長崎ながさき原爆げんばく投下とうかから80年はちじゅうねん 「長崎ながさきを最後さいごの被爆ひばく地ちに」発信はっしんの1日ついたちに

長崎ながさきに原爆げんばくが投下とうかされてから、9日ここのかで80年はちじゅうねんです。被爆ひばく者しゃの平均へいきん年齢ねんれいが86歳はちじゅうろくさいを超こえ「被爆ひばく者しゃなき時代じだい」が迫せまるなか、核兵器かくへいきをめぐる国際こくさい情勢じょうせいは厳きびしさを増ましています。9日ここのか、被爆ひばく地ち・長崎ながさきは「長崎ながさきを最後さいごの被爆ひばく地ちに」という願ねがいを国内外こくないがいに発信はっしんする1日いちにちとなります。
長崎ながさきに原爆げんばくが投下とうかされてから80年はちじゅうねんとなる9日ここのか、長崎ながさき市しの平和へいわ公園こうえんでは午前ごぜん10時じゅうじ40分よんじゅっぷんから平和へいわ祈念きねん式典しきてんが行おこなわれます。
式典しきてんでは、この1年間いちねんかんに亡なくなった被爆ひばく者しゃなどあわせて3167人さんぜんひゃくろくじゅうしちにんの名前なまえが書かき加くわえられた20万にじゅうまん1942人せんきゅうひゃくよんじゅうににんの原爆げんばく死没しぼつ者しゃ名簿めいぼが「奉安ほうあん箱ばこ」に納おさめられます。
そして、原爆げんばくがさく裂さくれつした時刻じこくの午前ごぜん11時じゅういちじ2分にふんに黙もくとうをささげ、犠牲ぎせい者しゃを追悼ついとうします。
長崎ながさき市しの鈴木すずき史朗しろう市長しちょうは式典しきてんで読み上よみあげる「長崎ながさき平和へいわ宣言せんげん」で、被爆ひばく者しゃとして初はじめて国連こくれんの演壇えんだんに立たった山口やまぐち仙せん二にさんの演説えんぜつを引用いんようし、世界せかい各地かくちで起おきている紛争ふんそうの即時そくじ停戦ていせんを求もとめることにしています。
ことしの式典しきてんには、被爆ひばく者しゃや遺族いぞくの代表だいひょうに加くわえ、アメリカやイギリスなど核かく保有ほゆう国こくを含ふくむ95きゅうじゅうごの国くにと地域ちいきの大使たいしなどが参列さんれつする予定よていです。
中東ちゅうとう地域ちいきで対立たいりつが続つづくイスラエルとパレスチナ、それにイランの代表だいひょうも出席しゅっせきすることになっていて、立場たちばの違ちがいを超こえて原爆げんばくによる犠牲ぎせい者しゃを追悼ついとうし、平和へいわな世界せかいの実現じつげんを願ねがうことになります。
被爆ひばく者しゃはことし初はじめて10万じゅうまん人にんを下回したまわり、平均へいきん年齢ねんれいも86歳はちじゅうろくさいを超こえて「被爆ひばく者しゃなき時代じだい」が迫せまるなか、核兵器かくへいきをめぐる国際こくさい情勢じょうせいは厳きびしさを増ましています。
9日ここのか、被爆ひばく地ち・長崎ながさきは「長崎ながさきを最後さいごの被爆ひばく地ちに」という願ねがいを改あらためて国内外こくないがいに発信はっしんする1日いちにちとなります。
長崎ながさき市内しない早朝そうちょうから祈いのりをささげる人ひとたち
長崎ながさき市の平和へいわ公園こうえんでは、9日ここのか早はやくから平和へいわ祈念きねん像ぞうの前まえで祈いのりをささげる人ひとたちの姿すがたがみられました。
母親ははおやの胎内たいないで被爆ひばくしたという長崎ながさき市79歳ななじゅうきゅうさい男性だんせい
「この年としまで生いきることができたことを産うんでくれた母親ははおやに感謝かんしゃしたいです。いまは平和へいわな世の中よのなかに見みえますが、世界せかいを見みると、難むずかしい時代じだいだと思おもいます。同級生どうきゅうせいの中なかには亡なくなった人ひともいて、そうした人ひとたちや子こや孫まごのためにもう少すこし頑張がんばりたいと思おもいます」
福岡ふくおか県けんに住すむ73歳ななじゅうさんさいの被爆ひばく2世にせいの男性だんせい
「祖母そぼとその妹いもうとは、原爆げんばくによって何なにを思おもうまもなく亡なくなり、あの世よで悔くやしがっていると思おもいます。核兵器かくへいきだけはあってはなりません。被爆ひばく2世にせいの男性だんせいはならないと思おもいます」
毎年まいとし、この日ひにあわせて2に歳さい下したの弟おとうとと平和へいわ公園こうえんを訪おとずれているという長崎ながさき市しの19じゅうきゅう歳さいの大学生だいがくせい
