「外国がいこく人じん優遇ゆうぐう」「こども家庭かてい庁ちょう解体かいたい」広ひろがる情報じょうほうを検証けんしょうすると…

SNSで多おおくみられるのが、「外国がいこく人じん」や「こども家庭かてい庁ちょう」に関にかんする投稿とうこうで、「優遇ゆうぐうされている」とか「解体かいたいすべきだ」とする声こえも増ふえています。

中なかには、誤あやまった数字すうじがひとり歩ひとりあるきした情報じょうほうや、全体ぜんたいの中なかの一部いちぶだけを強調きょうちょうしたような情報じょうほうも。

広ひろがっている背景はいけいには何なにがあるのか。

東京とうきょう都議会とぎかい議員ぎいん選挙せんきょや参議院さんぎいん議員ぎいん選挙せんきょといった、注目ちゅうもくされる大おおきな選挙せんきょが続つづくいま、SNSでは「政府せいふのお金おかねの使い方つかいかた」に関にかんする投稿とうこうが広ひろがっています。

なかでも「外国がいこく人じんが過度かどに優遇ゆうぐうされている」「こども家庭かてい庁ちょうは無駄むだだから解体かいたいすべきだ」などという声こえが目立めだつ状況じょうきょうになっています。

NHKとJX通信つうしん社しゃが6月つき20日にちと21日にちに、インターネットで実施じっしした調査ちょうさではこのような結果けっかが。

▽「日本にっぽん社会しゃかいでは外国がいこく人じんが必要ひつよう以上いじょうに優遇ゆうぐうされている」という質問しつもんに「強つよくそう思おもう」か「どちらかといえばそう思おもう」と答こたえた人ひとは64。

▽「財務省ざいむしょうやこども家庭かてい庁ちょうは予算よさんを無駄遣むだづかいしているので廃止はいしすべきだ」という質問しつもんに「強つよくそう思おもう」か「どちらかといえばそう思おもう」と答こたえた人ひとは58。

インターネットでの調査ちょうさで、実際じっさいの人々ひとびとの状況じょうきょうとは異ことなる可能かのう性せいもありますが、一定いっていの割合わりあいの人ひとがそのように感かんじていることを示しめす結果けっかでした。

また、こうした声こえに関連かんれんして、SNSでは不ふ正確せいかくな情報じょうほうや、誤解ごかいに基もとづいた情報じょうほうも拡散かくさんされています。

取材しゅざいや公開こうかいされている資料しりょうをもとに、広ひろがっている情報じょうほうを検証けんしょうしていきます。

「中国人ちゅうごくじん留学生りゅうがくせいに1000万まん円えん」実際じっさいは…

「外国がいこく人じん留学生りゅうがくせい、特とくに中国人ちゅうごくじん留学生りゅうがくせいを日本人にっぽんじん学生がくせいより優遇ゆうぐうしている」という主張しゅちょう。

具体ぐたい的てきには「返済へんさい不要ふようの1000万まん円えんを渡わたしている」、「留学生りゅうがくせいは毎月まいつき15万まん円えん支給しきゅうされていて、優遇ゆうぐうだ」というものが広ひろがっています。

「日本人にっぽんじんは奨学しょうがく金きんで借金しゃっきんしているのにおかしい」というXの投稿とうこうには、1000万まん回かい以上いじょう見みられているものもありました。

「1000万まん円えんの支援しえん」は、博士はかせ課程かてい後期こうきの学生がくせいに向むけた文部もんぶ科学かがく省しょうの支援しえん制度せいど「次世代じせだい研究けんきゅう者しゃ挑戦ちょうせん的てき研究けんきゅうプログラム（SPRING）」のことを指さしています。

生活せいかつ費ひや研究けんきゅう費ひなど年間ねんかん最大さいだい290万まん円えんを支援しえんする制度せいどで、最大さいだい3年間ねんかん（4年ねん制せいの場合ばあいは4年間ねんかん）支給しきゅうされるため、「約やく1000万まん円えん」として広ひろがっています。

