東京とうきょうオリンピック開幕かいまく 各国かっこくの立場たちばや姿勢しせいは？

バイデン大統領だいとうりょうがことし4月つきに首都しゅとワシントンで行おこなった、菅かん総理そうり大臣だいじんとの日にち米べい首脳しゅのう会談かいだんの共同きょうどう声明せいめいでは「安全あんぜん・安心あんしんな大会たいかいを開催かいさいするための菅かん総理そうり大臣だいじんの努力どりょくを支持しじする」と明記めいきしました。

日本にっぽん国内こくないにおける新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん状況じょうきょうが改善かいぜんしない中なかでも、ホワイトハウスのサキ報道ほうどう官かんは「われわれの立場たちばは変かわらない」と繰り返くりかえし述のべ、日本にっぽん側がわと緊密きんみつに連携れんけいする姿勢しせいを強調きょうちょうしてきました。

そして、23日にち夜よる行おこなわれる東京とうきょう大会たいかいの開会かいかい式しきには、大統領だいとうりょう夫人ふじんのジル・バイデン氏しが出席しゅっせきします。

東京とうきょう大会たいかいの開催かいさいを支持しじしてきた背景はいけいには、アメリカ国内こくないでワクチンの接種せっしゅが進すすんで感染かんせん状況じょうきょうが一いち時期じきより改善かいぜんし、開催かいさいを期待きたいする声こえが高たかまっていることに加くわえ、台頭たいとうする中国ちゅうごくを念頭ねんとうに、日本にっぽんとの同盟どうめい関係かんけいがかつてないほど重おもみを増ましていることがあります。

また、アメリカは世界せかい最大さいだいの選手せんしゅ団だんを誇ほこるスポーツ大国たいこくで、多おおくの大だい企業きぎょうがIOC＝国際こくさいオリンピック委員いいん会かいとスポンサー契約けいやくを結むすんだりテレビ局てれびきょくのNBCが巨額きょがくの放送ほうそう権けん契約けいやくを結むすんだりするなど、商業しょうぎょう面めんでもオリンピックとの結び付むすびつきが強つよいという特徴とくちょうもあります。

調査ちょうさ会社かいしゃイプソスが先月せんげつ上旬じょうじゅんにかけて行いった調査ちょうさによりますと、アメリカ国民こくみんの52％が、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが終息しゅうそくしていなくても東京とうきょうオリンピックは開催かいさいすべきだと答こたえているほか、およそ3人にんに2人にんにあたる66％が、オリンピックは国くにに団結だんけつをもたらすと考かんがえています。

このため国旗こっきや国歌こっかの使用しようも認みとめられていませんが、選手せんしゅのユニフォームは、国旗こっきと同おなじ白しろ・青あお・赤あかの3色しょくでデザインされているほか、国歌こっかの代かわりとして、ロシアを代表だいひょうする作曲さっきょく家か、チャイコフスキーの「ピアノ協奏曲きょうそうきょく第だい1番ばん」を使つかうことが認みとめられました。選手せんしゅたちにとっては事実じじつ上じょう、国くにを代表だいひょうしているというプライドをもって臨のぞめることになります。

ただ、ロシア政府せいふにとって国旗こっきの掲揚けいようも国歌こっかの斉唱せいしょうもできないということは、ロシアのイメージダウンを再ふたたび世界せかいに印象いんしょうづけることになりかねません。

プーチン大統領だいとうりょうは、先月せんげつ末まつに開ひらかれた選手せんしゅたちの壮行そうこう会かいの場ばで「スポーツを政治せいじの問題もんだいにすることはいまも喫緊きっきんの課題かだいとなっている」と述のべ、欧米おうべいがスポーツの分野ぶんやで政治せいじ的てきな対立たいりつを持ち出もちだしていると暗あんに批判ひはんしました。

プーチン大統領だいとうりょうは、これまでも国民こくみんの愛国あいこく心しんを高たかめることでみずからの求心力きゅうしんりょくの向上こうじょうにつなげてきました。

かつてと比くらべて支持しじ率りつにかげりが見みえるなかプーチン大統領だいとうりょうとしては、「スポーツ大国たいこく」としての威信いしんを取り戻とりもどそうと、人々ひとびとの愛国あいこく心しんに訴うったえ、国民こくみんの結束けっそくを強つよめるきっかけにしたいと考かんがえているとみられます。

