10年ねん前まえ退職たいしょくの職員しょくいんも 中央ちゅうおう省庁しょうちょうの障害しょうがい者しゃ雇用こよう水増みずましで報告ほうこく書しょ

それによりますと、去年きょねん６月ろくがつの時点じてんで、中央ちゅうおう省庁しょうちょうの８はち割わりを超こえる28の機関きかんで合あわせて3700人にんが水増みずましされていました。

内訳うちわけは国税庁こくぜいちょうが1103人にんで最もっとも多おおく、次ついで国土こくど交通こうつう省しょうが629人にん、法務省ほうむしょうが512人にん、防衛ぼうえい省しょうが332人にんなどとなっています。

この中なかでは、国税庁こくぜいちょうで精神せいしん障害しょうがいと認定にんていする手帳てちょうを所持しょじしていない「うつ病うつびょう」などの精神せいしん疾患しっかんとされる職員しょくいんを障害しょうがい者しゃとしていたほか、国土こくど交通こうつう省しょうでは、障害しょうがい者しゃとして雇用こようされた職員しょくいんを退職たいしょく後ごも計上けいじょうし続つづけていて、中なかにはおよそ10年ねん前まえに退職たいしょくした職員しょくいんも含ふくまれていたということです。

そのうえで、多おおくの機関きかんでは法律ほうりつで定さだめられた雇用こよう率りつを達成たっせいするため、恣意しい的てきに解釈かいしゃくした基準きじゅんに基もとづいたずさんな運用うんようが長年ながねんにわたって続つづけられていたと指摘してきしています。

一方いっぽう、所管しょかんする厚生こうせい労働ろうどう省しょうも民間みんかん企業きぎょうへの指導しどうに重点じゅうてんを置おくあまり、中央ちゅうおう省庁しょうちょうの実態じったい把握はあくがおろそかで、障害しょうがい者しゃの範囲はんいや確認かくにん方法ほうほうなどに関にかんする周知しゅうちなどもあいまいだったとしています。

そして「極きわめてゆゆしき事態じたいだ」として、再発さいはつ防止ぼうしを図はかることはもとより、障害しょうがい者しゃ雇用こようを促進そくしんするため指導しどうや対策たいさくに取り組とりくむよう求もとめています。

総合そうごう職しょく試験しけんに合格ごうかく 面接めんせつで不ふ採用さいようの障害しょうがい者しゃは

検証けんしょう委員いいん会かいの報告ほうこく書しょについて、中央ちゅうおう省庁しょうちょうへの就職しゅうしょくを目指めざし不ふ採用さいようとなった障害しょうがい者しゃからは「水増みずましは意図いと的てきに行おこなわれたとしか思おもえない。自分じぶんの力ちからの及およばないところに左右さゆうされていたかもしれないと思おもうと、悔くやしいし悲かなしい」という声こえが上あがりました。

関西かんさい地方ちほうに住すむ20代だいの男性だんせいは、脳性のうせいまひによって手足てあしに重度じゅうどの障害しょうがいがあり、電動でんどう車くるまいすで生活せいかつしています。

国立こくりつ大学だいがくの学生がくせいだった数すう年ねん前まえ、障害しょうがい者しゃとしての視点してんを生いかして国くにの政策せいさくに携たずさわる仕事しごとがしたいと、いわゆるキャリア官僚かんりょうを目指めざして国家こっか公務員こうむいんの総合そうごう職しょく試験しけんを受験じゅけんし、上位じょうい16番目ばんめという優秀ゆうしゅうな成績せいせきで合格ごうかくしました。

中央ちゅうおう省庁しょうちょうに就職しゅうしょくするには、試験しけんに合格ごうかくしたあと各かく省庁しょうちょうの面接めんせつを受うけて採用さいようされる必要ひつようがありますが、男性だんせいはいずれの省庁しょうちょうも不ふ採用さいようとなりました。

