみん学校がっこう」となり、このときは義務ぎむ教育きょういくを8年間ねんかんにする予定よていでしたが、戦時せんじ中ちゅうの特例とくれいで初等しょとう科かの6年ねんまでで高等こうとう科かの2年ねんは実現じつげんしませんでした。

もう1つの理由りゆうは、戦中せんちゅうや戦後せんごの復興ふっこうの混乱こんらんの中なかで、教育きょういくを受うけられなかった人ひとが多おおくいることです。

日本にっぽん国こく憲法けんぽうに基もとづいて1947年ねんに義務ぎむ教育きょういく制度せいどができ、小学校しょうがっこうが6年ねん、中学校ちゅうがっこうが3年ねんと定さだめられましたが、戦後せんごの混乱こんらんの中なかで、長期ちょうきにわたって欠席けっせきする子こどもがいるなど、義務ぎむ教育きょういくを修了しゅうりょうしていない人ひとは少すくなくありませんでした。

日本人にっぽんじんの若わかい世代せだいにも…義務ぎむ教育きょういくなのになぜ？

今回こんかいの国勢こくせい調査ちょうさでは、50代だい以下いかで「小学校しょうがっこう卒業そつぎょう」と回答かいとうした人ひとは1万まん9857人にんいました。

▽50代だいが6663人にん

▽40代だいが6163人にん

▽30代だいが4221人にん

▽20代だいが2508人にん

▽15歳さいから19歳さいでも302人にんとなっています。

いずれの年代ねんだいも外国がいこく人じんが50％余あまりを占しめていますが、日本人にっぽんじんも40％を超こえています。

さらに50代だい以下いかでは、小学校しょうがっこうに通かよえていない「未み就学しゅうがく」の人ひとも3万まん3767人にんに上のぼり、日本人にっぽんじんが80％近ちかくを占しめています。

小学校しょうがっこう卒業そつぎょうが最終さいしゅう学歴がくれきの人ひとと合あわせると、義務ぎむ教育きょういくを終了しゅうりょうしていない人ひとは50代だい以下いかで少すくなくとも5万まん3000人にんにのぼることが今回こんかいの調査ちょうさで明あきらかになりました。

なぜこうした事態じたいになっているのか。

今回こんかいの調査ちょうさからはわかりませんが、岡山おかやま県けんで日本にっぽん最大さいだい規模きぼの「自主じしゅ夜間やかん中学校ちゅうがっこう」を運営うんえいし、小学校しょうがっこうや中学校ちゅうがっこうに通かよえなかった人ひとの学まなびを支援しえんしている城之内じょうのうち庸いさお仁じん代表だいひょうは次つぎのように話はなしています。

「中なかには、いじめや不ふ登校とうこう、それに引ひきこもり、親おやのネグレクトなどでほとんど学校がっこうに通かよえなかった人ひともいる。“形式けいしき的てきに卒業そつぎょう”したことになっている人ひとも一定いってい数すういると見みられるが、実態じったいとしては学校がっこうに行いっていないという認識にんしきが強つよく残のこっている人ひとも多おおくいるのではないか」

子こどもの貧困ひんこんや学校がっこう教育きょういくに詳くわしい立命館大学りつめいかんだいがくの柏木かしわぎ智子さとこ教授きょうじゅはこう指摘してきしています。

「外国がいこく人じんの未み就学しゅうがくは課題かだいとして指摘してきされており、想定そうていされていたが、50代だい以下いかの世代せだいで日本人にっぽんじんでも同どう程度ていどぐらいが『小しょう卒そつ』という回答かいとうをしているのは憂慮ゆうりょすべき事態じたいだ。もっと早はやくからこうした実態じったい把握はあくをすべきだった。最終さいしゅう学歴がくれきが大卒だいそつの人ひとと比くらべると生涯しょうがい賃金ちんぎんや生活せいかつの質しつにおいて大おおきな差さがあり、貧困ひんこん状態じょうたいにも陥おちいりやすく自分じぶん自身じしんが望のぞむ生き方いきかたができない状況じょうきょうに陥おちいることが想定そうていされる」。

50代だい以下いかで外国がいこく人じんが多おおい背景はいけいは？

全体ぜんたいを占しめる外国がいこく人じんの割合わりあいは2.5％ですが、50代だい以下いかでは半数はんすうを超こえているのはなぜなのでしょうか。

その背景はいけいには、1990年ねんに入管にゅうかん法ほうが改正かいせいされ、それに伴ともなって、日系にっけい3世せいまで定住ていじゅうが可能かのうとなることが明確めいかく化かされるなど、年々ねんねん、外国がいこく人じんが増ふえていることがあると考かんがえられています。

