車くるまの自動じどう運転うんてん 条件じょうけん付つきで五輪ごりん前まえに実現じつげんへ

28日にち、衆議院しゅうぎいん本ほん会議かいぎで可決かけつ・成立せいりつした改正かいせい道路どうろ交通こうつう法ほうでは、自動じどう運行うんこう装置そうちを使用しようして車くるまを走はしらせる行為こういを「法律ほうりつ上じょうの運転うんてんに当あたる」と位置いちづけています。

ドライバーには引き続ひきつづき安全あんぜんに車くるまを走はしらせる義務ぎむが課かせられていますが、これまで禁止きんしされていた携帯けいたい電話でんわを持もったままでの通話つうわなどは運転うんてん操作そうさをすぐに引き継ひきつげる状況じょうきょうにかぎり認みとめるとされています。

また、法律ほうりつに明記めいきはされていませんが、運転うんてんをすぐに引き継ひきつげるという条件じょうけんがあれば自動じどう運転うんてん中ちゅうの読書どくしょや食事しょくじなども認みとめられると考かんがえられています。

改正かいせい道路どうろ交通こうつう法ほうは来年らいねん５月ごがつまでに施行しこうされ、来年らいねんの東京とうきょうオリンピック・パラリンピックの前まえに、車くるまの自動じどう運転うんてんは「高速こうそく道路どうろの渋滞じゅうたい時じ」などの条件じょうけん付つきで実現じつげんする見通みとおしです。

ドライバーには安全あんぜん運転うんてん義務ぎむ

改正かいせい道路どうろ交通こうつう法ほうでは、自動じどう運転うんてん中ちゅうかどうかにかかわらず、これまでどおり、運転うんてん席せきのドライバーに安全あんぜん運転うんてんの義務ぎむを課かしています。

法律ほうりつの第だい70条じょうでは、車くるまのドライバーに「ハンドルやブレーキ、そのほかの装置そうちを確実かくじつに操作そうさし、他人たにんに危害きがいを及およぼさないような速度そくどと方法ほうほうで運転うんてんしなければならない」と義務ぎむづけていて、自動じどう運転うんてんの装置そうちは、この条文じょうぶんの中なかの「そのほかの装置そうち」に該当がいとうすると位置いちづけられています。

ドライバーは、自動じどう運転うんてん中ちゅうも運転うんてん席せきで確実かくじつに装置そうちを操作そうさして、安全あんぜん運転うんてんの義務ぎむを果はたし、必要ひつようが生しょうじた場合ばあいにはいつでも操作そうさのすべてを引き継ひきつがなくてはいけません。

これらの前提ぜんていに立たつと、飲酒いんしゅは、装置そうちから運転うんてんを引き継ひきついだ瞬間しゅんかん、飲酒いんしゅ運転うんてんの状態じょうたいになってしまうことから、自動じどう運転うんてんの場合ばあいでも認みとめられない行為こういです。

睡眠すいみんも、運転うんてん操作そうさを引き継ひきつがなければならない状況じょうきょうそのものを察知さっちできない可能かのう性せいがあるので、これも認みとめられません。

また、運転うんてん席せきを離はなれ、助手じょしゅ席せきや後部こうぶ座席ざせきにいることも、すぐに運転うんてん操作そうさを引き継ひきつげないので認みとめられないと考かんがえられます。

一方いっぽうで、自動じどう運転うんてん中ちゅうは常つねに周囲しゅういの様子ようすを確認かくにんしたり、ハンドル操作そうさをしたりしなくてもよくなります。

このため、現在げんざいの法律ほうりつで禁止きんしされている、携帯けいたい電話でんわを手てに持もったままでの通話つうわのほか、メールを読よんだり、打うったりする行為こうい、カーナビの画面がめんを注視ちゅうしする行為こういやゲームの操作そうさなどは、すぐに装置そうちから運転うんてん操作そうさを引き継ひきつげるという状況じょうきょうであれば認みとめられます。

食事しょくじや読書どくしょなどについても、同おなじ理由りゆうで一般いっぱん的てきには認みとめられると考かんがえられます。

集中しゅうちゅう度どをＡＩが判定はんてい

自動じどう運転うんてんから運転うんてんをすぐに引き継ひきつげる状況じょうきょうかどうか、判定はんていする装置そうちの開発かいはつを進すすめている企業きぎょうもあります。

電子でんし機器ききメーカーの「オムロン」は、今後こんご、実用じつよう化かする自動じどう運転うんてん中ちゅうの車くるまの事故じこのリスクを減へらそうと、独自どくじのシステムを開発かいはつしています。

ドライバーがすぐに運転うんてんに戻もどれる状態じょうたいにあるかをＡＩを搭載とうさいしたカメラで自動じどう的てきに判定はんていし、「すぐに戻もどれない」と判定はんていされた場合ばあいには警告けいこくを出だして運転うんてんに復帰ふっきできる態勢たいせいを作つくるよう促うながすシステムです。

顔かおの表情ひょうじょう、上半身じょうはんしんの姿勢しせい、目めの開ひらき具合ぐあいや視線しせんの方向ほうこうなど、さまざまな要素ようそをＡＩに覚え込おぼえこませたうえで、ドライバーの様子ようすをモニタリングします。

スマートフォンを手てに持もったり、一定いってい時間じかん以上いじょう、横よこを向むいていたりすると、３さん段階だんかいある運転うんてんへの集中しゅうちゅう度どが１いち段階だんかい、落おちたと判定はんていされます。

ハンドルに体からだを突っ伏つっぷした状態じょうたいでは、眠ねむっていたり、急病きゅうびょうになったりして運転うんてんに戻もどれない状態じょうたいになったと判断はんだんされて、いちばん下かの段階だんかいまで下さがり、警告けいこくのアラームが鳴なります。

「オムロン」の技術ぎじゅつ専門せんもん職しょくで、開発かいはつ責任せきにん者しゃの木下きのした航わたる一いちさんは、「当面とうめんの間まは自動じどう運転うんてん中ちゅうも、人ひとが運転うんてんに責任せきにんを持もたなければならない状態じょうたいが続つづくと想定そうていされる。人ひとがシステムを過信かしんせず、アクシデントがあったときすぐに復帰ふっきできるのか、車くるまの側がわが見守みまもることは、非常ひじょうに重要じゅうような技術ぎじゅつだと考かんがえている」と話はなしています。