また、トランプ大統領が、捜査の妨害をしたかどうかについては、特別検察官が犯罪の有無について判断を示さなかったとし、バー司法長官は「立件には証拠が不十分だ」とするみずからの判断を示しました。
これを受けて、トランプ大統領は記者団に対し、「完全な潔白が証明された。私を引きずり下ろそうとする違法な試みは失敗した」と述べ、身の潔白は証明されたと強調しました。
アメリカのメディアの多くもトランプ大統領にとっての「政治的な勝利だ」と伝えており、再選を目指す来年の大統領選挙に向けて、追い風になるとみられます。
一方、野党 民主党は「明らかになったことより疑問のほうが多い。報告書はトランプ大統領について、『潔白は証明されていない』とはっきり述べている」として、反発を強めています。
とりわけ、特別検察官ではなく、司法長官が司法妨害の十分な証拠はないとの判断を示したことに疑問を呈していて、捜査報告書の全文を開示するよう要求するとともに、バー長官を議会に召喚して追及する構えです。
また、民主党は共謀や司法妨害の疑惑のほかに、トランプ大統領の脱税やロシアでの事業などをめぐる疑惑についても、議会で調査を進める考えを示していて、今後は民主党が多数派を占める議会下院を舞台に、トランプ政権と野党の攻防が激しさを増すことが予想されます。
米メディアの報道は
アメリカのトランプ大統領をめぐるロシア疑惑の捜査結果の主な内容が公表されたことについて、アメリカメディアは速報で伝えました。
このうち、アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは、モラー特別検察官の報告書で、共謀が認定されなかったと明らかになったことは、就任前から持たれ続けてきた疑惑が晴れ、トランプ大統領にとっては「政治的な勝利になった」と伝えています。
一方、司法妨害について、モラー特別検察官が罪を犯したとも無実ともせず、結論を出さなかったにもかかわらず、バー司法長官らが大統領は司法妨害をしていないと判断したことについて、複数の議員たちが批判しているとも伝えています。
また、FOXニュースは「トランプ大統領が完全な勝利だと宣言した」などと伝えたうえで、顧問弁護団のジュリアーニ元ニューヨーク市長へのインタビューとして、「大統領は犯していない犯罪について、ずっと捜査をされてきた。誰がどのようにこの捜査を始め、費用を投じたのか明らかにしなくてはいけない」として、ロシア疑惑をめぐる捜査を否定的に伝えています。
一方、有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は「報告書が提出され、特別検察官による一連の捜査は終わったが、新たな政治ドラマが始まった。民主党はさらなる調査を約束し、報告書の全面的な公表を模索するだろう」として、今後も議会を舞台に、トランプ大統領と民主党との攻防が続くだろうと報じました。