核兵器かくへいき禁止きんし条約じょうやく「発効はっこう要件ようけん」50か国かこくまであと1か国かこくに

核兵器かくへいき禁止きんし条約じょうやくは核兵器かくへいきの使用しようは武力ぶりょく紛争ふんそうの際さいに適用てきようされる国際こくさい法ほうなどに反はんするとして、その開発かいはつ、保有ほゆう、使用しようなどを禁きんじる条約じょうやくで、3年ねん前まえの2017年ねんに国連こくれんで採択さいたくされました。

条約じょうやくの発効はっこうには50の国くにや地域ちいきの批准ひじゅんが要件ようけんとなっていますが、23日にち、条約じょうやくの推進すいしん国こくなどが開ひらいた会合かいごうで新あらたにジャマイカとナウルが批准ひじゅんしたと明あきらかにしました。

これにより批准ひじゅんした国くにと地域ちいきはそれまでの47から2か国かこく増ふえて49となり、50まで残のこり1つとなりました。

条約じょうやくは批准ひじゅんが50に達たっしてから90日にち後ごに発効はっこうすることになっていて、会合かいごうに参加さんかした国際こくさいNGOのICAN＝核兵器かくへいき廃絶はいぜつ国際こくさいキャンペーンは50番目ばんめの批准ひじゅんは近ちかいとして強つよい期待きたいを示しめしました。

条約じょうやくが発効はっこうすれば核兵器かくへいきを違法いほうとする初はじめての条約じょうやくとなりますが、アメリカとロシア、中国ちゅうごくなどの核かく保有ほゆう国こくやアメリカの核かく抑止よくし力りょくに依存いぞんする日本にっぽんなどの同盟どうめい国こくは参加さんかしていません。

一方いっぽう、条約じょうやくを推進すいしんする各国かっこくとICANは発効はっこうにより核兵器かくへいき廃絶はいぜつに向むけた国際こくさい的てきな世論せろんを高たかめ圧力あつりょくの強化きょうかにつなげたい考かんがえで、批准ひじゅんに取り組とりくむ国々くにぐにの動向どうこうを注視ちゅうししています。

広島ひろしまで被爆ひばく サーロー節子せつこさん「世界せかいの多おおくの人ひとの連帯れんたい感かんじる」

オンラインでの会合かいごうには、長年ながねん、世界せかい各国かっこくで自身じしんの被爆ひばく体験たいけんを語かたり、核兵器かくへいき廃絶はいぜつを訴うったえ続つづけてきたカナダ在住ざいじゅうの広島ひろしまの被爆ひばく者しゃ、サーロー節子せつこさんも登場とうじょうし、自宅じたくからスピーチを行おこないました。

この中なかでサーローさんは、核兵器かくへいき禁止きんし条約じょうやくが発効はっこうする条件じょうけんを満みたすのが近ちかづいていることについて、「核兵器かくへいきの終おわりが本当ほんとうに始はじまろうとしている。立ち上たちあがれなくなるほどうれしく、涙なみだがあふれてきた。ついにここまできて、世界せかいのとても多おおくの人ひとたちが連帯れんたいした力ちからを感かんじている」と述のべました。

そのうえで「広島ひろしまで亡なくなったおばや当時とうじ4歳さいのおいの英治えいじ、親戚しんせきや、学校がっこうの同窓どうそう生せいなど、広島ひろしまや長崎ながさきで亡なくなった罪つみのない人ひとたちに思おもいをはせている。私わたしは、他たの被爆ひばく者しゃと同おなじように、亡なくなった人ひとたちのことをむだにせず、同おなじような苦くるしみを味あじわう人ひとが二度にどと出でないようにするという誓ちかいを立たて、長年ながねん訴うったえてきた。核兵器かくへいきを禁止きんしする条約じょうやくが近ちかく国際こくさい法ほうとなることに達成たっせい感かんや満足まんぞく感かん、それに感謝かんしゃの思おもいでいっぱいだ」と感かんじている思おもいを表現ひょうげんしました。

そして、「条約じょうやくの前文ぜんぶんには被爆ひばく者しゃの文字もじが刻きざまれている。完全かんぜんに核兵器かくへいきがなくなるまで、世界せかいは危険きけんにさらされていて安心あんしんできない。

私わたしたち被爆ひばく者しゃは核兵器かくへいきが廃絶はいぜつされる日ひを迎むかえることはできないだろう。しかし、条約じょうやくがあることでいつか核兵器かくへいきが廃絶はいぜつされる美うつくしい日ひを迎むかえる。廃絶はいぜつを目指めざす新あらたな取り組とりくみが始はじまる」と述のべ、条約じょうやくの意義いぎを強調きょうちょうしました。

核兵器かくへいき禁止きんし条約じょうやく 日本にっぽん政府せいふの立場たちばは

日本にっぽんは2016年ねんに核兵器かくへいき禁止きんし条約じょうやくの交渉こうしょうの開始かいしを求もとめる決議けつぎ案あんの採決さいけつで反対はんたいに回まわり、2017年ねんの条約じょうやく交渉こうしょう、そして条約じょうやく自体じたいにも参加さんかしていません。

核兵器かくへいき禁止きんし条約じょうやくについて日本にっぽん政府せいふは「唯一ゆいいつの戦争せんそう被爆ひばく国こくとして、条約じょうやくが目指めざす核兵器かくへいき廃絶はいぜつという目標もくひょうを共有きょうゆうしている」としています。

一方いっぽうで「北朝鮮きたちょうせんのように核兵器かくへいきの使用しようをほのめかす相手あいてには通常つうじょう兵器へいきだけでは抑止よくしを効きかせることは難むずかしい」として、日にち米べい同盟どうめいのもとでのアメリカの核かく抑止よくし力りょくの重要じゅうよう性せいを強調きょうちょうしています。

そのうえで核兵器かくへいき禁止きんし条約じょうやくはこうした安全あんぜん保障ほしょう上じょうの観点かんてんが考慮こうりょされていないと指摘してきするとともに「核兵器かくへいきを直ただちに違法いほう化かする条約じょうやくに参加さんかすればアメリカによる核かく抑止よくし力りょくの正当せいとう性せいを損そこない、国民こくみんの生命せいめいと財産ざいさんを危険きけんにさらすことを容認ようにんしかねない」という立場たちばを示しめしています。

さらに条約じょうやくは日本にっぽんと同様どうように核兵器かくへいきの脅威きょういにさらされている国くにからも支持しじを得えられておらず、核かく軍縮ぐんしゅくに取り組とりくむ国際こくさい社会しゃかいに分断ぶんだんをもたらしていると懸念けねんを示しめしています。

このため日本にっぽんとしては核かく保有ほゆう国こくと非ひ保有ほゆう国こくの橋渡はしわたし役やくとして現実げんじつ的てきで実践じっせん的てきな活動かつどうを粘り強ねばりづよく進すすめるとして、地域ちいき横断おうだん的てきな非核ひかく保有ほゆう国こくのグループを形成けいせいして核かく保有ほゆう国こくと非ひ保有ほゆう国こくの間まの意思いし疎通そつうに取り組とりくんでいるとしています。

これに対にたいして国連こくれんは条約じょうやくに署名しょめいしていない国くににもオブザーバーとして締約ていやく国こくの会議かいぎへの参加さんかを呼よびかけていて、日本にっぽんの参加さんかに期待きたいを寄よせています。