こうした入居者の引っ越しが各地で始まっていて、このうち10日は埼玉県内の27歳の会社員の男性が近くにある別の会社の物件に引っ越しをしました。男性は、先月、レオパレス21から天井の耐火性能に問題があり3月中に転居してほしいと連絡を受けました。当初、新たな住まいの敷金などを含め、引っ越しにかかる費用を立て替えるよう求められましたが、交渉の結果、ほぼ立て替えなしでレオパレスが負担することになったということです。男性は「仕事をしながら引っ越しをしなければならず大きな負担です。何よりも1年半暮らしていた部屋の耐火性能が不十分だと知り恐怖と怒りを感じています」と話していました。
引っ越しは各地で始まっているとみられますが、どれくらい進んでいるかについて、レオパレス21は「回答できない」としています。
NHKが複数の入居者に取材したところ、依然、転居先が決まっていない人も多く、引っ越しにかかる手続きを考慮すると、会社が求めている今月中の退去は難しい見通しです。
転居先が決まらない人も
千葉県の35歳の男性は、レオパレス21から転居先の物件を複数提示されましたが、いずれも現在の家賃より1万円以上高くなる可能性があり、依然として、引っ越しのめどが立っていません。
男性は「引っ越した場合は、家賃を現在と同じ値段に据え置いてもらえるということだが、2年後の更新の際は『どうなるか分からない』という説明だった。不安な気持ちで交渉をしている最中で、今月中に引っ越すのは難しいのではないか」と話していました。
また、同様に引っ越しを求められている都内の会社員の男性は、「転居先はレオパレス21以外で探そうと考えているが、平日は仕事があるため思うようには決まらない。この先どうなるのか不安です」と話していました。
入居者の引っ越し費用負担は
今回の一連の問題を受けて、レオパレス21の物件に入居している人が引っ越しする場合、会社側がどのような費用を負担するか、まとめました。
まず、危険性が高いとしてレオパレス21が退去を求めている天井に施工不備がある物件の場合、会社が費用を全額負担するとしています。
具体的には、レオパレス21の別の物件に引っ越す場合は、敷金・礼金、住み替え手数料、鍵交換費、引っ越し先の翌月分までの家賃が対象となります。
他社の物件に引っ越す場合は、住み替え手数料の代わりに、仲介手数料保証会社の保証契約料が対象となります。いずれも、会社が引っ越し業者を手配し、費用を負担します。
次に、天井に不備はないものの、界壁や外壁の不備が見つかっている場合です。レオパレス21は退去を求めていませんが、入居者が引っ越しを希望すれば、引っ越し費用とそのほかの一部の費用を負担します。
具体的には、レオパレス21の別の物件に引っ越す場合は、敷金・礼金、住み替え手数料、鍵交換費が対象となります。
他社の物件に引っ越す場合は、礼金、仲介手数料、鍵交換費を負担します。いずれも、転居先の家賃の補償はなく、他社の物件に引っ越す場合は、敷金と保証会社の保証契約料が自己負担となります。
一方、現在住んでいる物件に不備が見つかっていない場合は、引っ越しは通常の解約と同じ扱いとなり、費用はすべて自己負担となります。