認知にんち症しょう介護かいご 状況じょうきょう変化へんかに対応たいおう難むずかしく相談そうだん電話でんわ相次あいつぐ 新型しんがたコロナ

「認知にんち症しょうの夫おっとがマスクをつけようとしない」とか、「手洗てあらいがうまくできず大声おおごえを出だして怒おこるので、お互おたがいにイライラしている」などと、状況じょうきょうの変化へんかにうまく対応たいおうできない認知にんち症しょう特有とくゆうの難むずかしさを訴うったえるものが目立めだつということです。

またグループホームのリビングでの食事しょくじなどが中止ちゅうしされ個室こしつに閉じ込とじこめられていて筋力きんりょく低下ていかが心配しんぱいだとか、花見はなみなどのイベントが中止ちゅうしされ不安ふあんだという電話でんわが親おやから毎日まいにちかかってくるといった、入居にゅうきょ型がた介護かいご施設しせつでの生活せいかつの不安ふあんに関にかんする相談そうだんもありました。

このほか各地かくちの支部しぶには、デイサービスの利用りようを減へらしたのに、いつものようにデイサービスに行いこうとして目めを離はなした隙ひまに出でかけて迷子まいごになり、転倒てんとうして病院びょういんに搬送はんそうされたケースなども報告ほうこくされているということです。

「認知にんち症しょうの人ひとと家族かぞくの会かい」の鈴木すずき森もり夫おっと代表だいひょう理事りじは「認知にんち症しょうの患者かんじゃもその家族かぞくも余裕よゆうがなくなっていて、非常ひじょうに厳きびしい状況じょうきょうにある。とにかく1人にんで悩なやみを抱え込かかえこまないで親したしい人ひとに相談そうだんしてほしい。事態じたいがさらに長期ちょうき化かすれば、介護かいご施設しせつも家族かぞくも共倒ともだおれになるのではないかという危機きき感かんが強つよまっており、介護かいごの分野ぶんやにも思い切おもいきった財政ざいせい支援しえんをお願おねがいしたい」と話はなしています。

専門せんもん家か「認知にんち症しょうの人ひとを不安ふあんにさせないことが大事だいじ」

専門せんもん家かは、認知にんち症しょうの患者かんじゃは状況じょうきょうの変化へんかに適応てきおうするのが難むずかしいため、新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうが長期ちょうき化かすると深刻しんこくな影響えいきょうを受うけるおそれがあると指摘してきしています。

介護かいごの問題もんだいに詳くわしい淑徳しゅくとく大学だいがくの結城ゆうき康博やすひろ教授きょうじゅによりますと、認知にんち症しょうの患者かんじゃは、定期ていき的てきに受うけていたサービスが受うけられなくなったり、顔見知かおみしりの介護かいご職員しょくいんや仲間なかまに会あえなくなったりすると、生活せいかつのリズムが崩くずれ、精神せいしん的てきに不安定ふあんていになるおそれがあるということです。

結城ゆうき教授きょうじゅは、「大声おおごえを出だすなどふだんとは違ちがう行動こうどうが出でたり、精神せいしん的てきに不安定ふあんていになったりするなど、本人ほんにんに悪あく影響えいきょうが出でるだけでなく介護かいごする家族かぞくへの負担ふたんも増ふえるおそれがある。家いえにいる時間じかんが長ながくなると、要よう介護かいご度どが重おもくなったり心身しんしんの機能きのうが低下ていかしたりするなど、体からだの状態じょうたいが悪化あっかするおそれがあり、はいかいが目立めだつようになれば命いのちに関かかわる問題もんだいにもなる」と述のべました。

そのうえで、「マスクによって顔かおが隠かくれ誰だれかわからなくなると、認知にんち症しょうの人ひとは不安ふあんになって精神せいしん的てきに不安定ふあんていになることもある。置おかれている状況じょうきょうを十分じゅうぶん理解りかいできない中なかでマスクをつけろと言いわれると、意地悪いじわるをされていると感かんじる場合ばあいもあるので難むずかしい」と話はなしました。

さらに、「まずは認知にんち症しょうの人ひとを不安ふあんにさせないことが大事だいじだ。今いままで慣れ親なれしたしんだ人ひとたちの声こえを聞きくだけでも心身しんしんの状態じょうたいの低下ていかが少すこしでも食い止くいとめられる可能かのう性せいがある。人ひととの接触せっしょくが減へる不自由ふじゆうな生活せいかつの中なかでも、写真しゃしんを見みせながら話はなしかけたり電話でんわやテレビ電話でんわで会話かいわをするなど、可能かのうな限かぎりのコミュニケーションを取とることが必要ひつようだ」と話はなしました。