詐欺さぎ電話でんわ 被害ひがい者しゃは受うけた時点じてんでだまされている 警察庁けいさつちょう調査ちょうさ

警察庁けいさつちょうは去年きょねん８月はちがつから11月つきにかけて「オレオレ詐欺さぎ」の電話でんわを受うけた人ひとを対象たいしょうに調査ちょうさを行おこない1099人にんから回答かいとうを得えました。

このうち、実際じっさいに現金げんきんをだまし取だましとられた被害ひがい者しゃに電話でんわの内容ないようを信しんじたのはどのタイミングだったか尋たずねたところ、「トラブルを聞きく前まえ」と回答かいとうした人ひとが全体ぜんたいの70.3％を占しめ、「聞きいた後のち」と答こたえた人ひとを大おおきく上回うわまわりました。

また、被害ひがいに遭あわなかったものの電話でんわを信しんじてしまった人ひとも大半たいはんが「トラブルを聞きく前まえ」に信しんじていました。

その理由りゆうについては、いずれも「息子むすこなどの声こえにそっくりだったから」が最もっとも多おおく、詐欺さぎグループが語かたるうそのトラブルとは関係かんけいなく、電話でんわを受うけた時点じてんですでにだまされていることが伺うかがえます。

さらに、実際じっさいに現金げんきんをだまし取だましとられた被害ひがい者しゃに特殊とくしゅ詐欺さぎの被害ひがいに遭あうと思おもっていたか尋たずねたところ、「遭あわないと思おもっていた」と答こたえた人ひとは78.2％に上のぼり、「どちらかといえば被害ひがいに遭あわないと思おもっていた」と回答かいとうした人ひとも加くわえると、ほとんどの人ひとが自分じぶんが被害ひがいに遭あう可能かのう性せいは低ひくいと考かんがえていました。

今回こんかいの調査ちょうさ結果けっかについて、警察庁けいさつちょうは「詐欺さぎを見破みやぶれない可能かのう性せいが誰だれにでもあることを示しめしていて、詐欺さぎグループからの電話でんわに最初さいしょから出でなくて済すむ対策たいさくを取とる必要ひつようがある」として、迷惑めいわく電話でんわ防止ぼうしの機能きのうが付ついた電話でんわ機きの活用かつようなどをさらに呼よびかけることにしています。

電話でんわ受うけた女性じょせい「パニックになり簡単かんたんにだまされた」

都内とないのアパートで１いち人にん暮くらしをしている71歳さいの女性じょせいは、去年きょねんの夏なつ、自宅じたくで、地元じもとの警察けいさつ署しょの警察官けいさつかんを名乗なのる男おとこから電話でんわを受うけました。

男おとこが「息子むすこさんがかばんを無なくして、被害ひがい届とどけを出だしにきた」などと説明せつめいしたのに続つづき、女性じょせいの息子むすこを名乗なのる男おとこが電話でんわに出でてきました。「警察けいさつ」ということばに「子こどもに何なにが起おきたのか」と気きが動転どうてんした女性じょせいは、息子むすこをかたる男おとこの声こえが実際じっさいよりも若わかいと感かんじたにもかかわらず、「かばんに小切手こぎってが入はいっていた」などという話はなしを信しんじてしまったということです。

女性じょせいはこの時ときの心情しんじょうについて「声こえも違ちがう相手あいてをなぜ息子むすこと思おもったのか今いまも説明せつめいできない。パニックになって、ずるずると相手あいての話はなしに引ひきずられてしまった」と話はなしています。女性じょせいはその後そのご、息子むすこ役やくの男おとこから現金げんきん数すう百ひゃく万まん円えんを用意よういするよう言いわれました。

警察官けいさつかん役やくの男おとこともう一度もういちど連絡れんらくを取とろうと警察けいさつ署しょに電話でんわしたところ、詐欺さぎだったことが分わかり、被害ひがいを免まぬかれたということです。

女性じょせいは「オレオレ詐欺さぎのことは知しっていたが、自分じぶんとは無む関係かんけいだと思おもっていた。こんなに簡単かんたんにだまされるものだとは思おもってもいなかった」と話はなしています。

専門せんもん家か「詐欺さぎの手口てぐちを知しっていても防ふせげない」

今回こんかいの調査ちょうさ結果けっかについて特殊とくしゅ詐欺さぎの被害ひがい者しゃの心理しんりを研究けんきゅうしている立正大学りっしょうだいがくの西田にしだ公昭きみあき教授きょうじゅは「誰だれも日常にちじょうの電話でんわの相手あいてが偽物にせものだとは想定そうていしておらず、息子むすこだと言いわれれば、そう信しんじるところから被害ひがいが始はじまってしまう。多おおくの人ひとが電話でんわがかかってきても息子むすこの声こえなら聞き分ききわけられると過信かしんしていて、振り込ふりこめ詐欺さぎなどの特殊とくしゅ詐欺さぎが手口てぐちを知しっているだけでは防ふせげない犯罪はんざいだということを調査ちょうさ結果けっかは明あきらかにした」と述のべています。

そのうえで、「だまされるかもしれない、息子むすこの声こえを聞き分ききわけられないかもしれないと認識にんしきしてもらえるような対策たいさくを加くわえていくことが大事だいじだ」と指摘してきしています。

