このうち、全国で1200店余り展開するカレーチェーン最大手の「CoCo壱番屋」は、大部分の店舗で主力メニューのポークカレーを1皿当たり21円値上げしました。
原材料費や人件費などが上昇しているためで、東京23区内にある店舗の場合、税込みでこれまでの484円から505円に引き上げられました。
店を訪れた70代の男性客は「こづかいも少ないので、値上げはうれしくないですが、外食チェーンはどこも人手不足だと聞くので、しかたないですね」と話していました。
会社によりますと、去年8月末までの半年間で、コメの仕入れ費用が、前の年の同じ時期と比べて1億3000万円余り、カレーのルーなど製造コストも自社の工場での人件費や光熱費などの上昇で1億1000万円余り、それぞれ増えました。さらに店舗で働く従業員の人件費も、時給の引き上げに伴って1億2000万円余り増加しました。
こうした費用の上昇が重なり、利益が圧迫されているということで、会社では「経費削減に向けた取り組みを継続的に行っているが、自助努力では補えない水準だ。やむをえず価格改定に踏み切った」と話しています。
あえて「値下げ」のスーパーも
食品などの値上げが相次ぐ中で、あえて「値下げ」に踏み切り、集客につなげようというスーパーもあります。
大手スーパーの「西友」は、全国の店舗で先月21日から食品や日用品など90品目を値下げしました。今月下旬までの1か月間の期間限定ですが、価格を平均で9%引き下げています。
これとは別に、来月にメーカー側が値上げを予定するヨーグルトなどについては、少なくとも5月下旬までは今の価格を据え置くことにしています。
さいたま市にある店舗では、65歳の女性客が「値上げは本当に困ります。少しでも安い店で買い物をしたい」と話していました。
消費者の節約志向が根強い中、このスーパーでは売り場などでのコスト削減に力を入れ、値下げする余地を生み出しているとしています。
さいたま市の店舗でもセルフレジを15台導入し、人件費などの削減につなげているほか、豆腐や麺類などの冷蔵商品は冷気が逃げないようできるだけ扉がついている棚に置いて、電気代を抑えています。
西友東大宮店の神田博之店長は「お客様はチラシを見比べてスーパーを選んでいる。コスト削減を積み重ねて、なるべく安い商品を提供できるようにしたい」と話していました。