「ルノーとの合併阻止」と受け止めか
日産とルノーの経営統合についてはゴーン前会長が去年2月、ルノーのCEOを続けることが発表された時期に、統合を検討しているとも受け取れる発言をしています。
日産の説明でも、この発言のあとにゴーン前会長の不正の疑いが明らかになり、水面下で調査が始まったとしています。
このためゴーン前会長は、ルノーとの経営統合を阻止するために、日産の幹部らが不正の調査を始め、司法取引の手段を使った、と受け止めているものと見られます。
一方、日産の西川社長は去年11月の記者会見で「クーデターがあったという理解はしていない。そうは受け止めないほうがいいのではないか」と述べています。
日産としてはゴーン前会長の発言と不正の調査は関係はなく、あくまで前会長の行為がコンプライアンス上、重大な違反だったことを強調しています。
「リーダーシップ」か「独裁」か
ゴーン前会長は、検査データの書き換えなど不正が相次いで発覚したことや、業績の低迷していることから、日産の今の経営陣にビジョンがないと指摘しています。
さらに日産にはリーダーシップが欠けているとしています。
これは日産のこれまでの業績は独裁ではないゴーン前会長のリーダーシップによってもらされたものだとして、間接的に自身の経営を正当化しているとみられます。
これに対して日産はゴーン前会長による一連の不正行為について「ゴーン前会長1人に権限が集中したことがその背景にあった」と説明しています。
このため前会長の不正を受けて設けた第三者の専門家でつくる委員会の提言を踏まえ、会長職を廃止し、取締役の過半数を社外取締役とするなど、経営のチェック機能を高めるため体制の見直しを進める方針です。
さらにルノー、三菱自動車との企業連合についても経営体制を見直しました。
3社の連携の実務と企業統治を監督する唯一の機関として3社の経営トップでつくる新たな会議を設けることなどを決めたのです。
3社連合についてもゴーン前会長の強力なリーダーシップに頼る経営から、3社の経営トップによるいわば「合議制」も移行させようとしているのです。
日産「コメントありません」
ゴーン前会長の動画について日産自動車の広報部は「コメントはありません」と話しています。