調査ちょうさ結果けっかの詳細しょうさい

警察庁けいさつちょうが行おこなった調査ちょうさ結果けっかの詳細しょうさいです。

調査ちょうさは期間きかんが去年きょねん８月はちがつから11月つきまでの４よんか月かげつの間まにオレオレ詐欺さぎの電話でんわを受うけた人ひとを対象たいしょうに各地かくちの警察けいさつを通をつうじて面接めんせつ形式けいしきで行おこない、1099人にんから回答かいとうを得えました。

内訳うちわけは、

▼実際じっさいに現金げんきんをだまし取だましとられた被害ひがい者しゃが354人にん

▼電話でんわにはだまされたものの金融きんゆう機関きかんの職員しょくいんの声こえかけなどによって被害ひがいを免まぬかれた人ひとが187人にん

▼家族かぞくや親族しんぞくが電話でんわのうそを見抜みぬいて被害ひがいに遭あわなかった人ひとが130人にん

▼自分じぶん自身じしんで電話でんわのうそに気付きづいて被害ひがいをまぬがれた人ひとが428人にん

です。

手口てぐちを知しっているだけでは防ふせげない

調査ちょうさ結果けっかによりますと「詐欺さぎの電話でんわを受うける前まえにオレオレ詐欺さぎの手口てぐちを知しっていたか」という質問しつもんに対にたいして、４よっつのグループいずれも「知しっていた」と回答かいとうした人ひとの割合わりあいが、それぞれの全体ぜんたいの96％台だいから97％台だいとほとんど変かわらず、事前じぜんに手口てぐちを知しっていたかどうかは被害ひがいとは直接ちょくせつ関係かんけいしないことが分わかります。

「自分じぶんは大丈夫だいじょうぶ」が危あぶない

次つぎに、「詐欺さぎの電話でんわを受うける前まえに被害ひがいに遭あう可能かのう性せいについてどう思おもっていたか」については「自分じぶんは被害ひがいに遭あわないと思おもっていた」と回答かいとうした人ひとが、実際じっさいに現金げんきんをだまし取だましとられた被害ひがい者しゃ、金融きんゆう機関きかんの職員しょくいんの声こえかけなどによって被害ひがいを免まぬかれた人ひと、家族かぞくや親族しんぞくが電話でんわのうそを見抜みぬいて被害ひがいに遭あわなかった人ひとでそれぞれ70％を超こえていましたが、みずから電話でんわのうそに気付きづいた人ひとでは56.8％にとどまり、大おおきな開ひらきが出でました。

だまされた人ひとは電話でんわを受うけた時点じてんで内容ないようを信しんじている

電話でんわの内容ないようがうそと気付きづいたタイミングについては、自分じぶん自身じしんで電話でんわのうそに気付きづいて被害ひがいを免まぬかれた人ひとの44.8％が電話でんわを受うけた時点じてんで詐欺さぎであることに気付きづいていた一方いっぽうで、実際じっさいに現金げんきんをだまし取だましとられた被害ひがい者しゃでは電話でんわを受うけた時点じてんで内容ないようを信しんじてしまった人ひとが70.3％に上のぼったほか、金融きんゆう機関きかんの職員しょくいんの声こえかけなどによって被害ひがいを免まぬかれた人ひとが66.3％、家族かぞくや親族しんぞくが電話でんわのうその見抜みぬいて被害ひがいに遭あわなかった人ひとが68.2％と高たかくなっていました。

信しんじてしまった理由りゆうについては、いずれのグループでも「息子むすこなどの声こえにそっくりだったから」が最もっとも多おおく、次ついで、「相手あいての話はなしをもっともだと感かんじたから」などとなっています。

「誰だれかに話はなす」が重要じゅうよう

また、電話でんわを受うけたあと、家族かぞくや親族しんぞくがうそを見破みやぶり、被害ひがいに遭あわなかった人ひとの76.2％が電話でんわを受うけたあと、誰だれかに話はなしをしている一方いっぽうで、被害ひがいに遭あった人ひとの75.1％が誰だれにも相談そうだんしていませんでした。

家族かぞくや親族しんぞくと相談そうだんすることが被害ひがい防止ぼうしのために効果こうか的てきで、被害ひがい者しゃになる可能かのう性せいの高たかい高齢こうれい者しゃだけでなく、その子こどもや孫まご世代せだいも含ふくめて家族かぞく間かんで小しょうまめに連絡れんらくを取り合とりあうことが被害ひがい防止ぼうしにつながる可能かのう性せいがあることが伺うかがえます。

金融きんゆう機関きかん より踏み込ふみこんだ対応たいおうが効果こうか的てき

さらに、被害ひがいに遭あった人ひとの27.7％が金融きんゆう機関きかんなどで現金げんきんを送おくるのを思おもいとどまるよう声こえをかけられていたにもかかわらず、現金げんきんをだまし取だましとられていました。

声こえかけの状況じょうきょうについて、被害ひがいの阻止そしにつながった場合ばあいとつながらなかった場合ばあいを比較ひかくしますと、「お金おかねの使つかいみちを聞きかれた」、「資料しりょうを示しめされた」といった対応たいおうでは被害ひがいの阻止そしに至いたらなかったことが少すくなからずあった一方いっぽうで、「親族しんぞくに連絡れんらくを取とった」、「警察官けいさつかんが来きた」、「応接おうせつ室しつなど別べつの場所ばしょに案内あんないされた」などの対応たいおうでは被害ひがいの阻止そしにつながっていることがあり、警察けいさつと金融きんゆう機関きかんが連携れんけいして、より踏み込ふみこんだ対応たいおうを行おこなうことが被害ひがい防止ぼうしに効果こうか的てきだということが認みとめられます。