「戦後せんご80はちじゅう年ねんということで例年れいねんよりも強つよく核兵器かくへいきがなくなって平和へいわな世界せかいになるようにと願ねがいました。私わたしたち若者わかものが、被爆ひばく者しゃの声こえを次つぎの世代せだいに語かたり継ついでいきたいです」
長崎ながさき県けん長与ながよ町まち56ごじゅうろく歳さい女性じょせい
「ことしは80はちじゅう年ねんということで原爆げんばくにあわれた方かたのご冥福めいふくをお祈いのりしたいと思おもって来きました。核兵器かくへいきをなくして、子こどもたちが安心あんしんに平和へいわに暮くらせる世よの中なかになってほしいです」
埼玉さいたま県けんの66ろくじゅうろく歳さい男性だんせい
「原爆げんばく投下とうかや戦争せんそうで亡なくなった人ひとたちを思おもい、手てを合あわせました。ガザやウクライナなど、世界せかいではいまも戦争せんそうが続つづいています。日本にっぽんで平和へいわに暮くらせることはありがたいことだと改あらためて感かんじました」
父親ちちおやが11じゅういち歳さいのときに被爆ひばくしその体験たいけんを聞きいて育そだった長崎ながさき県けん長与ながよ町まち64ろくじゅうよん歳さい女性じょせい
「この地ちには原爆げんばくの犠牲ぎせいになり、悔くやしさや悲惨ひさんな思おもいを抱かかえて亡なくなったかたがたがいます。平和へいわを祈いのることを忘わすれてはいけないし、核兵器かくへいきをなくす努力どりょくを続つづけていかなければならないと思おもいます」
浦上うらかみ天主堂てんしゅどう朝あさ6ろく時じからミサ参加さんか者しゃが祈いのり
原爆げんばくで破壊はかいされ、戦後せんご再建さいけんされた長崎ながさき市しのカトリック教会きょうかい、浦上うらかみ天主堂てんしゅどうでは、被爆ひばく80はちじゅう年ねんの9ここのか日にち、早朝そうちょうからミサが行おこなわれ、参列さんれつ者しゃが原爆げんばくの犠牲ぎせい者しゃに祈いのりをささげました。
爆心地ばくしんちの北東ほくとうおよそ500ごひゃくメートルにある浦上うらかみ天主堂てんしゅどうは、80年はちじゅうねん前まえ、原爆げんばくの爆風ばくふうとその後のちの火災かさいによって一部いちぶの壁かべを残のこして倒壊とうかいしました。
また周辺しゅうへん地域ちいきに住すんでいたカトリック教徒きょうとおよそ1万いちまん2000にせん人にんのうち、8500はっせんごひゃく人にんほどが犠牲ぎせいになったとされています。
1959年せんきゅうひゃくごじゅうきゅうねんに再建さいけんされた聖堂せいどうで午前ごぜん6時ろくじから行おこなわれたミサには、およそ200にひゃく人にんが参加さんかしました。
この中なかで、中野なかの健一郎けんいちろう助任じょにん司祭しさいが「戦争せんそう体験たいけん者しゃが少すくなくなったからこそ、歴史れきしに向むき合あい、学まなび、記憶きおくにとどめ、次世代じせだいに伝つたえ、平和へいわを切きりひらく必要ひつようがあります。原爆げんばくで犠牲ぎせいとなったかたがたの永遠えいえんの安息あんそくを願ねがい、ともにお祈いのりしましょう」と呼よびかけました。
ミサはおよそ1時間いちじかん行おこなわれ、聖歌せいかが流ながれるなか、参列さんれつした人ひとたちは原爆げんばくの犠牲ぎせいになった人ひとたちを追悼ついとうし、静しずかに祈いのりをささげていました。
浦上うらかみ天主堂てんしゅどうではかつてあった2ふたつの鐘かねのうち原爆げんばくによって失うしなわれた1ひとつが、ことしアメリカのカトリック教徒きょうとたちの寄付きふによって復元ふくげんされました。
鐘かねはこのあと、原爆げんばくが炸裂さくれつした時刻じこくの午前ごぜん11じゅういち時じ2に分ふんに鳴ならされる予定よていです。
曽祖父そうそふが被爆ひばくした被爆ひばく4よん世せいだという長崎ながさき市し中学ちゅうがく2に年ねんの女子じょし生徒せいと
「原爆げんばくで亡なくなった方々かたがたが天国てんごくに行いけるよう祈いのりました。　おじいちゃんやおばあちゃんから聞きいた話はなしを友ともだちや周まわりの人ひとに伝つたえていくことが大事だいじだと思おもっています。長崎ながさきで起おきたことを世界中せかいじゅうの人ひとに知しってもらって、　早はやく戦争せんそうがなくなってほしいです」