ただ、この制度せいどで支給しきゅうされるのは留学生りゅうがくせいだけではなく、日本人にっぽんじんの学生がくせいも対象たいしょうです。

2024年度ねんどの実績じっせきでは対象たいしょうとなった1万まん564人にんのうち、およそ6割わりにあたる6439人にんが日本にっぽんの学生がくせいでした。

そして、およそ4割わりにあたる4125人にんが留学生りゅうがくせい、そのうち3151人にんと最多さいただったのが中国ちゅうごく籍せきの留学生りゅうがくせいでした。

この点てんは国会こっかいでも取り上とりあげられ、文部もんぶ科学かがく省しょうは生活せいかつ費ひの部分ぶぶんについては、日本にっぽんの学生がくせいのみとする制度せいどに見直みなおす方針ほうしんです。

文部もんぶ科学かがく省しょう人材じんざい政策せいさく推進すいしん室しつによると、制度せいどの主おもな目的もくてきとして日本にっぽんの学生がくせいを支援しえんすることを明確めいかく化かした一方いっぽうで、優秀ゆうしゅうな留学生りゅうがくせいの支援しえんも重要じゅうようであることから、研究けんきゅう費ひの支援しえんは留学生りゅうがくせいに対にたいしても続つづける方針ほうしんだということです。

「留学生りゅうがくせいに月つき15万まん円えんを支給しきゅう」は全員ぜんいんではなく…

もう1つ、広ひろがっているのが「留学生りゅうがくせいに毎月まいつき15万まん円えん支給しきゅう」という主張しゅちょうです。

政府せいふによる支援しえん制度せいどで、旅費りょひの支給しきゅうや学費がくひの免除めんじょのほか、留学りゅうがく先さきに応おうじて月つき11万まん7000円えんから14万まん5000円えん（地域ちいき加算かさんあり）が支払しはらわれます。

国費こくひ留学りゅうがく制度せいどは、海外かいがいから優秀ゆうしゅうな留学生りゅうがくせいを受け入うけいれることで、国際こくさい交流こうりゅうや友好ゆうこう親善しんぜんの促進そくしん、各国かっこくでの人材じんざい育成いくせい、日本にっぽんの大学だいがくの国際こくさい化かや教育きょういく研究けんきゅう力りょくの向上こうじょう、日本にっぽんと世界せかいの発展はってんに寄与きよすることなどを目的もくてきとしています。

文部もんぶ科学かがく省しょう留学生りゅうがくせい交流こうりゅう室しつによると、支援しえんを受うけられるのは、各国かっこくの日本にっぽん大使館たいしかんで行おこなわれる試験しけんに合格ごうかくしたり、それぞれの大学だいがくで優秀ゆうしゅうな成績せいせきを取とっていたりする人ひとに限かぎられています。

留学生りゅうがくせい33万まん人にんのうち国費こくひは2。

日本にっぽんにいる33万まん6708人にんの留学生りゅうがくせい（2024年度ねんど）のうち、大半たいはんが私費しひで来きている留学生りゅうがくせいで、国費こくひ留学生りゅうがくせいは9304人にんと留学生りゅうがくせい全体ぜんたいの2。

（日本にっぽん学生がくせい支援しえん機構きこう「外国がいこく人じん留学生りゅうがくせい在籍ざいせき状況じょうきょう調査ちょうさ結果けっか」より）

国費こくひ留学生りゅうがくせいは国籍こくせき別べつに、多おおい順じゅんにインドネシア（1163人にん）、ベトナム（619人にん）、タイ（618人にん）、中国ちゅうごく（617人にん）となっています。

国費こくひ留学りゅうがく制度せいどに関かかわる予算よさんは2025年度ねんどで177億おく円えんです。

（文部もんぶ科学かがく省しょう「高等こうとう教育きょういくの国際こくさい化かに関にかんする施策しさく」より）

日本にっぽんの学生がくせいへの支援しえん 予算よさんは7000億おく円えん規模きぼ

一方いっぽうで、日本にっぽんの学生がくせいに対にたいする返済へんさい不要ふようの奨学しょうがく金きんなどの支援しえん制度せいど（最大さいだいで年間ねんかん160万まん円えん）もあります。

