ことしのノーベル
平和賞に
選ばれたウクライナ、ロシア、
そしてベラルーシの
人権団体などへの
授賞式が、さきほど、
日本時間午後9
時に
始まりました。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、スピーチで受賞者たちが平和や人権についてどのようなメッセージを訴えるのか、注目されます。
ことしのノーベル平和賞では、長年にわたって権力を批判する権利や市民の基本的人権を守ることを推進してきたとして、▽ベラルーシの人権活動家、アレシ・ビャリャツキ氏、▽ロシアの人権団体「メモリアル」そして、▽ウクライナの人権団体「市民自由センター」が選ばれました。
授賞式はノルウェーの首都オスロの市庁舎で10日午後、日本時間の10日午後9時から始まり、メダルの授与に続いて、それぞれの代表がスピーチすることになっています。
このうち、ベラルーシのビャリャツキ氏は、刑務所に収監されているため授賞式には出席できず、妻のナタリヤ・ピンチュクさんが代理で出席しています。
前日の9日にはオスロ市内で関係者の記者会見が行われ、ウクライナの「市民自由センター」のオレクサンドラ・マトイチュク代表は、「ロシアは長年、世界の多くの国で戦争犯罪を行いながら罰せられなかったことから、何でもできると信じている。国際法廷でロシアのプーチン大統領やベラルーシのルカシェンコ大統領など、犯罪者たちに責任を取らせる必要がある」と訴えていました。
ロシアによるウクライナへの侵攻が続く中、このあとの授賞式で受賞者が国境を越えて平和や人権などについてどのようなメッセージを訴えるのか、関心が寄せられています。
平和賞選考委員長「平和を望み戦争を支持しない人の利益を守る」
ノーベル
平和賞の
選考委員会のライスアンネシェン
委員長が、
授賞式を
前にNHKの
インタビューに
応じました。
選考委員会が、ロシアとウクライナ、そして、ベラルーシから人権団体と人権活動家を選んだことについて「今回の平和賞のメッセージは、人権を推進し、政府を批判し、法の支配、民主主義、平和を発展させるためには、市民社会こそが重要であるということだ。選ばれた3者はそれぞれの分野で間違いなくこの課題に真剣に取り組んできた。メモリアルのような市民活動は、ロシアの強権的な支配に対する解毒剤となってきた」と述べ、長年にわたる活動を高く評価しました。
そして、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中での平和賞の意義について「今、極めて重要なことは、国の利益ではなく、何よりも平和を望み、現在行われている戦争による残虐行為を支持しない人々の利益を守ることだ」と述べたうえで「ノーベル平和賞は戦争を終わらせることはできない。しかし、戦争に代わる方法を見つけるためにどのような価値観が必要かを示すことはできると信じている」と強調しました。
また、ベラルーシの人権活動家のアレシ・ビャリャツキ氏が現在、刑務所に収監されていることについて「非常に深刻な状況だ。彼が釈放されず、この場に来られないことを悲しく思う。彼だけでなく、ベラルーシの数多くの人々が政治犯として拘束されていることは、平和な抗議活動などが許されないという悲劇だ」と懸念を示しました。
そのうえでライスアンネシェン委員長は、10日に行われる授賞式でのスピーチについて「受賞者たちは平和な社会を構築するための同じメッセージ、同じ目標、同じ原則を持っている。彼らのスピーチは多くの共通点があるものになると期待している」と述べ、国家間の対立を超えて人権や平和を願う力強いメッセージが発せられることに期待を示しました。