今シーズン、中嶋監督が変えたのが1軍と2軍の垣根をなくすことでした。
これまで1軍と2軍で分かれていたコーチ陣の区別をなくし、チーム全体で1軍と2軍の選手を指導することにしたのです。
その結果、1軍と2軍の連携がスムーズになり調子のいい選手を積極的に起用できるようになりました。
こうした中、1軍に定着できなかった6年目の杉本裕太郎選手は今シーズン、4番に抜てきされ、ここまでリーグトップのホームラン数をマークするなど活躍しました。
また7年目の宗佑磨選手は外野からサードにコンバートされてレギュラーをつかんだほか、高校卒業2年目の宮城大弥投手が先発ローテーションに入るなど新たな戦力が台頭しました。
そのうえで選手のコンディションにも配慮し試合前の練習で行っていたシートノックを廃止し、疲れがみえる選手は練習メニューを軽めにしました。
投手陣も疲労を蓄積しないよう3日連続の登板を避け、50試合以上登板したピッチャーが12球団で最も少ない1人となっています。
こうしたコンディション対策が効を奏しオリックスは今シーズン、大きな連敗をすることなく、しれつな優勝争いを戦い抜きました。
中嶋監督の選手起用について、NHKプロ野球解説の梨田昌孝さんは「分厚い戦力ではないがうまく起用している。1年目の監督じゃないようないい采配をしていてチームが活性化している」と分析していました。
昨シーズンまで2年連続の最下位に沈んでいたオリックスは今シーズン、監督代行から中嶋聡監督が昇格しチームの立て直しを図りました。 中嶋監督が取り組んだのが課題だった打線の活性化です。 6年目の杉本裕太郎選手を4番に抜てきしたほか、高校卒業2年目の紅林弘太郎選手や7年目の宗佑磨選手などこれまで実績のなかった選手を積極的に起用しました。 上位打線が固定された5月の交流戦以降、打線がつながるようになり、去年はリーグ最低だった得点力が大きく向上しました。
投打がかみあったオリックスは交流戦で11年ぶりの優勝を果たすと、勢いに乗って前身の阪急時代となる37年ぶりの11連勝をして7年ぶりの首位に立ちました。 しかし、後半戦に入った9月にチームはピンチに立たされます。 打率リーグトップだった吉田正尚選手が左太もものけがで戦列を離れたのです。 打線の柱を失ったあと、1試合当たりのチームの平均得点が1点以上落ち込み、9月5日にはロッテに首位を明け渡しました。 それでも3週間後に吉田選手が復帰して迎えた9月下旬からのロッテとの直接対決で3連勝を飾り、その後、チームは首位を奪い返しました。 今月3日、デッドボールによるけがで吉田選手が再び離脱しましたが、チーム一丸となって戦い最終盤までもつれたロッテとの優勝争いを制しました。
前回の優勝は平成8年。 阪神・淡路大震災のよくとしのこのシーズンは「がんばろうKOBE」を合言葉に、仰木彬監督のもと、被災地・神戸を勇気づけようとチーム一丸となって戦いました。 9月23日に本拠地で行われた試合でこの年、3年連続首位打者に輝いたイチロー選手のサヨナラヒットで2年連続のリーグ優勝を決めました。 日本シリーズでも長嶋茂雄監督率いる巨人を4勝1敗で破って19年ぶりの日本一に輝きました。 しかし、その後は優勝から遠ざかりました。 平成12年のオフにイチロー選手が大リーグに移籍し柱を失ったチームは低迷。 たび重なる監督交代もあって4位以下の成績が続きました。 平成12年以降で3位以上だったのは平成20年と平成26年の2回で、最も優勝に近づいたのが平成26年でした。 この年は最多勝の金子千尋投手と最優秀中継ぎの佐藤達也投手、それに最多セーブの平野佳寿投手など強力な投手陣でシーズン序盤から優勝争いを続けました。 首位・ソフトバンクにゲーム差なしの2位につけたオリックスは10月2日の直接対決で引き分け以上で優勝へのマジックナンバーが点灯する大一番を迎えましたが、延長10回にソフトバンクにサヨナラ負けを喫し、あと一歩で優勝を逃しました。 その後は3位以上は1回もなく、昨シーズンまで2年連続で最下位に終わるなどこの25年間で最下位は9回を数えていました。
今シーズンの自身の成績については「去年までは調子の波が大きいことが課題だったが、だいぶん克服できてレベルアップを実感できてうれしい。トレーナーや裏方などいろんな方のサポートがあって自分の実力以上の数字を残せた」と感謝していました。
デッドボールを受けて右手を骨折し、今月3日からチームを離れている吉田選手は「大事なときに離脱して何とも言えない気持ちだった。テレビで応援していたが伝わってくるものあった。クライマックスシリーズにはチームに戻れるようベストを尽くしたい」と話していました。
そのうえで「終盤はここいちばんという大事な時に打たれたり、負けたりすることが多かった。クライマックスシリーズと日本シリーズでは調整して頑張りたい」と意気込みを語りました。
今シーズンの戦い
前回優勝から25年間の歩み
中嶋監督「みんなが歴史を作ってくれた」
山本「全員で勝ち取った優勝」
吉田「優勝で終えることができ非常にうれしい」
宮城「今後の自信につながる」