「食品しょくひんロス」減へらすためコンビニがポイント還元かんげんの取り組とりくみ

朝あさと昼ひるに店みせに届とどけられた弁当べんとうやおにぎりが午後ごご４よん時じを過すぎると自動じどう的てきに対象たいしょうになり、対象たいしょう商品しょうひんには専用せんようのシールが貼はられて、客きゃくからもひと目ひとめで分わかるようにします。

購入こうにゅうした客きゃくには、100円えんごとに５ごポイントが付与ふよされるほか、対象たいしょう商品しょうひんの購入こうにゅう額がくの５ご％が子育こそだて支援しえんに取り組とりくむ地元じもとの団体だんたいに寄付きふされるということです。

消費しょうひ期限切きげんぎれで廃棄はいきされる、いわゆる「食品しょくひんロス」は、ローソン全店ぜんてんで年間ねんかん４よん万まんトン余あまりに上のぼっていて、ポイント還元かんげんによって期限きげんが近ちかい商品しょうひんの購入こうにゅうを促うながし、食品しょくひんロスの削減さくげんにつなげたいねらいがあります。

また、食品しょくひんロスの削減さくげんは廃棄はいきにかかる加盟かめい店てんの負担ふたんを減へらすことにつながるため、人件じんけん費ひの上昇じょうしょうなどで経営けいえいが厳きびしくなっている加盟かめい店てんを支援しえんする効果こうかも期待きたいできるとしていて、会社かいしゃでは８月はちがつ末まつまで実験じっけんを行おこない、効果こうかを検証けんしょうしたうえで、全国ぜんこくに広ひろげたいとしています。

ローソンの竹たけ増ぞう貞さだ信しん社長しゃちょうは記者きしゃ会見かいけんで「世界せかい的てきな課題かだいとなる食品しょくひんロスを出だすコンビニとして、正面しょうめんから取り組とりくむ必要ひつようがある。店舗てんぽの２に大だいコストは廃棄はいきロスと人件じんけん費ひなので、お客様おきゃくさまにも理解りかいをいただいたうえで取り組とりくんでいきたい」としています。

また、セブン‐イレブン・ジャパンも全国ぜんこくの店舗てんぽで同おなじようなポイント還元かんげんの取り組とりくみをこの秋あきにも始はじめることにしているほか、ファミリーマートはことしからクリスマスケーキなど季節きせつ商品しょうひんの販売はんばいを完全かんぜん予約よやく制せいにするなど、食品しょくひんロスの削減さくげんに向むけた取り組とりくみが相次あいついでいます。

食品しょくひんロスの現状げんじょうは

農林水産省のうりんすいさんしょうによりますと、食品しょくひんロスの量りょうは平成へいせい28年度ねんどの推計すいけいで643万まんトンに上のぼります。

これは国民こくみん１いち人にん当あたり、１いち日にちに茶ちゃわん１いち杯はい分ぶんのごはんを捨すてている計算けいさんだということです。

食品しょくひんロスのうち、コンビニやスーパーなどの食品しょくひん小売こうり業ぎょうから出だされる量りょうは66万まんトンで、全体ぜんたいのおよそ10％になっています。

食品しょくひんロス大半たいはんが加盟かめい店てんの損失そんしつに

食品しょくひんロスの削減さくげんが、なぜコンビニのフランチャイズ加盟かめい店てんの経営けいえいを支援しえんすることにつながるのでしょうか。

コンビニで売うられている弁当べんとうやパンなどは、加盟かめい店てんが本部ほんぶから仕入しいれていますが、売れ残うれのこった食品しょくひんを廃棄はいきする場合ばあい、加盟かめい店てんにとっては、その仕入しいれ金額きんがくの大半たいはんが「損失そんしつ」になってしまいます。

加盟かめい店てんのオーナーで作つくる団体だんたいによりますと、多おおくの店舗てんぽで１いち日にち当あたりの損失そんしつが１いち万まん円えんを超こえているということで、人手ひとで不足ふそくで人件じんけん費ひが上昇じょうしょうする中なか、加盟かめい店てんの経営けいえいを圧迫あっぱくする要因よういんにもなっていました。

