太平洋戦争中の「
徴用」をめぐる
韓国での
裁判で、
原告側の
弁護士が
新日鉄住金の
本社を
訪れ、
賠償に関する
協議に
応じるよう
改めて求めました。
しかし、
新日鉄住金は
協議に
応じなかったということで、
これを
受けて、
原告側は、すでに
差し押さえた
株式を
売却して
現金化する
手続きに
入る考えを
伝えました。
太平洋戦争中の「
徴用」をめぐり、
韓国では、
去年、
新日鉄住金に
賠償を
命じる判決が
確定しましたが、
新日鉄住金は「
韓国の
裁判所の
決定は
極めて遺憾で、
日本政府と
協議しながら
適切に
対応する」としていて、
賠償に関する
協議には
応じない
構えです。
このため原告側は、先月、新日鉄住金が韓国内で保有する株式を差し押さえ、15日、弁護士らが再び賠償に関する協議を求める要請書を渡すため、東京千代田区にある新日鉄住金の本社を訪問しました。
しかし、原告側によりますと新日鉄住金は、受付を通じて「面会できない。理由も申し上げられない」と伝え、協議は行われなかったということです。
そのうえで原告側は、差し押さえた株式を売却して現金化する手続きに入る考えを伝えました。
原告側は売却の手続きを今月中にも始める考えですが、手続きが完了するにはおよそ3か月かかるということで、弁護士は、記者団に対して「新日鉄住金は、3か月という残り時間の間に原告側と協議して自身の声で謝罪してほしい」と述べ、引き続き協議を働きかける考えを示しました。
「徴用」をめぐる一連の裁判に関して、菅官房長官は、14日、韓国政府が判決を受けて具体的な措置を取っていないうえ、原告側による株式売却の手続きが始まることについて「極めて深刻だ」と述べていて、日韓関係の一層の悪化は避けられない見通しです。
官房長官「極めて深刻」
菅官房長官は午後の記者会見で、「現在に至るまで、韓国政府が日韓請求権協定に違反する状態を是正するための具体的な措置をとらず、原告側による差し押さえの動きが進んでいることは極めて深刻なことだ」と述べました。
そのうえで、「日本側としては韓国政府に対し、協議要請への回答を督促しているところだが、韓国側が当然、誠意をもって協議に応じるのだろうと思っている。日本企業の正当な経済活動の保護の観点からも引き続き関係企業と緊密に連携をとりながら、日本政府としての一貫した立場にもとづき適切に対応していきたい」と述べました。
また菅官房長官は15日夜行われる予定の日韓外相会談について、「旧朝鮮半島出身労働者問題などの日韓間のさまざまな課題をめぐり率直な意見交換を行う。同時に第2回米朝首脳会談に向けて、日韓、日米韓3か国の緊密な連携を改めて確認をする予定だ」と述べました。
新日鉄住金「日本政府と協議しながら対応」
これについて新日鉄住金は「原告側から文書を受け取ったのは事実だが、これまで同様、日本政府と協議しながら対応していきたい」とコメントしています。