モーリシャス 貨物かもつ船せんはこう座礁ざしょうした 航路こうろ分析ぶんせきからわかったこと

ＡＩＳと呼よばれる、船ふねの位置いちなどを電波でんぱで発信はっしんする装置そうちのデータ分析ぶんせきを行おこなっている「ＩＨＩジェットサービス」が解析かいせきしたところ、貨物かもつ船せんは、モーリシャスの南東なんとうおよそ2キロの沖おきを航行こうこうしていた先月せんげつ25日にち、1分ふん余あまりの間まに針路しんろをほぼ90度ど右みぎに変かえ、10ノット前後ぜんごで進すすんでいた速度そくども1ノット以下いかに低下ていかしていたことが分わかりました。

船舶せんぱく事故じこに詳くわしい神戸こうべ大学だいがく大学院だいがくいんの若林わかばやし伸和のぶかず教授きょうじゅは「通常つうじょう、このように人為じんい的てきに船ふねの向むきを変かえることはなく、船底ふなそこが何なにかに当にあたって急きゅうに向むきが変かわったのではないか」と述のべ、この衝突しょうとつが座礁ざしょうの原因げんいんとなった可能かのう性せいが高たかいと指摘してきしています。

分析ぶんせきデータによりますと、貨物かもつ船せんはその後そのご、北きたにおよそ1キロ漂流ひょうりゅうし、10日にち余あまりたった今月こんげつ5日にちに電波でんぱの発信はっしんが止とまりました。

また、この海域かいいきを航行こうこうするほかの船舶せんぱくのデータと比くらべると、貨物かもつ船せんは北西ほくせいにおよそ16キロ離はなれ、モーリシャスの沿岸えんがん近ちかくを進すすんでいたことも分わかりました。

専門せんもん家か「周辺しゅうへんはさんご礁さんごしょう多おおい」通常つうじょうと異ことなる航路こうろとったか

若林わかばやし教授きょうじゅは「周辺しゅうへんはさんご礁さんごしょうも多おおく、注意ちゅういが必要ひつような場所ばしょだ。危険きけんな所ところにわざわざ寄よっていくことは考かんがえられない」と述のべ、貨物かもつ船せんが通常つうじょうとは異ことなる航路こうろをとったことが事故じこにつながったのではないかという見方みかたを示しめしました。

事故じこの原因げんいん究明きゅうめいに向むけては、現地げんちの警察けいさつ当局とうきょくなどが貨物かもつ船せんの航行こうこうデータを記録きろくした「ブラックボックス」を回収かいしゅうし、船長せんちょうを含ふくめた乗組のりくみ員いんから事情じじょうを聴きいています。

商船しょうせん三井みつい「通常つうじょう航路こうろからかい離かいりしていたことは把握はあく」

貨物かもつ船せんをチャーターした商船しょうせん三井みついは「速度そくどが10ノットから1ノットに低下ていかした理由りゆうは、座礁ざしょうが原因げんいんだと把握はあくしている。また、船ふねが通常つうじょうの航路こうろからかい離かいりしていたことも把握はあくしているが、当社とうしゃは船ふねをチャーターした立場たちばでありかい離かいりした原因げんいんなどについては船ふねの所有しょゆう者しゃである長ちょう鋪しき汽船きせんに確認かくにんしてほしい」とコメントしています。

また長ちょう鋪しき汽船きせんは「航路こうろは把握はあくしているが、現在げんざい、当局とうきょくが捜査そうさしているところであり、コメントは控ひかえたい。座礁ざしょうの原因げんいんは、当局とうきょくの聴取ちょうしゅが終おわったあと、改あらためて乗組のりくみ員いんに事情じじょう聴取ちょうしゅする予定よていだ」とコメントしています。

英えい仏ふつメディア 環境かんきょうへの影響えいきょうを懸念けねん

商船しょうせん三井みついがチャーターした貨物かもつ船せんがインド洋いんどようの島国しまぐにモーリシャスの沖合おきあいで座礁ざしょうした事故じこについて、フランスやイギリスのメディアは重油じゅうゆの回収かいしゅう作業さぎょうや、環境かんきょうへの影響えいきょうを懸念けねんする専門せんもん家かの見方みかたなどを伝つたえています。