こちらの予算よさんは、2025年度ねんどで授業じゅぎょう料りょう等とう減免げんめんに4578億おく円えん、給付きゅうふ型がた奨学しょうがく金きんに1954億おく円えん、あわせて7025億おく円えん（地方ちほう分ぶん含ふくむ）となっていて、今年度こんねんどは、84万まん3000人にんが対象たいしょうになると想定そうていされています。

（金額きんがくは財務省ざいむしょう広報こうほう誌し『ファイナンス』令れい和わ7年ねん5月つき号ごうより）

文科ぶんか省しょう留学生りゅうがくせい交流こうりゅう室しつの担当たんとう者しゃは「優秀ゆうしゅうな留学生りゅうがくせいを受け入うけいれることは、日本にっぽんの大学だいがくの国際こくさい化かや社会しゃかいの発展はってんにつながる。

東京とうきょう大学だいがくは「留学生りゅうがくせい優遇ゆうぐう」を否定ひてい

日本にっぽん国内こくないで留学生りゅうがくせいを最もっとも多おおく受け入うけいれている大学だいがくの1つ、東京とうきょう大学だいがくには留学生りゅうがくせいが5000人にん余あまりいます。

全体ぜんたいの学生がくせい数すうは2万まん9000人にん余あまりなので、およそ17％が留学生りゅうがくせい。

これについても、「中国人ちゅうごくじんの留学生りゅうがくせいが優遇ゆうぐうされている」などとする主張しゅちょうがSNSで広ひろがっていますが、東京とうきょう大学だいがくの林はやし香里かおり理事りじ・副ふく学長がくちょう（国際こくさい、ダイバーシティ＆インクルージョン担当たんとう）は明確めいかくに否定ひていしています。

林はやし理事りじ・副ふく学長がくちょう

「とても大おおきな誤解ごかいだと思おもっています。

そのうえで、留学生りゅうがくせいとともに学まなぶ環境かんきょうが重要じゅうようだと指摘してきしています。

林はやし理事りじ・副ふく学長がくちょう

「研究けんきゅうの高たかみを目指めざしていくということでは国際こくさい化かはいま、必須ひっす条件じょうけんになっています。

「外国がいこく人じんの国保こくほ未納みのうは年とし4000億おく円えん」は誤あやま情報じょうほう

外国がいこく人じんの「国民こくみん健康けんこう保険ほけん」に関にかんする情報じょうほうも広ひろがっています。

病気びょうきやケガをしたときに、医療いりょう費ひの一部いちぶを公的こうてきな機関きかんが負担ふたんしてくれる公的こうてき医療いりょう保険ほけん。

主おもに留学生りゅうがくせいや自営業じえいぎょう者しゃなどが対象たいしょうで、支払しはらう額がくは収入しゅうにゅうに応おうじて決きまり、収入しゅうにゅうがない場合ばあいでも支払しはらいが発生はっせいします。

この中なかで「外国がいこく人じんによる国民こくみん健康けんこう保険ほけんの未納みのうが年間ねんかんで4000億おく円えん」とする投稿とうこうが広ひろがっています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうがまとめているデータによると、日本人にっぽんじんも含ふくめた国民こくみん健康けんこう保険ほけん全体ぜんたいの未納みのう額がくは年間ねんかんで1457億おく円えん（2022年度ねんど）です。

（厚生こうせい労働ろうどう省しょう「令りょう和わ4年度ねんど国民こくみん健康けんこう保険ほけんの財政ざいせい状況じょうきょうについて」より）

外国がいこく人じんによる未納みのうがあるのは事実じじつですが、未納みのう額がくは全体ぜんたいでも年間ねんかん1457億おく円えんなので、「外国がいこく人じんの未納みのう額がくが年とし4000億おく円えん」という数字すうじは誤あやまっていることがわかります。

