大だい相撲すもう7月つき場所ばしょ 元もと大関おおぜき 照あきらノ富士ふじが5年ねんぶりの復活ふっかつ優勝ゆうしょう

千秋楽せんしゅうらくの8月つき2日にち、照あきらノ富士ふじは御嶽みたけ海うみに勝かって13勝しょう2敗はいとし、平成へいせい27年ねん夏場なつば所しょ以来いらいとなる2回かい目めの優勝ゆうしょうを果はたしました。

大関おおぜき経験けいけん者しゃの照あきらノ富士ふじは、ひざのけがや糖尿とうにょう病びょうなどのため平成へいせい29年ねんの名古屋なごや場所ばしょからの10場所ばしょ中ちゅう、9場所ばしょを休場きゅうじょうし、一時いちじは大関おおぜきから序ついで二に段だんにまで番付ばんづけを下さげていました。

それでも、けがや病気びょうきの回復かいふくに伴ともない、少すこしずつ稽古けいこを再開さいかいして番付ばんづけを戻もどし、今こん場所ばしょはおよそ2年ねん半はんぶりに幕内まくうちに復帰ふっきして力強ちからづよく前まえに出でる相撲すもうで白星しろぼしを重かさねていきました。

特とくに13日にち目め、1敗はいで並ならんでいた朝あさ乃山さんに対にたいして、得意とくいの左ひだり上手じょうずを取とって堂々どうどうと寄り切よりきった相撲すもうには、培つちかってきた四つ相撲よつずもうの技術ぎじゅつと大関おおぜき時代じだいを思おもわせる力強ちからづよさが感かんじられました。

大関おおぜき経験けいけん者しゃが関脇せきわけ以下いかに番付ばんづけを下さげて優勝ゆうしょうするのは、昭和しょうわ51年ねん秋場所あきばしょの魁さきがけ傑すぐる以来いらい、44年ねんぶりです。

“横綱よこづな候補こうほ”が序じょ二に段だんまで…　“復活ふっかつ”優勝ゆうしょうの軌跡きせき

照あきらノ富士ふじは、モンゴル出身しゅっしんの28歳さい。

モンゴルから来日らいにちして強豪きょうごうの鳥取とっとり城北じょうほく高校こうこうに入学にゅうがくし、その後そのご、間ま垣かき部屋へやに入門にゅうもんしました。

平成へいせい23年ねん5月つきの技量ぎりょう審査しんさ場所ばしょで若わか三さん勝しょうのしこ名しこなで初はつ土俵どひょうを踏ふみ、間ま垣かき部屋へやの閉鎖へいさに伴ともなって伊勢いせヶ濱はま部屋へやに移籍いせきしたあと、しこ名しこなを今いまの照あきらノ富士ふじに改あらためました。

体重たいじゅうおよそ180キロの恵めぐまれた体格たいかくを生いかした力強ちからづよい四つ相撲よつずもうでぐんぐん番付ばんづけを上あげ、平成へいせい26年ねんの春場所はるばしょに新しん入幕にゅうまくを果はたし、関脇せきわけだった平成へいせい27年ねんの夏場なつば所しょには12勝しょう3敗はいで初はじめて優勝ゆうしょうしました。

初はつ土俵どひょうから25場所ばしょ目めでの優勝ゆうしょうは、年とし6場所ばしょ制せいとなった昭和しょうわ33年ねん以降いこう、幕下まくした付け出つけだしの力士りきしを除のぞいて歴代れきだい3位いのスピード記録きろくで、場所ばしょ後ごに大関おおぜきに昇進しょうしんし横綱よこづな候補こうほとして期待きたいされました。

平成へいせい29年ねん春場所はるばしょでは新しん横綱よこづなだった稀まれ勢ぜいの里さとと千秋楽せんしゅうらくまで優勝ゆうしょうを争あらそい、優勝ゆうしょう決定けってい戦せんの末すえに敗やぶれた相撲すもうはファンに強つよい印象いんしょうを残のこしました。

しかし、ひざのケガや糖尿とうにょう病びょうなどから稽古けいこのできない状態じょうたいとなり、平成へいせい29年ねん名古屋なごや場所ばしょから4場所ばしょ連続れんぞくで休場きゅうじょうして、その年としの九州きゅうしゅう場所ばしょには2年間ねんかん務つとめた大関おおぜきの地位ちいから陥落かんらくしました。

さらに平成へいせい30年ねん夏場なつば所しょからも5場所ばしょ連続れんぞくで休場きゅうじょうし、平成へいせい31年ねんの春場所はるばしょには序じょ二に段だんにまで番付ばんづけが下さがりました。

大関おおぜき経験けいけん者しゃが幕下まくした以下いかに陥落かんらくするのは、昭和しょうわ以降いこうでは初はじめてのことで、一時いちじは引退いんたいも考かんがえたということです。

