ガザ地区では、多くの病院が発電機で電力をまかなっていますが、燃料不足が深刻で、保健当局によりますと、ガザ地区にある35の病院のうち16の病院が稼働できなくなっているということです。
ジャバリア難民キャンプで連日激しい空爆 2日間で195人死亡
イスラエル軍は1日、ガザ地区最大規模のジャバリア難民キャンプに対して前日に続いて激しい空爆を行いました。
ガザ地区の当局は、2日間にわたる空爆で195人が死亡し、およそ120人ががれきの下敷きになるなどして行方がわからないとしています。
ロイター通信が1日に配信したジャバリア難民キャンプの映像には、破壊されたコンクリート製の住居のがれきが散乱して煙が立ちこめる中、住民たちがけが人やがれきの下敷きになった人たちを救出する様子が映っていました。
また、救出した人や負傷者を担架に乗せたり抱きかかえたりして救急車に乗せる様子や、生存者を探す住民たちの様子も確認できます。
攻撃を目撃した住民の男性は「モスクでお祈りをしていて、空爆による爆発音を聞いた。これは大虐殺だ」と憤りをあらわにしていました。
UNRWA ガザ地区で死亡した国連スタッフ 合わせて70人に
パレスチナ難民を支援するUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関によりますと、先月7日以降ガザ地区で亡くなった国連スタッフの数が合わせて70人にのぼったということです。
これについてUNRWAは「これほど短期間に紛争で死亡した国連職員の人数としては最も多くなった」としています。
一連の衝突で少なくとも33人のジャーナリストが死亡 CPJ
ニューヨークに本部があり、報道の自由を守る活動をしている国際的なNPO「CPJ=ジャーナリスト保護委員会」によりますと、先月7日からのイスラム組織ハマスとイスラエル軍との一連の衝突で、今月1日までに少なくとも33人のジャーナリストが死亡したということです。
33人のうち、▼28人がパレスチナ人、▼4人がイスラエル人、▼1人がレバノン人で、この中にはガザ地区の地元メディアのジャーナリストや、レバノン南部の国境付近で取材中だったロイター通信のカメラマンなどが含まれるということです。
また、8人が負傷したほか、9人が行方不明または拘束されたと報告しています。
CPJはコメントで「この地域全体にいるジャーナリストは、悲痛な紛争を取材するために大きな犠牲を払っていて、特にガザにいるジャーナリストは前例のない犠牲を払い続けている。ジャーナリストは危機的な状況の中で重要な仕事をしている民間人であり、紛争当事者に狙われてはならない」と強い危機感を示しています。
イスラエル軍は先月下旬、空爆などガザ地区への攻撃を続けるなか「ガザ地区で活動するジャーナリストの安全を保証できない」とする書簡をロイター通信などに送っていました。
ガザ地区最大規模の難民キャンプ 攻撃前後の衛星画像
人工衛星を運用するアメリカの企業「マクサー・テクノロジーズ」は、イスラエル軍による攻撃があったガザ地区最大規模のジャバリア難民キャンプについて、攻撃の前と後の様子を比較した衛星画像を公開しました。
10月31日の画像では、多くの建物がひしめくように密集してたっている様子がわかりますが、11月1日に同じ場所を撮影した画像では、複数の建物が原形をとどめないほど激しく崩れている様子が確認できます。
さらに、その周辺の建物にも広範囲にわたって黒く焼け焦げたようなあとが確認でき、攻撃の激しさがうかがえます。
ハマス 上空からの映像公開 地面に大きな穴
イスラム組織ハマスは1日、ガザ地区でイスラエル軍との戦闘が続く場所を上空から撮影した映像を公開しました。
映像では、市街地でいくつもの建物が跡形もなく破壊され、大量のがれきが散らばっている様子のほか、空爆などによって地面に空いたとみられる大きな穴が多数確認できます。
また、すぐそばのイスラエル軍の戦車や兵士が集まっている場所に、上空の無人機から爆弾を投下して攻撃する様子もうつっています。
さらに、別の動画では、ハマスの戦闘員がトンネルのような場所から地上に出て、はうように地面を進んだあと、ロケットランチャーのようなもので攻撃し、イスラエル軍の軍用車両に命中して爆発が起きる様子も記録されています。
ハマスが声明 “無法な組織の行動に終止符打つ”
イスラム組織ハマスは1日、SNSで声明を発表し「イスラエル軍は、ジャバリア難民キャンプで24時間以内に2度目の犯罪を行った。権威主義的で無法な組織の行動に終止符を打つべく、私たちは国際社会のメンバーなどに対し、政治的・道徳的責任を果たすよう、緊急に呼びかける」としてイスラエル軍を強く非難しました。
国連 ガザ地区難民キャンプ攻撃「戦争犯罪にも該当」
イスラエル軍によるガザ地区最大規模のジャバリア難民キャンプへの攻撃について、国連人権高等弁務官事務所は1日「民間人の多大な犠牲と、破壊の規模を考えるとこれは戦争犯罪にも該当しうる過度な攻撃だと懸念する」とSNSに投稿し、強く非難しました。
