性的せいてき暴行ぼうこう罪ざい 父親ちちおやに有罪ゆうざいの逆転ぎゃくてん判決はんけつ 被害ひがい受うけた娘むすめのコメント全文ぜんぶん

今日きょうの名古屋なごや高等こうとう裁判所さいばんしょの判決はんけつを受うけて（令りょう和わ２に年ねん３月さんがつ12日にち）

１いち．私わたしは、実みの父親ちちおやからこのような被害ひがいを受うけてとても悔くやしい気持きもちでいっぱいです。

「逃にげようと思おもえば逃にげられたんじゃないか。もっと早はやくに助たすけを求もとめたらこんな思おもいを長ながい間ましなくて良よかったんじゃないか・・・」。

そう周まわりに言いわれもしたし、そのように思おもわれていたのはわかっています。

でも、どうしてもそれができなかった一番いちばんの理由りゆうは、幼少ようしょう期きに暴力ぼうりょくを振ふるわれたからです。

「だれかに相談そうだんしたい」、「やめてもらいたい」と考かんがえるようになったときもありました。

そのことを友達ともだちに相談そうだんして友達ともだちから嫌きらわれるのも嫌いやだったし、警察けいさつに行いくことで弟おとうと達たちがこの先さき苦労くろうするのではないかと思おもうと、とても怖こわくてじっと堪こたえ続つづけるしかありませんでした。

次第しだいに私わたしの感情かんじょうもなくなって、まるで人形にんぎょうのようでした。

被害ひがいを受うけるたび、私わたしは決きまって泣なきました。

「私わたしにはまだ泣なける感情かんじょうが残のこっている」ということ、それだけが唯一ゆいいつの救すくいでした。

私わたしが一人っ子ひとりっこだったら、何なにも迷まよわずにもっと早はやくに訴うったえられていたかもしれません。

やっぱり大切たいせつな弟おとうとたちのことが心配しんぱいだったのです。

そんな弟おとうとたちと離はなれなくてはいけなくなること、生活せいかつが大変たいへんになるかもしれないこと、ただそれだけを考かんがえると、嫌いやでも仕方しかたなくてじっと我慢がまんするしかできませんでした。

今いまも弟おとうとたちに会あいたい。

話はなしたい。

その気持きもちでいっぱいです。

今いまも会あえないのは苦くるしいです。

２に．二度にどと会あいたくないのは、父親ちちおやです。

あの人ひとが私わたしの人生じんせいをぶち壊ぶちこわしたんです。

返かえしてください。

私わたしのこの無意味むいみに空費くうひした時間じかんを！気きに病やんだ時間じかんを！全部ぜんぶ返かえしてください。

やってみたかったこと、本当ほんとうはいっぱいありました。

でも全部ぜんぶ諦あきらめました。

今いま、すべてのことを振り返ふりかえってみると、ひたすら悔くやしい気持きもちです。

父ちちとの毎日まいにちは非常識ひじょうしきであり、ただただ気持きもち悪わるかったです。

どうしたらあんなことができるのか、わかりません。

私わたしたちはただ普通ふつうに暮くらしたいのです。

暴力ぼうりょくも暴行ぼうこうも、無慈悲むじひな言動げんどうのない普通ふつうの生活せいかつがしたいんです。

もう二度にどとこんな思おもいはしたくありません。

これから私わたしは無駄むだにしてしまった時間じかんを精一杯せいいっぱい埋うめていきたいので、邪魔じゃましないでもらいたいです。

私わたしは父ちちを許ゆるすことは絶対ぜったいにできません。

不安ふあんと苛立いらだちに押おしつぶされそうな苦くるしい毎日まいにちでした。

そして今いまも同おなじです。

私わたしや弟おとうとたちの前まえに二度にどと姿すがたを現あらわさないでほしいです。

３さん．無罪むざい判決はんけつが出でたときには、取り乱とりみだしました。

荒あれまくりました。

仕事しごとにも行いけなくなりました。

今日きょうの判決はんけつが出でて、やっと少すこしホッとできるような気持きもちです。

昨年さくねん、性せい犯罪はんざいについての無罪むざい判決はんけつが全国ぜんこくで相次あいつぎ、＃ＭｅＴｏｏ運動うんどうやフラワー・デモが広ひろがりました。

それらの活動かつどうを見聞みききすると、今回こんかいの私わたしの訴うったえは、意味いみがあったと思おもえています。

なかなか性せい被害ひがいは言い出いいだしにくいけど、言葉ことばにできた人ひと、それに続つづけて「私わたしも」「私わたしも」と　言いいだせる人ひとが出でてきました。

私わたしの訴うったえでた苦くるしみも意味いみのある行動こうどうとなったと思おもえています。

４よん．私わたしが訴うったえ出でて、行動こうどうに移うつすまでにいろいろな支援しえん者しゃにつながりました。

しかし、「本当ほんとうにこんなことがあるの？」と信しんじてくれる人ひとは少すくなかったです。

失望しつぼうしました。

疑うたがわずに信しんじてほしかったです。

支援しえん者しゃの皆みなさん、どうか子こどもの言いうことをまず100％信しんじて聞きいてほしいのです。

今日きょう、ここにつながるまでに、私わたしは多おおくの傷きずつき体験たいけんを味あじわいました。

信しんじてもらえないつらさです。

子こどもの訴うったえに静しずかに、真剣しんけんに耳みみを傾かたむけてください。

そうでないと、頑張がんばって一いち歩ほ踏み出ふみだしても、意味いみがなくなってしまいます。

子こどもの無力むりょく感かんをどうか救すくってください。

私わたしの経験けいけんした、信しんじてもらえないつらさを、これから救すくいを求もとめてくる子こどもたちにはどうか味あじわってほしくありません。

５ご．私わたしは、幸さいわいにも、やっと守まもってくれる、寄り添よりそってくれる大人おとなに出会であえました。

同おなじような経験けいけんをした多おおくの人ひとは、道みちを踏み外ふみはずしてもおかしくないと思おもいます。

苦難くなんを生いきる子こどもにどうか並なみ走はししてくれる大人おとながいてほしいです。

最後さいごに、あの時ときの自分じぶんと今いまなお被害ひがいで苦くるしんでいる子こどもに声こえをかけるとしたら、「勇気ゆうきを持もって一いち歩ほ踏み出ふみだして欲ほしい」と伝つたえたいです。

一いち人にんでもいいから、本当ほんとうに信用しんようできる友達ともだちを持もつことも大切たいせつだと思おもいます。

以上いじょう被害ひがい者しゃ　Ａえいより