この中で専門家は「大規模な感染拡大が継続している」と分析し、感染状況の警戒レベルを1段引き上げ、4段階のうち最も高いレベルにしました。感染状況が最も高いレベルになるのはことし4月以来です。
この時は第6波の感染拡大で1月に最も高いレベルに引き上げられ、3か月余り維持されました。
新規陽性者の7日間平均は13日時点で1万110.1人となり、1週間前の2.3倍と大幅に増加しました。
そのうえで「感染拡大により就業制限を受ける人が多数発生することが予想され、医療提供体制が十分に機能しないことも含めて社会機能の低下を余儀なくされる」と指摘しました。 さらに専門家は「基本的な感染防止策を徹底するなど新規陽性者の増加をできるかぎり抑制し、若い世代を含め3回目のワクチン接種を促進するとともに高齢者などへの4回目の接種を急ぐ必要がある」と呼びかけました。
上から2番目のレベルとなるのは2か月余り前のことし5月以来です。 都内の入院患者は13日時点で2200人余りと2週間でおよそ2.5倍に増加していて、60歳以上の割合がおよそ65%を占めているということです。 専門家は「患者の重症度、年齢などに応じて臨時の医療施設などを含め病床を柔軟に活用する必要がある」などと指摘しています。
このうち入院患者は1週間で2.5倍になり、保健所から都の「入院調整本部」に入院先を探すよう求める件数が増加していると説明しました。 件数は13日時点で300件となっていて、別の病気がある人や高齢者の入院調整が難航するケースが出ているとしています。 また熱中症の増加で救急搬送が困難になるケースが増えているとして、今後の救急医療体制への影響に警戒する必要があると指摘しています。 このほか感染確認の増加に伴って自宅で療養している人が5万3000人余り、入院か療養か調整している人が2万5000人余りに急増していることから、体制を充実させる必要があるとしています。 一方、重症の患者は低い水準で推移しているものの増加傾向にあることから、今後の推移に警戒が必要だと指摘しています。
都は新型コロナウイルスの変異株のスクリーニング検査を行っていて、このうちオミクロン株の「BA.5」の疑いがあるウイルスはことし5月30日までの1週間で初めて確認され全体の0.8%でした。 ただその後置き換わりが急速に進み、およそ1か月後の今月4日までの1週間では全体の56.4%になり、初めて半分を超えたということです。 一方、オミクロン株の「BA.2」の疑いがあるウイルスは1か月前はほとんどを占めていましたが、今月4日までの1週間では38.3%まで減少しているということです。 国立国際医療研究センター・国際感染症センターの大曲貴夫センター長は「BA.5」のウイルスは「BA.2」よりも感染性が高いとされていると指摘し「その置き換わりが新規陽性者数の増加の主たる要因であるとは言える。ただもう1つの要因として人の接触が増えていたことも事実だ」と述べ、基本的な感染防止対策の徹底を呼びかけました。
会議ではワクチンの追加接種の効果について、都の研究機関が調査した結果が示されました。 それによりますと、3回目の接種を行った人の7か月後の抗体の量「中和抗体価」は、2回目の接種から7か月たった時と比較して高い値を維持していたほか、4回目の接種ではさらに増加したということです。 またオンラインで出席した大阪大学免疫学フロンティア研究センターの宮坂昌之 招へい教授は、置き換わりが進むオミクロン株の「BA.5」について「非常に免疫回避性が強いため抗体ができにくく抗体が効きにくい」と説明しました。 そのうえで「2回の接種ではなかなか防ぎきれず3回、4回と接種してかろうじて防御できるぐらいの状況だ」と指摘しました。 都に助言を行う東京iCDCの所長で、東北医科薬科大学の賀来満夫 特任教授はこれらの指摘を踏まえ「3回目の接種とともに、高齢者や基礎疾患がある人など重症化リスクが高い人の4回目の接種を進めていくことが重要だ」と指摘しました。
入院調整に難航のケースも
東京都「BA.5」が初の半分超え
「BA.5」には3回目、4回目の接種を