東京とうきょうから訪おとずれた60ろくじゅう代だいの女性じょせい
「核かくのない世界せかいを祈いのるのみです。長崎ながさきの方々かたがたは『長崎ながさきを最後さいごの被爆ひばく地ちに』を合言葉あいことばに頑張がんばっていて、その思おもいに世界せかいが気付きづいて前まえに進すすめるよう祈いのります」
40よんじゅう代だいの男性だんせい
「この世界せかい情勢じょうせいの中なかで戦争せんそうや争あらそいごとがなくなるようにと思おもって来きました。息子むすこや子こどもたちが元気げんきに将来しょうらいを迎むかえられるようにお祈いのりします」
爆心地ばくしんち公園こうえん埼玉県さいたまけんの66ろくじゅうろく歳さい男性だんせい「平和へいわに暮くらせることありがたい」
9ここのか日にち5ご時じすぎ、長崎市ながさきしの爆心地ばくしんち公園こうえんを訪おとずれた埼玉県さいたまけんの66ろくじゅうろく歳さいの男性だんせいは、「原爆げんばく投下とうかや戦争せんそうで亡なくなった人ひとたちを思おもい、手てを合あわせました。ガザやウクライナなど、世界せかいではいまも戦争せんそうが続つづいています。日本にっぽんで平和へいわに暮くらせることはありがたいことだと改あらためて感かんじました」と話はなしていました。
カトリック信者しんじゃの墓地ぼち訪おとずれた人ひとが静しずかに祈いのりささげる
爆心地ばくしんちから1いちキロキロほど離はなれた長崎市ながさきし浦上地区うらかみちくのカトリック信者しんじゃの墓地ぼちでは、朝あさ早はやくから訪おとずれた人ひとが静しずかに祈いのりをささげていました。
母親ははおやと兄あに、それに姉あねの家族かぞく3さん人にんが被爆ひばくした長崎市ながさきしに住すむ76ななじゅうろく歳さいの被爆ひばく2に世せいの男性だんせいは「きょう祈いのりをささげることは、自分じぶんの人生じんせいを意義いぎづけるものだと思おもう。今いままでの被爆者ひばくしゃの声こえから学まなんで、核兵器かくへいきのない世界せかいに向むけて進すすんでいかなくてはならない」と話はなしていました。
平和へいわ祈念きねん式典しきてんことしは157ひゃくごじゅうななのすべての国くにと地域ちいきに「招待しょうたい状じょう」
「長崎ながさき原爆げんばくの日ひ」の平和へいわ祈念きねん式典しきてんをめぐっては、去年きょねん、長崎ながさき市しがイスラエルの駐ちゅう日にち大使たいしを招待しょうたいせず、日本にっぽんを除のぞくG7なな各国かっこくの大使たいしらが式典しきてんへの出席しゅっせきを見合みあわせる事態じたいとなりました。
被爆ひばく80年はちじゅうねんのことし、市しは「国際こくさい社会しゃかいで分断ぶんだんが深刻しんこく化かしているいまだからこそ、あらゆる国くにの代表だいひょうに式典しきてんに参加さんかいただきたい」などとして日本にっぽんに在外ざいがい公館こうかんなどを置おく157ひゃくごじゅうななのすべての国くにと地域ちいきに「招待しょうたい状じょう」を送おくりました。
この中なかには、イスラエルや、2022年にせんにじゅうにねんのウクライナ侵攻しんこう以降いこう、招待しょうたいを見送みおくってきたロシアとベラルーシも含ふくまれていました。
市しによりますと、ことしはアメリカの駐ちゅう日にち大使たいしのほか、イスラエルの駐ちゅう日にち大使たいしやパレスチナの駐ちゅう日にち代表だいひょう、それにロシアとベラルーシの代表だいひょうなど今月こんげつ6日むいかの時点じてんで95きゅうじゅうごの国くにと地域ちいきの代表だいひょうが式典しきてんに出席しゅっせきする予定よていだということです。
このほか、台湾たいわんは、市しから「招待状しょうたいじょう」や「案内状あんないじょう」を送おくっていませんでしたが、台湾たいわん側がわからの希望きぼうを受うけ入いれ、ことし初はじめて出席しゅっせきすることになりました。
一方いっぽう、中国ちゅうごくは去年きょねんの式典しきてんには出席しゅっせきしていましたが、ことしは欠席けっせきすると市しに連絡れんらくがあったということです。
欠席けっせきの理由りゆうについて、長崎ながさき市しはNHKの取材しゅざいに対たいし「個別こべつの理由りゆうについては回答かいとうを控ひかえている」として明あきらかにしていません。