ただ、言語げんごや文化ぶんかの違ちがいから、日本にっぽんの学校がっこうに通かようことを困難こんなんに感かんじている子こどももいると指摘してきされています。

義務ぎむ教育きょういく制度せいどはどうなっている？

1947年ねんに定さだめられた今いまの義務ぎむ教育きょういく制度せいどは、憲法けんぽうと学校がっこう教育きょういく法ほうに基もとづき「すべて国民こくみんは、法律ほうりつの定さだめるところにより、その保護ほごする子女しじょに普通ふつう教育きょういくを受うけさせる義務ぎむを負おう。義務ぎむ教育きょういくは、これを無償むしょうとする」とし、保護ほご者しゃは子こどもを学校がっこうに通かよわせる「就学しゅうがく」の義務ぎむを負おいます。

義務ぎむ教育きょういくを子こどもに受うけさせなかった場合ばあい、督促とくそくされますが、それでも受うけさせなかった場合ばあい、保護ほご者しゃに10万まん円えんの罰金ばっきんが科かせられることが法律ほうりつで定さだめられています。

文部もんぶ科学かがく省しょうによりますと、外国がいこくの子こどもたちも、国際こくさい人権じんけん規約きやくに基もとづき義務ぎむ教育きょういくを受うける権利けんりは認みとめられています。

一方いっぽうで、外国がいこく人じんの保護ほご者しゃに子こどもを就学しゅうがくさせることは義務ぎむづけておらず、国くには、子こどもたちを学まなばせるよう呼よびかけています。

都道とどう府県ふけん別べつは

最終さいしゅう学歴がくれきが「小学校しょうがっこう卒業そつぎょう」の人ひとや「未み就学しゅうがく」の人ひとの状況じょうきょうを都道とどう府県ふけん別べつにみていきます。

最もっとも多おおかったのは北海道ほっかいどうで5万まん8444人にん、次ついで愛知あいち県けんで4万まん3072人にん、新潟にいがた県けんで3万まん6154人にん、大阪おおさか府ふが4万まん2399人にんとなっています。

学まなびを支ささえる1つ“夜間やかん中学ちゅうがく”の現状げんじょうは

義務ぎむ教育きょういくを受うけられなかった人ひとが「学まなびたい」と思おもった時とき、どうしたらいいのでしょうか。

その1つの受け皿うけざらとして国くにが設置せっちを呼よびかけているのが「夜間やかん中学ちゅうがく」です。

2016年ねんに施行しこうされた「教育きょういく機会きかい確保かくほ法ほう」では、「夜間やかん中学ちゅうがく」を設置せっちするなど学習がくしゅうの機会きかいを提供ていきょうするよう自治体じちたいに義務ぎむづけていて、国くには、すべての都道とどう府県ふけんや政令せいれい指定してい都市としに少すくなくとも1つは「夜間やかん中学ちゅうがく」を設置せっちするよう呼よびかけています。

一方いっぽうで、全国ぜんこくの夜間やかん中学ちゅうがくは、この春はるに北海道ほっかいどうなどで開校かいこうした4校こうを含ふくめても15都道とどう府県ふけんの40校こうにとどまっています。

夜間やかん中学ちゅうがくがない地域ちいきのうち、宮城みやぎ県けん仙台せんだい市しや静岡しずおか県けんなど3県けんで来年らいねんや再さい来年らいねんに開校かいこうするほか、鳥取とっとり県けんや群馬ぐんま県けんなど6県けんでこれから開校かいこうに向むけて検討けんとうが進すすめられています。

しかし、23県けんでは設置せっちの時期じきなど具体ぐたい的てきな見通みとおしが立たっていないということで、文部もんぶ科学かがく省しょうは今回こんかいの調査ちょうさ結果けっかを受うけ、全国ぜんこくの教育きょういく委員いいん会かいに夜間やかん中学ちゅうがくの設置せっちや充実じゅうじつに取り組とりくむよう文書ぶんしょで通知つうちしました。

学まなびの支援しえん、どうすれば？

立命館大学りつめいかんだいがくの柏木かしわぎ智子さとこ教授きょうじゅは、支援しえんの在り方ありかたについて、このように話はなしています。

「夜間やかん中学ちゅうがくは重要じゅうような学まなび直なおしの機会きかいを保障ほしょうする場ばで設置せっちを進すすめるべきだが、仕事しごとや子育こそだてで通かよいにくい人ひとや一いち度ど学校がっこうに通かようのをやめた人ひとたちが再ふたたび通学つうがくすることには大おおきなハードルもあり、公的こうてきサービスにより多様たようなニーズに合あわせて学まなびを保障ほしょうする必要ひつようがある。また国勢こくせい調査ちょうさは回答かいとう者しゃの認識にんしきに基もとづくもので、調査ちょうさに回答かいとうしていない人ひとも相当そうとう数すういることから、必かならずしも実態じったいと合致がっちしているとは限かぎらない。支援しえんにつなげるには、より詳細しょうさいな分析ぶんせきが必要ひつようになる」。