ただ、外国がいこく人じんによる未納みのうがどの程度ていどなのかについて、国くには把握はあくできていないとしています。

外国がいこく人じんの未納みのうの割合わりあいは？

厚生こうせい労働ろうどう省しょうが、外国がいこく人じんによる収納しゅうのう状況じょうきょうを把握はあくしている全国ぜんこくおよそ150の市区しく町村ちょうそんについて調しらべたところ、日本人にっぽんじんも含ふくめた全体ぜんたいの収納しゅうのう率りつは93％で、このうち外国がいこく人じんの収納しゅうのう率りつは63％でした。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは全国ぜんこくで外国がいこく人じんによる未納みのうの状況じょうきょうを把握はあくできるようにするとともに、出入国しゅつにゅうこく管理かんり庁ちょうと連携れんけいして、未納みのうの状況じょうきょうを在留ざいりゅう審査しんさに反映はんえいさせることも検討けんとうしているということです。

ただ、保険ほけん料りょうの納付のうふ期限きげんから1年ねんたっても、災害さいがいなどの特別とくべつな事情じじょうがなく納付のうふされない場合ばあいには、医療いりょう機関きかんの窓口まどぐちでの医療いりょう費ひ負担ふたんが10割わりになります。

新宿しんじゅくでは12。

さらに詳くわしいデータが分わかっているところもあります。

東京とうきょう・新宿しんじゅく区くは国民こくみん健康けんこう保険ほけんの収納しゅうのう率りつ（納付のうふ率りつ）がほかの自治体じちたいと比くらべても低ひくく、外国がいこく人じんは53％が未納みのうで、その額がくは年間ねんかんおよそ12。

日本人にっぽんじんでは24％が未納みのうで、額がくは年間ねんかんおよそ26。

（「新宿しんじゅく区く国民こくみん健康けんこう保険ほけんの現状げんじょうと取組とりくみ（令りょう和わ6年度ねんど）」より）

新宿しんじゅく区くは未納みのうの額がくを減へらせば一般いっぱん財源ざいげんからの補填ほてん（ほてん）も減へらせるとして、外国がいこく人じんに対にたいして多言たげん語ごで案内あんないするなどしていて、収納しゅうのう率りつは改善かいぜんしてきているということです。

ことし4月つきには「滞納たいのう対策たいさく課か」を新設しんせつし、対応たいおうを強化きょうかしています。

滞納たいのう対策たいさく課かの担当たんとう者しゃは「外国がいこく人じんについては、自分じぶんの国くにで医療いりょう保険ほけんの制度せいどがなく、日本にっぽんの国民こくみん健康けんこう保険ほけんについて理解りかいできていない人ひとも多おおい。

外国がいこく人じんの医療いりょう費ひは全体ぜんたいの1。

では、国民こくみん健康けんこう保険ほけんの全体ぜんたいに占しめる外国がいこく人じんの割合わりあいは。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうによると、国民こくみん健康けんこう保険ほけんの被ひ保険ほけん者しゃのうち、外国がいこく人じんはおよそ97万まん人にん（2023年度ねんど）で、日本人にっぽんじんも含ふくめた全体ぜんたいのおよそ2378万まん人にんに占しめる割合わりあいは4。

国民こくみん健康けんこう保険ほけんの医療いりょう費ひは、日本人にっぽんじんを含ふくめた全体ぜんたいがおよそ8兆ちょう9268億おく円えん（2023年ねん3月つき～24年ねん2月つきの診療しんりょう分ぶん）。

このうち、外国がいこく人じんの医療いりょう費ひは1。

外国がいこく人じんの被ひ保険ほけん者しゃは20代だいと30代だいの若わかい世代せだいが半数はんすう以上いじょうで、医療いりょう機関きかんを受診じゅしんする人ひとが少すくないため、医療いりょう費ひ全体ぜんたいに占しめる外国がいこく人じんの割合わりあいが低ひくくなっているとみられます。

