旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほう救済きゅうさい法ほう 成立せいりつ

成立せいりつした法律ほうりつでは、旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうを制定せいていした国会こっかいや政府せいふを意味いみする「我々われわれ」が「真摯しんし（しんし）に反省はんせいし、心こころから深ふかくおわびする」としています。

そのうえで、本人ほんにんが同意どういしたケースも含ふくめ、精神せいしん障害しょうがいや遺伝いでん性せいの疾患しっかんなどを理由りゆうに不妊ふにん手術しゅじゅつを受うけた人ひとを対象たいしょうに、医師いしや弁護士べんごしなどで構成こうせいする審査しんさ会かいで手術しゅじゅつを受うけたことが認みとめられれば、一時いちじ金きんとして、一律いちりつ320万まん円えんを支給しきゅうするとしています。

一時いちじ金きんの請求せいきゅうは本人ほんにんが行おこなう必要ひつようがあり、その期限きげんは、法律ほうりつの施行しこうから５ご年ねん以内いないと定さだめられています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうでは、一時いちじ金きんの対象たいしょうとなるのは、およそ２に万まん5000人にんと見込みこんでいます。また、国くにが同おなじ事態じたいを繰り返くりかえさないよう旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうを制定せいていしたいきさつなども調査ちょうさするとしています。

政府せいふは、24日にちにも、法律ほうりつを施行しこうし、一時いちじ金きんの申請しんせいの受け付うけつけを始はじめることにしています。

救済きゅうさい法ほう成立せいりつまでの経緯けいい

終戦しゅうせん直後ちょくごの昭和しょうわ23年ねんから平成へいせい８はち年ねんまで施行しこうされた旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうのもとでは、遺伝いでん性せいの疾患しっかんや精神せいしん障害しょうがいなどを理由りゆうに不妊ふにん手術しゅじゅつが行おこなわれてきました。

背景はいけいには、親おやの障害しょうがいや疾患しっかんは子こどもに遺伝いでんするという考え方かんがえかたがあり、法律ほうりつにも「優生ゆうせい上じょうの見地けんちから不良ふりょうな子孫しそんの出生しゅっしょうを防止ぼうしする」と明記めいきされていました。

これに対にたいし、基本きほん的てき人権じんけんを踏ふみにじられたとして、去年きょねん１月いちがつ、全国ぜんこくで初はじめて、不妊ふにん手術しゅじゅつを受うけた宮城みやぎ県けんの60代だいの女性じょせいが国くにに損害そんがい賠償ばいしょうを求もとめる裁判さいばんを起おこしました。

現在げんざい、札幌さっぽろや仙台せんだい、大阪おおさか、神戸こうべなど全国ぜんこく７ななつの地方ちほう裁判所さいばんしょで、合あわせて20人にんが同様どうようの裁判さいばんを起おこしています。

こうした動うごきを受うけて、去年きょねん３月さんがつ、救済きゅうさい策さくを検討けんとうするために、自民じみん・公明こうめい両りょう党とうの作業さぎょうチームと、野党やとうも参加さんかした超党派ちょうとうはの議員ぎいん連盟れんめいがそれぞれ発足ほっそくし、議員ぎいん立法りっぽうの形式けいしきで救済きゅうさい法案ほうあんを提出ていしゅつすることを目指めざして、検討けんとうを進すすめてきました。

その結果けっか、手術しゅじゅつを受うけた人ひとたちに一時いちじ金きん320万まん円えんを支払しはらうことなどで与野党よやとうが合意ごういしました。

これを受うけて、衆議院しゅうぎいん厚生こうせい労働ろうどう委員いいん長ちょうが提案ていあんする形かたちで法案ほうあんが国会こっかいに提出ていしゅつされ、今月こんげつ11日にちに衆議しゅうぎ院いんを通過つうかしていました。

救済きゅうさい法ほうの内容ないようは

この法律ほうりつは、昭和しょうわ23年ねんから平成へいせい８はち年ねんまで施行しこうされた旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうのもとで不妊ふにん手術しゅじゅつなどを受うけた人ひとたちを、一時いちじ金きんの支給しきゅうによって救済きゅうさいすることが目的もくてきです。

法律ほうりつの前文ぜんぶんでは、旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうのもとで不妊ふにん手術しゅじゅつなどを受うけた人ひとが「心身しんしんに多大ただいな苦痛くつうを受うけてきた」として、法律ほうりつを制定せいていした国会こっかいや、執行しっこうした政府せいふを意味いみする「我々われわれ」が「真摯しんしに反省はんせいし、心こころから深ふかくおわびする」としています。

一時いちじ金きんの支給しきゅう対象たいしょうとなるのは、本人ほんにんが同意どういしたケースを含ふくめ、精神せいしん障害しょうがいや遺伝いでん性せいの疾患しっかんなどを理由りゆうに不妊ふにん手術しゅじゅつを受うけた人ひとで、およそ２に万まん5000人にんが見込みこまれています。

一時いちじ金きんは一律いちりつ320万まん円えんで、手術しゅじゅつを受うけた本人ほんにんが、法律ほうりつの施行しこうから５ご年ねん以内いないに、住すんでいる都道とどう府県ふけんに対にたいして請求せいきゅうする必要ひつようがありますが、国くにや都道とどう府県ふけんからは通知つうちされません。

精神せいしん障害しょうがいや遺伝いでん性せいの疾患しっかんを理由りゆうに手術しゅじゅつを受うけたことが記録きろくなどから明あきらかな場合ばあいのほか、医師いしや弁護士べんごしなどで作つくる国くにの審査しんさ会かいが医師いしの診断しんだん資料しりょうや治療ちりょうの記録きろくなどをもとに審査しんさした結果けっか、手術しゅじゅつを受うけたと認みとめられれば一時いちじ金きんが支払しはらわれます。

また、強制きょうせい的てきに不妊ふにん手術しゅじゅつが行おこなわれる事態じたいが二度にどと繰り返くりかえされないよう、国くにが旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうを制定せいていしたいきさつなどを調査ちょうさするとしています。

厚あつ労相ろうしょう「反省はんせいしおわび」

根本ねもと厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんは、国会こっかい内ないで記者きしゃ団だんに対にたいし「多おおくの方ほうが、特定とくていの疾病しっぺいや障害しょうがいがあることを理由りゆうに生殖せいしょくを不能ふのうにする手術しゅじゅつを強しいられ、心身しんしんに多大ただいな苦痛くつうを受うけてこられた。旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうは、旧きゅう厚生省こうせいしょうが所管しょかんし執行しっこうしていたことから、真摯しんしに反省はんせいし、心こころからおわび申し上もうしあげる」と述のべました。

そのうえで「対象たいしょうの方ほうの多おおくが障害しょうがい者しゃであることを踏ふまえ、地方ちほう自治体じちたいなどの協力きょうりょくを得えて、一時いちじ金きんの支給しきゅう手続てつづきについて、十分じゅうぶんかつ速すみやかに周知しゅうちを行おこなっていく。厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんとして、着実ちゃくじつな一いち時じ金きんの支給しきゅうに向むけ全力ぜんりょくで取り組とりくみたい」と述のべました。

公明こうめい 山口やまぐち代表だいひょう「一いち日にちも早はやい救済きゅうさいを」

公明党こうめいとうの山口やまぐち代表だいひょうは、党とうの参議院さんぎいん議員ぎいん総会そうかいで「幅広はばひろい合意ごういを作り出つくりだして解決かいけつの道筋みちすじをつけた。つらい目めにあった方々かたがたに対にたいする救済きゅうさいを一いち日にちも早はやく遂とげていくことが大切たいせつだ」と述のべました。