日本新聞: 石川県能登半島地震1週間 168人死亡確認被害の全容つかめず

能登のと半島はんとう地震じしんから8日にちで1週間しゅうかんです。石川いしかわ県けんではこれまでに168人にんの死亡しぼうが確認かくにんされ、今いまも被害ひがいの全容ぜんようがつかめないなか、安否あんぴが分わからない人ひとの捜索そうさくや必要ひつような物資ぶっしを届とどけるための道路どうろの復旧ふっきゅうなどが急いそがれています。

1月つき1日にちの午後ごご4時じ過すぎ、石川いしかわ県けん能登のと半島はんとうを震源しんげんとするマグニチュード7.6の地震じしんが発生はっせいし、震度しんど7の激はげしい揺ゆれを石川いしかわ県けん志賀しか町まちで観測かんそくしたほか、震度しんど6強きょうを七尾ななお市しと輪島わじま市し、珠洲すず市し、穴水あなみず町まちで観測かんそくしました。

また、能登のとには一時いちじ、大だい津波つなみ警報けいほうが発表はっぴょうされ、各地かくちの沿岸えんがんに津波つなみが到達とうたつしました。

輪島わじま市しでは観光かんこう名所めいしょの「朝市あさいち通どおり」で大だい規模きぼな火災かさいが発生はっせいし、200棟むね以上いじょうが焼やけたとみられます。

石川いしかわ県けんによりますと、今回こんかいの地震じしんでは、倒壊とうかいした建物たてものの下敷したじきになるなどして、これまでに輪島わじま市しや珠洲すず市し、穴水あなみず町まちなどで合あわせて168人にんの死亡しぼうが確認かくにんされています。

穴水あなみず町まちの由比ゆひヶ丘おか地区ちくでは、土砂崩どしゃくずれで複数ふくすうの住宅じゅうたくが倒壊とうかいし、7日にちまでに7人にんの死亡しぼうが確認かくにんされ、今いまも閉じ込とじこめられているとみられる人ひとたちの救助きゅうじょ活動かつどうが続つづいています。

いまも安否あんぴが分わかっていないとして、石川いしかわ県けんは323人にんの氏名しめいや住所じゅうしょなどを公表こうひょうし、情報じょうほうの提供ていきょうを求もとめています。

道路どうろが寸断すんだんされるなどして各地かくちで孤立こりつ状態じょうたいとなる地区ちくもあり、県けんが把握はあくしているだけで少すくなくとも24の地区ちくで3000人にん以上いじょうが孤立こりつ状態じょうたいとなっています。

厳きびしい寒さむさの中なか、およそ400か所かしょの避難ひなん所しょに2万まん8000人にん余あまりが避難ひなんしているほか、断水だんすいや停電ていでんが続つづく中なかで自宅じたくにとどまる人ひとや車中しゃちゅう泊はくをしている人ひとも多おおくいます。

必要ひつような物資ぶっしが届とどかず、断水だんすいでトイレが使つかえないなど衛生えいせい環境かんきょうの悪化あっかへの懸念けねんも強つよまっています。

被害ひがいが各地かくちに及およんだうえ、交通こうつうや通信つうしん網もうが回復かいふくしていないことなどで今いまも被害ひがいの全容ぜんようがつかめないなか、安否あんぴが分わからない人ひとの捜索そうさくや必要ひつような物資ぶっしを届とどけるための道路どうろの復旧ふっきゅうなどが急いそがれています。

石川いしかわ県けん馳知事ちじ「救命きゅうめい救助きゅうじょを第だい一いちに生活せいかつ支援しえんを全力ぜんりょくで」

石川いしかわ県けんの馳知事ちじは、8日にち夕方ゆうがた開ひらかれた県けんの災害さいがい対策たいさく本部ほんぶ会議かいぎのあと、記者きしゃ団だんの取材しゅざいに応おうじ、能登のと半島はんとう地震じしんから1週間しゅうかんを迎むかえたことについて、「いまだに住宅じゅうたくの下敷したじきになっている方ほうを救命きゅうめい救助きゅうじょすることを第だい一いちにしてほしいと思おもっている。被災ひさい市町しちょうの職員しょくいんや被災ひさい者しゃが耐たえに耐たえている状況じょうきょうで、みなさんの必死ひっしの叫さけびが届とどいている。まずは毎日まいにちの生活せいかつ支援しえんを全力ぜんりょくでやっていきたい。そして、災害さいがい関連かんれん死しを出ださないように衛生えいせい状態じょうたいを保たもつことが今いまの最大さいだいの使命しめいだと感かんじている」と述のべました。