専門せんもん家か ”制度せいど全体ぜんたいを見みて議論ぎろんを”

医療いりょう制度せいどに詳くわしい一いち橋きょう大学だいがくの高久たかく玲れい音おと教授きょうじゅは、次つぎのように指摘してきしています。

高久たかく教授きょうじゅ

「社会しゃかい保険ほけん料りょうが上あがる中なかで、ある種たねのスケープゴートとして外国がいこく人じんの医療いりょう費ひが非常ひじょうに高たかいんじゃないかという議論ぎろんが起おこってきていると思おもいます。

そのうえで、制度せいどの全体ぜんたい像ぞうを見みた上うえで正確せいかくなデータに基もとづいて議論ぎろんを深ふかめていくべきだと指摘してきします。

高久たかく教授きょうじゅ

「外国がいこく人じんにどれだけの医療いりょう費ひが使つかわれているか、ほとんどの国民こくみんはあまり知しらないのではないでしょうか。

こども家庭かてい庁ちょう「7兆ちょう円えん予算よさん」の大半たいはんは…

さらに、「こども家庭かてい庁ちょう」の予算よさんに関にかんする情報じょうほうも広ひろがっています。

「解体かいたいすれば新生児しんせいじ1人にんに1000万まん円えんずつ配くばれる」とする情報じょうほうで、Xでは500万まん回かい以上いじょう閲覧えつらんされている投稿とうこうもありました。

こども家庭かてい庁ちょうの予算よさんは7兆ちょう円えん余あまりあり、新生児しんせいじの数すうおよそ70万まん人にんで単純たんじゅんに割われると1000万まん円えんになりますが、そのようなことが可能かのうなのか。

こども家庭かてい庁ちょうによると、2025年度ねんどの予算よさん額がくは7兆ちょう3000億おく円えんで、内訳うちわけは以下いかの通とおりです。

▽保育ほいく所しょや放課後ほうかご児童じどうクラブの運営うんえい費ひなどが2兆ちょう4600億おく円えん

▽18歳さいまでの子こどもに配くばられる児童じどう手当てあてが2兆ちょう1700億おく円えん

▽育児いくじ休業きゅうぎょうなどの給付きゅうふ金きんが1兆ちょう600億おく円えん

▽児童じどう虐待ぎゃくたいや障害しょうがい児じ、ひとり親おや家庭かていの支援しえんに8500億おく円えん

▽大学だいがくなどの授業じゅぎょう料りょう減免げんめんや給付きゅうふ型がた奨学しょうがく金きんに6500億おく円えん

▽妊婦にんぷへの10万まん円えん給付きゅうふに800億おく円えん

▽管理かんり費ひや調査ちょうさ研究けんきゅうに600億おく円えん

保育園ほいくえん、児童じどう手当てあてや育児いくじ休業きゅうぎょうの給付きゅうふ金きん、授業じゅぎょう料りょう減免げんめんや奨学しょうがく金きんなどの関連かんれん費用ひようが予算よさんの大半たいはんを占しめていて、「解体かいたい」できるような性質せいしつのものではありません。

こども家庭かてい庁ちょうも「こどもや若者わかもの、それをサポートする方々かたがたのため、質しつの高たかい施策しさくに取り組とりくむための予算よさんだ」としています。

こども家庭かてい庁ちょう「ほとんどが外部がいぶ委託いたくで中ちゅう抜ぬき」は「事実じじつ誤認ごにん」

また、「7兆ちょう円えんのほとんどが外部がいぶ委託いたくで中ちゅう抜ぬきされている」とする投稿とうこうも広ひろがっています。

これについては、こども家庭かてい庁ちょうから外部がいぶに委託いたくされる事業じぎょうの費用ひよう「委託いたく費ひの割合わりあいは0。

こども家庭かてい庁ちょうは公式こうしきの「note」で詳くわしい予算よさんの情報じょうほうを掲載けいさいし、「引き続ひきつづき丁寧ていねいに説明せつめいをさせていただきたい」としています。