バイデン大統領 “退避は数日間続く” 見通し示す
バイデン大統領は1日に行った演説の中で、外国国籍を持つ人々などの退避は今後、数日間、続くという見通しを示しました。バイデン大統領は退避に向けてイスラエルのネタニヤフ首相やエジプトのシシ大統領などと協議を重ねたほか、カタールからも協力を得たとし、「これはアメリカによる集中的な外交の成果だ」と強調しました。
これに先立ち、アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は、会見で退避する人たちの中に数人のアメリカ人が含まれていると明らかにしています。
国境なき医師団 日本人スタッフ3人がエジプトへ退避
国境なき医師団日本の村田愼二郎事務局長はガザ地区で業務を行っていた日本人スタッフの状況についてNHKの取材に応じました。
それによりますと、ガザ地区から避難してきた日本人スタッフ3人をエジプト側で迎えたということです。
3人の健康状態について「休息がとれる場所に到着してから健康診断などを受ける。エジプトの首都カイロで休息をとり、心理ケアと健康診断を行う予定だ」としています。
ガザ地区から複数の日本人がエジプト側に退避 日本政府関係者
日本政府関係者によりますとイスラエルが軍事作戦を続けるガザ地区から1日、複数の日本人がラファ検問所を通ってエジプト側に退避したということです。
ガザ地区で境界管理を担当する当局は1日、ラファ検問所を通過できる外国籍を持つ人のリストを公開していて、この中には医療支援を行う「国境なき医師団」の職員など日本人5人が含まれています。
現地時間の1日午後7時半ごろにエジプト側のラファ検問所のすぐ外で撮影されたNHKが入手した写真には、在エジプト日本大使館の職員とガザ地区から退避してきた日本人とみられる3人が映っているのが確認できます。
大使館の職員が着ているオレンジ色のベストには日の丸のようなものが見え、3人に向かって話しかけているように見えます。
また、現地で撮影された映像には日本大使館と書かれた車の前で背中に「JAPAN」と「日本国政府」と書かれたオレンジ色のベストを着た日本大使館の職員が誰かを車に誘導しているように見える様子が映し出されています。
“外国籍持つ361人 ガザ地区からエジプト側に退避”
エジプトのメディアは1日、外国籍を持つ361人がガザ地区からエジプト側に退避したと伝えました。
また、エジプト政府は1日、これまでに外国籍を持つ117人がガザ地区からエジプト側に退避し医師による健康診断を受けたと発表しました。この中には子ども35人が含まれているということです。
ただ、いずれも国籍などは明らかにしておらず、日本人が含まれているかどうかはわかっていません。
イエメン反政府勢力フーシ派 ハマス側への加勢表明
イエメンの反政府勢力フーシ派は先月31日、ガザ地区への軍事作戦を続けるイスラエルに対して弾道ミサイルなどを発射し、イスラム組織ハマス側に加勢すると表明しました。
こうした中、1日、フーシ派のナセルディン・アメル報道官がオンラインでのNHKのインタビューに応じました。
この中でアメル報道官は、イスラエルに対して行われた攻撃は、すべてイエメン本土から発射されたものだとした上で「攻撃は始まったばかりだ。今後、これまでとは比べものにならない強力な攻撃をイスラエルに仕掛ける」と述べ、今後も弾道ミサイルなどを使ってイスラエルを攻撃すると明らかにしました。
そして「イスラエルが反撃することは想定内だ。それに対する準備も整っている。私たちは4年も5年も前からイスラエルへの攻撃を想定して準備を進めてきた。私たちとイスラエルとでは力の差は大きいが、それでも大きな打撃を与えることができる」と主張しました。
一方で、フーシ派がイスラエルと敵対するイランの支援を受けていることについては「イランからの支援には感謝している。私たちはイランだけではなく、ハマスやヒズボラなど多くの勢力と協力している」として、イランが中東各地で支援する「抵抗の枢軸」と呼ばれるネットワークの一員として、イスラエルに抵抗し続けると強調しました。
バイデン政権 “イスラム教徒に対する偏見なくす対策打ち出す”
アメリカのイスラム教徒の全米規模の組織「アメリカ・イスラム関係評議会」は、アメリカでイスラム教徒に対する偏見や嫌がらせの報告が急増しているとしています。
こうした中、バイデン政権は1日、イスラム教徒に対するあらゆる形態の嫌悪や偏見をなくすための対策を盛り込んだ国家戦略を打ち出すと発表しました。
発表では「アメリカのイスラム教徒などはあまりにも長い間、多くの憎しみに満ちた攻撃や差別的な事件に耐えてきた」と指摘したうえで、先月には、シカゴ郊外でイスラム教徒の母子が襲われ6歳の男の子が亡くなったことに触れています。
国家戦略は今後、地域社会のリーダーや、連邦議会の議員などと協議を重ねて策定する方針で「すべてのアメリカ人がどのように祈り、何を信じるかを恐れることなく安全に生活できる自由を確保するための取り組みを続ける」としています。