今回こんかいのローソンとセブン‐イレブンの取り組とりくみは、ポイントの還元かんげんによって実質じっしつ的てきな値引ねびきをすることで客きゃくに購入こうにゅうを促うながし、売り上うりあげを増ふやしつつ、廃棄はいきする食品しょくひんを減へらすねらいがあります。

これにより廃棄はいきに伴ともなう損失そんしつが軽減けいげんされるほか、還元かんげんするポイントの原資げんしは本部ほんぶ側がわが負担ふたんするため、両社りょうしゃでは加盟かめい店てんの経営けいえいを支援しえんする効果こうかが期待きたいできるとしています。

都内とないの店舗てんぽでは

東京とうきょう 品川しながわ区くにあるローソンの店舗てんぽでは、食品しょくひんロスが出でないよう商品しょうひんごとに過去かこの売り上うりあげの実績じっせきやその日ひの天候てんこうなどを考慮こうりょして、毎日まいにち、弁当べんとうやおにぎりなどの発注はっちゅう量りょうを調整ちょうせいしています。

しかし消費しょうひ期限きげんが残のこり１いち時間じかんになると商品しょうひんは棚たなから撤去てっきょすることにしていて、おにぎりの場合ばあい、発注はっちゅう量りょうに対にたいして１いち日にち当あたり３さん％から４よん％は廃棄はいきせざるをえないといいます。

ローソンゲートシティ大崎おおさきアトリウム店てんの高橋たかはし健太けんた店長てんちょうは「食品しょくひん廃棄はいきをゼロにしようと発注はっちゅう量りょうを減へらすと、利用りよう客きゃくにとっては、商品しょうひんの品しなぞろえが悪わるくなり、そのバランスをとるのは難むずかしい。ポイント還元かんげんの取り組とりくみが食品しょくひんロスの削減さくげんにつながることを期待きたいしたい」と話はなしていました。

一方いっぽう、ローソンが実験じっけんを始はじめる食品しょくひんロスの取り組とりくみについて利用りよう客きゃくの30代だいの女性じょせいは、「ポイントは、よく利用りようするので、食品しょくひんロスを防ふせぎながらポイントがたまるならありがたい」と話はなしていました。

専門せんもん家か「初はじめの一いち歩ほ」

ローソンとセブン‐イレブンが打ち出うちだした対策たいさくについて、食品しょくひんロスに詳くわしいジャーナリストの井出いで留美るみさんは「まだ食たべられるものをむだにしないで売うり切きろうということで、『初はじめの一いち歩ほ』かなと思おもう」と述のべ、一定いっていの評価ひょうかを示しめしました。

そのうえで、「コンビニ経営けいえいのこれまでのモデルは限界げんかいが来きている。現場げんばに無理むりや負担ふたんを課かしてきたその『ひずみ』が、24時間じかん営業えいぎょうや食品しょくひんロスの課題かだいにつながっているのではないか。今回こんかい打ち出うちだされた対策たいさくは100点てん満点まんてんではないが、最初さいしょの50点てんとして、これからさらに充実じゅうじつさせていってほしい」と述のべ、コンビニ各社かくしゃは加盟かめい店てんの負担ふたん軽減けいげんに一段いちだんと取り組とりくむべきだという考かんがえを示しめしました。

官房かんぼう長官ちょうかん「関係かんけい省庁しょうちょう一体いったいで」

菅かん官房かんぼう長官ちょうかんは、午後ごごの記者きしゃ会見かいけんで「いわゆる食品しょくひんロスを減少げんしょうさせることは重要じゅうようだ。先日せんじつのＧじ-20農業のうぎょう大臣だいじん会合かいごうでも、食品しょくひんロスを防止ぼうしするために市民しみん社会しゃかいや民間みんかん関係かんけい者しゃと協力きょうりょくすることを精励せいれいするとの共同きょうどう宣言せんげんが採択さいたくされたところであり、今後こんごも関係かんけい省庁しょうちょうが一体いったいとなって進すすめていきたい」と述のべました。