大阪おおさか駅えき？梅田うめだ駅えき？ “ダンジョン”梅田うめだの秘密ひみつに迫せまる

JRや私鉄してつ、地下鉄ちかてつが乗り入のりいれる梅田うめだエリア。

私鉄してつと大阪おおさかメトロは「梅田うめだ」がつく駅名えきめいとなっている一方いっぽうで、JRだけが「大阪おおさか駅えき」となっていて、駅名えきめいに「梅田うめだ」の名前なまえがつきません。

どうしてこのように異ことなる駅名えきめいとなったのでしょうか。

由来ゆらいを調しらべようと、関西かんさいの鉄道てつどうに関にかんする資料しりょうが多おおくある「京都きょうと鉄道てつどう博物館はくぶつかん」を訪おとずれました。

上うえの写真しゃしんは、京都きょうと鉄道てつどう博物館はくぶつかんに展示てんじされている、明治めいじ7年ねん当時とうじの大阪おおさか駅えきの模型もけいです。

国くには、東京とうきょうから京都きょうとを幹線かんせんと位置いちづけたうえで、さらに京都きょうとと神戸こうべを結むすぶ計画けいかくでした。

主要しゅよう都市としを結むすぶ鉄道てつどうだったため、こうした名前なまえがつけられたのです。

大阪おおさか駅えきがつくられたのはピンク色ぴんくいろの場所ばしょ。

中心ちゅうしん部ぶから離はなれていた分ぶん、梅田うめだ＝大阪おおさかという認識にんしきが広ひろがらず、「大阪おおさか駅えき」という呼よび方かたが根ねづかなかったと考かんがえられています。

その後そのご、阪神はんしんや阪急はんきゅう、そして地下鉄ちかてつが次々つぎつぎに開通かいつう。いずれも、駅名えきめいは「梅田うめだ」と名なづけられました。

大阪おおさかの近代きんだいの歴史れきしに詳くわしい専門せんもん家かに話はなしを聞きくと、駅名えきめいの違ちがいは役割やくわりが違ちがうためではないかと指摘してきします。

大阪おおさか歴史れきし博物館はくぶつかん 船越ふなこし幹央みきお 学芸がくげい員いん

「JRの大阪おおさか駅えきは、東京とうきょうからやってくる鉄道てつどうの大阪おおさかに設置せっちされた駅えきなので、都市としの名前なまえをとった大阪おおさか駅えきとなります。一方いっぽう、私鉄してつの駅えきは、地元じもとの方ほうが日常にちじょう的てきによく使つかわれる路線ろせんですので、「梅田うめだ」という親したしみのある名前なまえをつけることがいいのではないかと考かんがえたのではないでしょうか。梅田うめだ駅えきと比くらべると、大阪おおさか駅えきは少すこし遠出とおでをするときに利用りようされるようなイメージの駅えきだったと思おもいます」

私わたし（記者きしゃ）も大阪おおさかに赴任ふにんして3年ねんで、ようやく慣なれてきましたが、今いまでも迷まようことがあります。

なぜ梅田うめだの地下街ちかがいがこれほど複雑ふくざつになったのでしょうか。

甲子園こうしえん球場きゅうじょう1.6個こ分ぶんで、日本にっぽん有数ゆうすうの広ひろさです。

迷路めいろのように道みちが入り組いりくんでいるほか、坂さかや段差だんさも多おおく、SNSでは某ぼう有名ゆうめいゲームを意識いしきして、「地下ちかろう」などを意味いみする「ダンジョン」と呼よばれることもあります。

大阪おおさか歴史れきし博物館はくぶつかんの船越ふなこしさんと実際じっさいに街まちを歩あるいてみることにしました。

船越ふなこしさんがまず指摘してきしたのは、地上ちじょうの道みちです。

実じつは、このピンク色ぴんくいろの部分ぶぶん、地上ちじょうの道みちと同おなじ場所ばしょを通とおっているのです。

地上ちじょうの道みちがさらに複雑ふくざつになっている部分ぶぶんは、地下街ちかがいでもそのまま通路つうろとなっています。

地上ちじょうでは周まわりの建物たてものも見みえるので目印めじるしとなるものが多おおく、迷まようことはあまりありません。

しかし、地下街ちかがいでは目印めじるしになるようなものが少すくなく、見通みとおしもききません。

このため、迷路めいろに迷い込まよいこんだような感覚かんかくに陥おちいるのだといいます。

そのため、繁華はんか街がいや住宅じゅうたく地ちから最短さいたん距離きょりで駅えきに向むかうために、さまざま方角ほうがくから道路どうろがつくられていったのです。

大阪おおさか歴史れきし博物館はくぶつかん 船越ふなこし幹央みきお 学芸がくげい員いん

「建物たてものがないような田たんぼの中なかに道路どうろを通とおすので、大阪おおさか駅えきに向むかって斜ななめに道みちを通とおすことができました。こうしたことから、駅えき周辺しゅうへんが複雑ふくざつな形かたちの道路どうろになったと考かんがえられます」

こうした中なか、大阪おおさか市しは、歩行ほこう者しゃが巻き込まきこまれる事故じこを減へらそうと、地下街ちかがいを建設けんせつする計画けいかくを進すすめていきます。

そして、昭和しょうわ38年ねん（1963年ねん）、梅田うめだ初はつの地下街ちかがいとなる「ウメダ地下ちかセンター」、現在げんざいの「ホワイティうめだ」が完成かんせいしたのです。

それから地下街ちかがいは、利用りよう客きゃくの増加ぞうかとともに拡張かくちょうしていくようになり、より複雑ふくざつな構造こうぞうになったのです。

来年らいねん春はる、大阪おおさか駅えきの北側きたがわ、「うめきた」エリアの地下ちかにJRの新駅しんえきが開業かいぎょうする予定よていです。

そして、商業しょうぎょう施設しせつが入はいる駅えきビルも、2025年ねんの大阪おおさか・関西かんさい万博ばんぱくの開幕かいまくに合あわせて全面ぜんめん開業かいぎょうします。

こうした再さい開発かいはつによって、梅田うめだにはさらなるにぎわいが生うまれることになりそうですが、“ダンジョン化か”が一段いちだんと進すすむかもしれません。