関連かんれんする投稿とうこうは増加ぞうか傾向けいこうに

こうした政府せいふの予算よさんに関にかんする投稿とうこうについて、NHKが分析ぶんせきしたところ、Xでは「外国がいこく人じん優遇ゆうぐう」に関にかんする投稿とうこうが増加ぞうか傾向けいこうにあり、リポストを含ふくめて、去年きょねんだけで120万まん件けんだったものが、ことしはすでに130万まん件けんを超こえています。

また、「こども家庭かてい庁ちょう解体かいたい」に関にかんする投稿とうこうも去年きょねん末まつごろから急増きゅうぞうし、ことしだけで110万まん件けんを超こえています。

拡散かくさんされている投稿とうこうをどのようなアカウントが発信はっしんしているのか分析ぶんせきすると、

▽ふだんからロシアを支援しえんする立場たちばの情報じょうほうを発信はっしんしていたり

▽移民いみんに反対はんたいする投稿とうこうを繰り返くりかえしたりしている

匿名とくめいインフルエンサーやまとめサイトが多おおくなっていました。

また、一部いちぶの政治せいじ家かによる発信はっしんも上位じょういを占しめていました。

同様どうようの投稿とうこうは、Xだけでなく、スレッズやインスタグラム、YouTube、TikTokなどでもみられています。

情報じょうほうの“調しらべ方かた”に注意ちゅうい

ネットで広ひろがる言説げんせつに詳くわしい成蹊大学せいけいだいがくの伊藤いとう昌あきら亮あきら教授きょうじゅは、社会しゃかいの分断ぶんだんが可視かし化かされているとも見みています。

伊藤いとう教授きょうじゅ

「いま、生活せいかつ苦くがあるなかで、自分じぶんたちが社会しゃかいのなかで大事だいじにされていないと感かんじる人ひとたちが、これまでにないくらい増ふえています。

「誰だれが誰だれを助たすけるのか、どう再さい分配ぶんぱいすればいいのか、どうやって人々ひとびとが共生きょうせいしていくのかという本来ほんらい的てきな問題もんだいも議論ぎろんされにくくなってしまう。

こうした中なかで伊藤いとう教授きょうじゅは、SNSで拡散かくさんされる際さいには、一部いちぶの事例じれいや誇張こちょうしたデータをもとにした主張しゅちょうが拡散かくさんしやすくなっているとも指摘してきします。

さまざまな情報じょうほうの中なかから、自分じぶんの主張しゅちょうに合あう数値すうちや一部いちぶの事実じじつだけを引用いんようし、ほかの事実じじつを無視むしする行為こういは、サクランボの中なかから熟じゅくしたものを選えらぶことにたとえて、「チェリーピッキング」と呼よばれます。

伊藤いとう教授きょうじゅ

「恣意しい的てきにつまみ取とられたエビデンスをつなげて、自分じぶんたちの意見いけんを作つくっていくということがなされています。

「一方いっぽうでこれまでも、いわゆる言論げんろん人じんとか知識ちしき人じん、ジャーナリズムも含ふくめて、どちらかというと数字すうじよりも自分じぶんたちの意見いけんを言いってきていて、根拠こんきょは何なになのかみたいなことをあまり語かたってこなかった部分ぶぶんもある。

「加くわえて、SNSでは能動のうどう的てきに調しらべているように思おもえても実じつは誘導ゆうどうされていて、よりはまり込こんでしまうということがあります。

（機動きどう展開てんかいプロジェクト・籏智広ともひろ太ふとし、経済けいざい部ぶ・岡谷おかや宏ひろし基もと）

【配信はいしんはこちら】外国がいこく人じん優遇ゆうぐう？実態じったいは

伊原いはら弘ひろし将はたアナウンサーがプレゼン解説かいせつ

サタデーウオッチ9「デジボリ」（6月つき28日にち）

配信はいしん期限きげん:7月つき5日にち（土ど）午後ごご10時じまで