避難ひなん者しゃの健康けんこうへの影響えいきょうが懸念けねん

避難ひなん生活せいかつが続つづくなか、避難ひなん者しゃの健康けんこうへの影響えいきょうが懸念けねんされています。

輪島わじま市しでは避難ひなん所しょとなっている市内しないの大屋おおや公民こうみん館かんで6日にち、およそ10人にんが腹痛はらいたなどを訴うったえ市内しないの病院びょういんで治療ちりょうを受うけたということです。

また、穴水あなみず町まちの避難ひなん所しょでは新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんした人ひとが3人にん確認かくにんされたほか、珠洲すず市しでも複数ふくすうの避難ひなん所しょで住民じゅうみんが発熱はつねつなどを訴うったえるケースが相次あいついでいるということです。

県けんにも避難ひなん所しょでのインフルエンザや新型しんがたコロナの感染かんせん者しゃ数すうの増加ぞうかが報告ほうこくされていて、看護かんご師しや保健ほけん師しの支援しえんを求もとめる声こえが相次あいついでいます。

このほか、避難ひなん所しょの中なかが混雑こんざつして個人こじんのスペースがとりづらかったり、食料しょくりょうのほか、トイレや暖房だんぼうの整備せいびなどに苦慮くりょしたりするところも多おおく、避難ひなん者しゃからは体力たいりょくの消耗しょうもうや精神せいしん的てきなストレスを訴うったえる声こえが出でています。

また、エコノミークラス症候しょうこう群ぐんや低てい体温たいおん症しょうを防ふせぐための対策たいさくも課題かだいとなっています。

さらに、指定していの避難ひなん所しょに入いれなかったり混雑こんざつした環境かんきょうを避さけたりするため、車くるまや農業のうぎょう用ようハウス、自宅じたくの車庫しゃこなどで避難ひなん生活せいかつをしている人ひともいて、こうした人ひとたちへの支援しえんや安否あんぴ確認かくにんをどう続つづけるかなども課題かだいとなっています。

「高齢こうれい化か率りつ」が高たかい能登のと地方ちほう北部ほくぶ

地震じしんの被害ひがいが大おおきかった能登のと地方ちほう北部ほくぶの自治体じちたいは、65歳さい以上いじょうの人口じんこうの割合わりあい＝「高齢こうれい化か率りつ」が高たかくなっています。

石川いしかわ県けんによりますと、自治体じちたい別べつでは2022年ねん時点じてんで珠洲すず市しが最もっとも高たかく52.8％、次ついで、能登のと町まちで52％、穴水あなみず町まちで50.3％、輪島わじま市しで47.9％となっていて、石川いしかわ県けん全体ぜんたいの30.5％や全国ぜんこくの29.1％と比くらべて20ポイントほど高たかくなっています。

日本にっぽん医師いし会かい常任じょうにん理事りじの佐原さはら博之ひろゆき医師いしは「高齢こうれい者しゃの場合ばあい、避難ひなん生活せいかつが長期ちょうき化かすると筋肉きんにくが弱よわったり関節かんせつがかたくなったりして、もともと自立じりつしていた人ひとでも寝ねたきりになってしまうこともある」とした上うえで、避難ひなん所しょの狭せまいスペースの中なかでも体操たいそうするなどして意識いしき的てきに体からだを動うごかすよう呼よびかけています。

「子こどもたちこわがって外出がいしゅつにも抵抗ていこう」

京都きょうと府ふの川崎かわさき哲あきら嗣さんは、年末ねんまつに妻つまと子こども3人にんと金沢かなざわ市しに帰省きせいし、元日がんじつに輪島わじま市しの町野まちの町まちにある洞窟どうくつを訪おとずれていた際さいに被災ひさいしたということです。そして輪島わじま市内しないの避難ひなん所しょに身みを寄よせました。