新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいが続つづく中なかでも、今回こんかいの東京とうきょう大会たいかいには、国外こくがいで開ひらかれる大会たいかいとしては過去かこ最大さいだい規模きぼの代表だいひょう団だんを派遣はけんするなど、後押あとおしする姿勢しせいをみせています。

その背景はいけいには、東京とうきょう大会たいかいをはずみとして、およそ半年はんとし後ごに迫せまる北京ぺきん大会たいかいを円滑えんかつに開催かいさいしたい狙ねらいがあります。

中国ちゅうごく外務省がいむしょうの趙ちょう立りつ堅けん報道ほうどう官かんは今月こんげつ20日にちの記者きしゃ会見かいけんで、「中国ちゅうごくは、東京とうきょう大会たいかいの成功せいこうの経験けいけんを引き継ひきつぎ、国際こくさい社会しゃかいとともに、安全あんぜんで精彩せいさいを放はなつ大会たいかいを開催かいさいする自信じしんがある」と述のべ、北京ぺきん大会たいかいの開催かいさいに重かさねて自信じしんを示しめしました。

とりわけ、北京ぺきん大会たいかいを、共産きょうさん党とうの指導しどうのもと、新型しんがたコロナの感染かんせんを抑え込おさえこみ、経済けいざいを回復かいふくさせたことを象徴しょうちょうするイベントに位置いちづけることで、国威こくい発揚はつようを図はかりたい考かんがえです。

来年らいねん秋あきには、共産党きょうさんとう指導しどう部ぶの人事じんじが行おこなわれる5年ねんに1度どの党とう大会たいかいが予定よていされていて、習近平ちから国家こっか主席しゅせきとしては、「党とうのトップは2期きで引退いんたいする」という慣例かんれいを破やぶって、3期き目め以降いこうの続投ぞくとうにつなげるためにも、北京ぺきん大会たいかいの成功せいこうを大おおきな実績じっせきにしたいという思惑おもわくもあるとみられます。

ただ、アメリカは、各国かっこくに対にたいし、新疆ウイグルしんきょうういぐる自治じち区くでの人権じんけん状況じょうきょうなどを理由りゆうに、選手せんしゅ団だん以外いがいの首脳しゅのうや政府せいふ関係かんけい者しゃの参加さんかを見合みあわせる「外交がいこう的てきなボイコット」を呼よびかけていて、中国ちゅうごくは、同調どうちょうする動うごきが広ひろがらないか、神経しんけいをとがらせています。

新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで東京とうきょう大会たいかいが1年ねん延期えんきされ、一時いちじ、開催かいさいそのものを危あやぶむ声こえが広ひろがった時ときも、パリ大会たいかいの組織そしき委員いいん会かいは「日本にっぽんの組織そしき委員いいん会かいが適切てきせつに判断はんだんし、開催かいさいを実現じつげんすると信しんじている」と開催かいさいを支持しじし続つづけてきました。

パリ大会たいかいの成功せいこうには、東京とうきょう大会たいかいが確実かくじつに実施じっしされることが欠かかせないという考かんがえからです。

フランスのマクロン大統領だいとうりょうは東京とうきょう大会たいかいの開会かいかい式しきへの出席しゅっせきをいち早いちはやく表明ひょうめいし、パリ市しのイダルゴ市長しちょうも、閉会へいかい式しきで聖火せいかを引き継ひきつぎ持ち帰もちかえると意気込いきごみを示しめしています。

パリなど各地かくちでは、東京とうきょう大会たいかいの期間きかん中ちゅう、パブリック・ビューイングが開ひらかれてフランス選手せんしゅの活躍かつやくを中心ちゅうしんに伝つたえることになっていて、3年ねん後ごのパリ大会たいかいに向むけて機運きうんを盛り上もりあげたい考かんがえです。

ただ、変異へんいウイルスがフランスを含ふくめて世界せかい各国かっこくに広ひろがる中なかで、新型しんがたコロナウイルスの脅威きょういがパリ大会たいかいにどんな影響えいきょうを及およぼすかは、今いまのところ見通みとおせません。

パリ大会たいかいの組織そしき委員いいん会かいは、外国がいこくからの観客かんきゃくの受け入うけいれや会場かいじょうへの入場にゅうじょう制限せいげんなど、東京とうきょう大会たいかいで得えられる教訓きょうくんを生いかし、予想よそうされるさまざまな事態じたいに備そなえるものとみられます。