面接めんせつを受うけたのは財務省ざいむしょうや文部もんぶ科学かがく省しょうなど、今回こんかい、水増みずましが明あきらかになった省庁しょうちょうでした。

総合そうごう職しょく試験しけんのほか、一般いっぱん職しょく試験しけんにも合格ごうかくしていて、各かく省庁しょうちょうの面接めんせつを受うけましたが、一般いっぱん職しょくでも採用さいようには至いたりませんでした。

男性だんせいは「当時とうじは自分じぶんの能力のうりょく不足ふそくが原因げんいんで採用さいようされなかったのだろうと気持きもちを切り替きりかえたが、自分じぶんの力ちからの及およばないところに左右さゆうされていたかもしれないと思おもうと、悔くやしいし悲かなしい」と話はなしました。

大学だいがく卒業そつぎょう後ご、男性だんせいは関西かんさい地方ちほうの自治体じちたいに地方ちほう公務員こうむいんとして就職しゅうしょくし、現在げんざい、自治体じちたいの政策せいさく作づくりにも携たずさわっています。

今回こんかい、明あきらかになったさまざまな水増みずましの内容ないようについて「意図いと的てきに行おこなわれたとしか思おもえない。私わたしも公務員こうむいんなので思おもうが、行政ぎょうせい機関きかんは法律ほうりつを順守じゅんしゅすべき立場たちばだから、どのような事情じじょうであれ、法律ほうりつをゆがめるような作為さくい的てきなことは許ゆるされない」と批判ひはんしました。

そのうえで今後こんご、国くにに期待きたいすることとしては「ただ数すう合あわせで障害しょうがい者しゃを雇用こようするのであれば意味いみがなく、政策せいさく立案りつあんの過程かていにどんどん携たずさわっていけるようにしてほしい。一過いっか性せいではなく、障害しょうがい者しゃ雇用こようを継続けいぞくできるような安定あんてい的てきな制度せいどを作つくってほしい」と訴うったえていました。

来年らいねん度ど末まつまでに障害しょうがい者しゃ4000人にん余よ 雇用こようへ

今回こんかいの問題もんだいを受うけ、関係かんけい省庁しょうちょうの連絡れんらく会議かいぎでは障害しょうがい者しゃの雇用こよう促進そくしん策さくをまとめました。

この中なかでは法律ほうりつで定さだめられた雇用こよう率りつ、2.5％を達成たっせいするため、来年らいねん度ど末まつまでに中央ちゅうおう省庁しょうちょう全体ぜんたいで4000人にん余あまりの障害しょうがい者しゃを雇用こようするとしています。

そのための雇用こよう促進そくしん策さくとして、障害しょうがい者しゃを対象たいしょうとした統一とういつ的てきな職員しょくいん採用さいよう試験しけんを新あらたに設もうけ、来年らいねん２月にがつに初はじめて実施じっしするほか、職場しょくばへの定着ていちゃくを進すすめるため非常勤ひじょうきんでの勤務きんむを経験けいけんしたあとに、常勤じょうきんに移行いこうできる制度せいどなどを設もうけるとしています。

また、法定ほうてい雇用こよう率りつを達成たっせいできていない地方ちほう自治体じちたいに対にたいしても、必要ひつような措置そちを講こうじるよう要請ようせいするとともに、国くにからの支援しえんを検討けんとうするとしています。

根元ねもと厚生こうせい労働ろうどう相しょう「深ふかく反省はんせい 各かく府ふ省しょうは最大限さいだいげん尽力じんりょくを」

根本ねもと厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんは関係かんけい省庁しょうちょうの連絡れんらく会議かいぎで「大変たいへん厳きびしい指摘してきを受うけた。政府せいふとして真摯しんし（しんし）に受け止うけとめ、深ふかく反省はんせいしたい。法定ほうてい雇用こよう率りつを達成たっせいするだけでなく、障害しょうがいのある方ほうが意欲いよくと能力のうりょくを発揮はっきして活躍かつやくできる場ばの拡大かくだいに取り組とりくむことが重要じゅうようで、各かく府ふ省しょうには最大限さいだいげん尽力じんりょくしてもらいたい」と述のべました。