この階級でシドニー大会以来となる金メダルとなったことについては「自分が取り戻してやろうと思っていたので、実感はないが最高です」と喜びをかみしめていました。
ウルフ選手は、オリンピックの金メダルを獲得したことで”柔道三冠”の称号を手にしました。 日本の柔道界では、「世界選手権」と体重無差別で行われる「全日本選手権」、そして「オリンピック」を制することを”柔道三冠”と呼びます。 2017年の世界選手権とおととしの全日本選手権を制したウルフアロン選手は、男子の日本代表で指導を受ける井上康生監督や鈴木桂治コーチが成し遂げた”三冠”に挑戦することに強い意欲を示してきました。 ウルフ選手の得意技は、豪快に投げる大内刈りや内股。 最大の持ち味は、相手の技を受けとめる強さと豊富なスタミナを生かした粘り強い戦いです。 2017年の世界選手権では、6試合のうち4試合を延長の末に制して金メダルを獲得しました。 ところが、この戦い方をたび重なるヒザのけがで変えざるを得なくなりました。 2018年には左ひざ、おととしの12月には右ひざも痛めて両ひざを手術しました。おととしの手術以降は、リハビリやひざの状態を見ながら稽古をする時期が続き、1年4か月の長期間にわたって試合から遠ざかりました。 復帰戦となったことし4月の国際大会では、相手の技を受けきれずに技ありのポイントを奪われる試合が続き、2位は確保したもののウルフ選手自身も「あんなに投げられたのは柔道人生で記憶に無い」と話し不安を残す内容でした。 「終盤に逆転するのではなく先にリードしなくてはならない」。 ウルフ選手は相手の技の受け方、それに組み手のスピードを意識し、相手より先に仕掛けることを課題にあげてその後の稽古に臨みました。 一方で、ひざの状態とも向き合いながら1週間、非常に厳しい稽古をしたあとは、次の1週間でひざのケアを重視する。 このサイクルでオリンピック本番を迎えました。 「歴史に名前を刻みたいと思っている」。 強い覚悟で挑んだこの大会、ひざのけがの影響を感じさせない強さを見せて、海外の強豪を次々に破りました。 井上康生監督以来となるこの階級での金メダル獲得。そして”柔道三冠”の称号も手にしました。
“柔道三冠”達成
オリンピック初出場のウルフ選手は初戦の2回戦を一本勝ち、続く準々決勝を優勢勝ちし順当に勝ち上がりました。
準決勝ではジョージアのバーラム・リパルテリアニ選手と対戦し試合開始2分40秒ごろに大内刈りで技ありを奪って優勢勝ちしました。
決勝は、韓国のチョ・グハム選手と対戦しました。
互いに技を出し合いますが勝負は決まらず、試合は延長戦にもつれ込みました。
延長でウルフ選手は大内刈りや内股で攻め続け、延長5分半ごろ、大内刈りで一本勝ちしました。
ウルフ選手は初めてのオリンピックで金メダル獲得です。
日本のこの階級での金メダルは、男子の日本代表監督を務める井上康生さんが2000年のシドニー大会で獲得して以来、5大会ぶりです。
ウルフアロン「泥臭い柔道貫くことできよかった」