それでも、師匠ししょうの伊勢いせヶ濱はま親方おやかたに説得せっとくされて思おもいとどまり、けがや病気びょうきの回復かいふくに伴ともなって少すこしずつ稽古けいこを再開さいかいし、再ふたたび番付ばんづけを上あげて、ことしの初はつ場所ばしょには十じゅう両りょうに、今こん場所ばしょは幕内まくうちに復帰ふっきしていました。

前頭まえがしら17枚まい目め、幕まく尻しりで臨のぞんだ今こん場所ばしょは、大関おおぜき時代じだいを思おもわせる持ち味もちあじの力強ちからづよく前まえに出でる安定あんていした相撲すもうで白星しろぼしを重かさねていき、およそ5年ねんぶりとなる優勝ゆうしょうで復活ふっかつを強つよく印象いんしょうづけました。

照あきらノ富士ふじ「続つづけてきてよかった」

今こん場所ばしょから幕内まくうちに復帰ふっきし、およそ5年ねんぶりの復活ふっかつ優勝ゆうしょうを果はたした照あきらノ富士ふじは「続つづけてきてよかったなと思おもう。いろいろなことがあったが、最後さいごにこうやって笑わらえる日ひが来くると信しんじてやってきた。一生いっしょう懸命けんめいやったらいいことがあると思おもっていた」と心境しんきょうを話はなしました。

2日にちの御嶽みたけ海うみとの一番いちばんについては「やってきたことを信しんじて、前向まえむきにやりました」と振り返ふりかえりました。5年ねん前まえの優勝ゆうしょうとの違ちがいについては「前まえはイケイケのときに優勝ゆうしょうした。今いまは慎重しんちょうに1つのことを集中しゅうちゅうしてやっている」と表現ひょうげんしました。

今後こんごについては「今こん場所ばしょと同おなじように一いち日にち一番いちばん、自分じぶんの全力ぜんりょくを出し切だしきって、やれるところまでやりたい」と意気込いきごみを話はなしていました。

八角はっかく理事りじ長ちょう「戻もどってすぐの優勝ゆうしょうはすばらしい」

日本にっぽん相撲すもう協会きょうかいの八角はっかく理事りじ長ちょうは、優勝ゆうしょうした照あきらノ富士ふじについて「元もと大関おおぜきが序じょ二に段だんで相撲すもうを取とるのは、なんとも言いえない思おもいがあったと思おもうが、それを踏ふまえてよく戻もどってきた。まだ力ちからは元もとに戻もどっていない中なかで、こんなに早はやく優勝ゆうしょうするとは本人ほんにんも考かんがえていなかったと思おもう。戻もどってすぐの優勝ゆうしょうはすばらしい」とたたえました。

一方いっぽう、新しん大関おおぜきで12勝しょうをあげた朝あさ乃山やまについては「新しん大関おおぜきとしては合格ごうかくだ。前半ぜんはんは出来できすぎのところもあったが、自分じぶんのことで精せいいっぱいの中なかで最後さいごは横綱よこづな・大関おおぜきが休場きゅうじょうしていろいろな重圧じゅうあつがのしかかった。優勝ゆうしょうはできなかったが、大関おおぜきとして乗り切のりきった」と評価ひょうかしました。

そして、およそ半年はんとしぶりに観客かんきゃくを入いれて開催かいさいした今こん場所ばしょを無事ぶじに終おえたことについて「ほっとしている。お客おきゃくさんも感染かんせん防止ぼうし対策たいさくをやってくれたし力士りきしも頑張がんばってくれた。お客おきゃくさんが拍手はくしゅで応援おうえんしてくれて本当ほんとうにありがたかった」と改あらためてファンに感謝かんしゃしていました。

伊勢いせヶ濱はま親方おやかた「本当ほんとうによく頑張がんばった」

照あきらノ富士ふじの師匠ししょうの伊勢いせヶ濱はま親方おやかたは、「よく頑張がんばったなと言いってあげたい。ここまで来こられるとは思おもっていなかった。場所ばしょ前まえには勝ち越かちこしてけがなく終おわればいいと思おもっていたくらいだ。本人ほんにんは、まだ一生懸命いっしょうけんめいけがと戦たたかっている最中さいちゅうで、本当ほんとうによく頑張がんばった」と弟子でしの優勝ゆうしょうに感慨かんがい深ふかげでした。

伊勢いせヶ濱はま親方おやかたは、照あきらノ富士ふじから「引退いんたいしたい」と相談そうだんを受うけ、思おもいとどまるように説得せっとくしたということで、「けがで負まけて終おわってしまわないよう、やれることをやって本人ほんにんも納得なっとくできてからと思おもって説得せっとくした。やるだけやって頑張がんばることが大事だいじだ」とそのときの心境しんきょうを振り返ふりかえっていました。