日本新聞: “ＩＮＦ全廃条約破棄” 米大統領補佐官がロシア外相と会談へ

“ＩＮＦ全廃ぜんぱい条約じょうやく破棄はき” 米べい大統領だいとうりょう補佐ほさ官かんがロシア外相がいしょうと会談かいだんへ

Oct 22, 2018 05:10

Furigana

アメリカのトランプ大統領だいとうりょうが、ＩＮＦ＝中距離ちゅうきょり核ミサイルかくみさいる全廃ぜんぱい条約じょうやくをロシアが順守じゅんしゅしていないとして破棄はきする考かんがえを示しめしたことについて、ボルトン大統領だいとうりょう補佐ほさ官かんは22日にち、ロシアのラブロフ外相がいしょうなどと会談かいだんし、説明せつめいする見通みとおしです。アメリカは、ロシアの対応たいおう次第しだいで条約じょうやくを破棄はきする手続てつづきに踏み切ふみきるとみられ、会談かいだんの行方ゆくえが注目ちゅうもくされます。アメリカのトランプ大統領だいとうりょうは20日にち、冷戦れいせん時代じだいの1987年ねんにアメリカと旧きゅうソビエトが調印ちょういんし、現在げんざいはロシアが履行りこう義務ぎむを引き継ひきつぐＩＮＦ＝中距離ちゅうきょり核ミサイルかくみさいる全廃ぜんぱい条約じょうやくについて「われわれは条約じょうやくを尊重そんちょうし守まもっているが、ロシアはそうではない」などと述のべ、条約じょうやくを破棄はきする考かんがえを明あきらかにしました。

これを受うけて、アメリカのボルトン大統領だいとうりょう補佐ほさ官かんが22日にち、モスクワでラブロフ外相がいしょうなどと会談かいだんし、翌日よくじつにはプーチン大統領だいとうりょうとの会談かいだんも調整ちょうせいが進すすめられているということです。

ただ、ロシアのリャプコフ外務がいむ次官じかんは21日にち、「ロシアは厳格げんかくに条約じょうやくを順守じゅんしゅしている」と反論はんろんしたうえで、条約じょうやく破棄はきは軍事ぐんじ面めんで絶対ぜったい的てきに優位ゆういな立場たちばを確立かくりつさせたいアメリカの一方いっぽう的てきな行動こうどうだと非難ひなんしていて、ロシア側がわはボルトン補佐ほさ官かんに対にたいしても、こうした考かんがえを伝つたえるとみられます。

アメリカは、ロシアの対応たいおう次第しだいで条約じょうやくを破棄はきする手続てつづきに踏み切ふみきるとみられ、破棄はきされればアメリカとロシア、そして中国ちゅうごくによる軍拡ぐんかく競争きょうそうの危険きけん性せいが一段いちだんと高たかまるおそれがあるだけに、会談かいだんの行方ゆくえが注目ちゅうもくされます。

ゴルバチョフ氏し「努力どりょくが台だいなしに」

31年ねん前まえ、旧きゅうソビエトを代表だいひょうして条約じょうやくに調印ちょういんしたゴルバチョフ氏し（87）は21日にち、ロシアの通信つうしん社しゃのインタビューにこたえ、「ソビエトの指導しどう部ぶと何なによりアメリカ自身じしんが核軍縮かくぐんしゅくのために注そそいだ努力どりょくをすべて台だいなしにするものだ」と述のべ、トランプ大統領だいとうりょうが条約じょうやくを破棄はきする考かんがえを示しめしたことを批判ひはんしました。

そのうえで、「軍縮ぐんしゅくの合意ごういを破棄はきするようなことは絶対ぜったいにあってはならない。合意ごういの拒否きょひは良識りょうしきから外はずれており、理解りかいに苦くるしむ。条約じょうやくの破棄はきは間違まちがいだ」と訴うったえました。

そして、「アメリカが政策せいさくを転換てんかんし、後退こうたいしようとするのを支持しじしてはならない。ロシアだけでなく、核兵器かくへいきのない世界せかいを目指めざすすべての人々ひとびとが声こえをあげるべきだ」と呼よびかけました。

ゴルバチョフ氏しは、軍縮ぐんしゅくの進展しんてんや冷戦れいせんの終結しゅうけつに大おおきな役割やくわりを果はたしたことが評価ひょうかされ、1990年ねんにはノーベル平和へいわ賞しょうを受賞じゅしょうしています。

英えい国防こくぼう相しょう「米こめを強つよく支持しじする」

イギリスのウィリアムソン国防こくぼう相しょうはイギリスのメディアに「われわれは、ロシアが条約じょうやくを順守じゅんしゅする必要ひつようがあるという明確めいかくなメッセージを伝つたえるアメリカの立場たちばを強つよく支持しじする」と述のべました。

そのうえで、「条約じょうやくが継続けいぞくされることを望のぞんでいるが、ロシアは条約じょうやくに違反いはんしていて、対応たいおうを改あらためる必要ひつようがある」と述のべ、ロシア側がわを批判ひはんしました。

独どく外相がいしょう「米べいは起おこりうる結果けっかの考慮こうりょを」

ドイツのマース外相がいしょうは21日にちに声明せいめいを発表はっぴょうし、「条約じょうやくは30年間ねんかん、ヨーロッパの平和へいわ構築こうちくの重要じゅうような柱はしらとなってきた」と述のべました。

そのうえで、「われわれはロシアに対にたいして条約じょうやくに違反いはんしているという訴うったえに対処たいしょするよう働はたらきかけてきた。今回こんかいは、アメリカに対にたいして起おこりうる結果けっかを考慮こうりょするよう求もとめる」として、条約じょうやくの破棄はきが核軍縮かくぐんしゅくの流ながれを逆戻ぎゃくもどりさせることへの懸念けねんを示しめしました。