このうち、先月、大阪市で開かれたイベントでは新型コロナウイルスの感染を防止するため予約制としましたが、60人余りの定員は満員となりました。
会場では農業法人や地方自治体など16の団体のブースが設けられ、訪れた人たちは仕事の内容などについて説明を受けていました。
このうち、東京に住むシステムエンジニアの20代の男性は新型コロナの影響で毎日、リモートワークとなり働く場所にこだわる必要がなくなったとして、副業で農業の仕事を探しに来たということです。
男性は「今後は第1次産業も重要になると思ったことに加え、リモートワークの導入でどこでも働けるなら農業もできるのではと思いました。将来的には自分のやりたい仕事をしながらそのうえで農業もやっていきたい」と話していました。
「マイナビ」の農業活性事業部の池本博則 事業部長は「キーワードとして副業とかダブルワークというのが増えている。まず農業を試すという意味でもこうした働き方から農業に入っていくというのはよいのではないか」と話しています。
前橋市の小林ミチルさん(50)は現在、市内の中古車販売店で週5日、パート従業員として午後2時から7時まで働きながら、午前中は副業としてトマトを栽培している自宅近くの農園でも同じくパート従業員として働いています。 副業として農業を始めたのは去年6月でした。 きっかけは当時、働いていた地元のホテルでの収入が新型コロナウイルスの影響で大幅に減少したことでした。 宿泊客が大幅に減ったため去年11月の出勤日は4日にとどまり、給料はおよそ3万円で、休業手当を入れても4万円余りと、1か月の収入は感染拡大前と比較して6割以上減少しました。 小林さんはこのままでは生活ができないと考え、去年12月にホテルの仕事を辞め、いまは中古車販売会社で働いています。 中古車販売会社と農業の収入は合わせて15万円ほどです。 小林さんは娘と2人暮らしで農業の収入は生活に欠かせないといいます。 小林さんは「農業の経験はなく初めてでしたが、働くことが楽しいと感じています。今後も副業として、農業は続けていきたいと思っています」と話していました。 一方、小林さんが働いている農園も収穫期の人手不足の解消などにつながったということです。 農園では現在、およそ10人が働いていてそのうち小林さんを含めて3人が副業として勤務しています。 農園によりますと新型コロナウイルスの感染拡大のあと、農業の経験がない人から働きたいという問い合わせが増えているということです。 農園を経営する石井 真帆美さん(49)は「農園で働く従業員が増えて、仕事も非常に効率的になり助かっています。これからも柔軟に人材を受け入れていきたい」と話していました。
山梨県中央市にある農業法人「サラダボウル」は、各地で農場を運営し生産したトマトなどを首都圏のスーパーなどに出荷しています。 農業法人では毎年、中途採用を含めおよそ20人を新たに受け入れていて、多くが農業未経験者です。 なかには総合商社や大手IT企業、それに保険会社の営業職で働いていた人などもいます。 会社が重要視しているのは長く勤めてもらうための人材育成です。 会社では一人一人の能力を最大限生かすため中途採用の場合、これまでの仕事の知識や経験などをできるだけ活用してもらうことにしています。 また、1人ひとりの社員のキャリアアップも後押しすることに力を入れています。 3か月に1度、社長や上司との面談の場が設けられ、仕事への不安や将来つきたい仕事のポスト、それに自分が描いている農業との関わり方などについて意見を交換することができるようになっています。 こうした取り組みの結果、離職する人は減ったということです。 農業法人「サラダボウル」経営企画室の森 成徳さんは「これまでになかった農業のスタイルをつくっていこうとしています。多くの人が農業で働き続けることができるよう後押ししてきたい」と話しています。
副業として農業で働き始めた人も
人材育成に力を入れる農業法人
専門家は