このうちフランスはモーリシャスから西にしに170キロ余あまり離はなれたところに海外かいがい県けんのレユニオン島とうがあり、マクロン大統領だいとうりょうは今月こんげつ8日にち、ツイッターに、「生物せいぶつの多様たよう性せいが危機ききにひんしているときには緊急きんきゅうに行動こうどうする必要ひつようがある」と投稿とうこうし、オイルフェンスなど物資ぶっしの提供ていきょうや専門せんもん家かの派遣はけんといった支援しえんを直ただちに行いっています。

また、フランスの主要しゅようメディアは「数すう年ねんにわたって白しろい砂浜すなはまやマングローブが汚染おせんされかねない」といった見通みとおしや、「生態せいたい系けいへの最悪さいあくの災害さいがいだ」とする環境かんきょう団体だんたいの懸念けねんを伝つたえ、重油じゅうゆの回収かいしゅう作業さぎょうなどを連日れんじつ取り上とりあげています。

こうした中なか、16日にちにはルコルニュ海外かいがい県けん・海外かいがい領土りょうど相しょうが現地げんち入いりし、上空じょうくうから現場げんばを視察しさつしたほか、モーリシャス政府せいふの閣僚かくりょうらと面会めんかいし、さらなる支援しえんを約束やくそくしました。

その一方いっぽう、ルコルニュ海外かいがい県けん・海外かいがい領土りょうど相しょうは貨物かもつ船せんの今後こんごの対応たいおうをめぐって、「船体せんたいを海うみに沈しずめるのは望のぞましくない」と述のべるなど、フランス領りょうに影響えいきょうを及およぼさないようくぎも刺さしています。

また、イギリスのメディア各社かくしゃも事故じこでモーリシャスの環境かんきょうに極きわめて深刻しんこくな影響えいきょうが出でていると伝つたえていて、このうち公共こうきょう放送ほうそうＢＢＣび-び-し-は重油じゅうゆの流出りゅうしゅつで多様たような生物せいぶつが生息せいそくする世界せかい的てきにも貴重きちょうなエリアが被害ひがいを受うけているとしたうえで、「影響えいきょうは数すう十じゅう年ねんにわたって残のこり、手付てつかずだった沿岸えんがん部ぶの自然しぜんが元もとに戻もどることはないだろう」という専門せんもん家かの見方みかたを伝つたえています。

日本にっぽん企業きぎょうの吸着きゅうちゃく材ざいを現地げんちに

日本にっぽんの貨物かもつ船せんがインド洋いんどようの島国しまぐにモーリシャスの沖合おきあいで座礁ざしょうし、大量たいりょうの油あぶらが流出りゅうしゅつしている問題もんだいで、油あぶらだけを吸い取すいとる特殊とくしゅな繊維せんいを使つかった吸着きゅうちゃく材ざいが日本にっぽんの企業きぎょうから現地げんちに送おくられることになりました。

東京とうきょう・大田おおた区くの繊維せんいメーカー「エム・テックス」は、油あぶらだけを吸い取すいとることができる、特殊とくしゅな繊維せんいの製造せいぞうで特許とっきょを持もっていてこの繊維せんいを使つかった吸着きゅうちゃく材ざいを生産せいさんしています。

吸着きゅうちゃく材ざいは、去年きょねん8月つきの佐賀さが豪雨ごううで佐賀さが県けん大町おおまち町まちの鉄工てっこう所しょから油あぶらが流出りゅうしゅつした事故じこでも復旧ふっきゅう作業さぎょうに使つかわれていて、今回こんかいは1200リットル分ぶんの油あぶらを吸い取すいとれる量りょうを支援しえん物資ぶっしとして送おくることになりました。

19日にち、派遣はけんされる国際こくさい緊急きんきゅう援助えんじょ隊たいの専門せんもん家かチームの第だい2陣じんが現地げんちに届とどけることになっています。

エム・テックスの竹たけノ下しも友とも基部きぶ長ちょうは、「事故じこが起おきたあと、何なにかできないかという思おもいがあった。美うつくしい環境かんきょうで、今回こんかいの事故じこが起おき、現地げんちの方々かたがたは大変たいへんな苦労くろうをされていて、メイドインジャパンの技術ぎじゅつを役立やくだててほしい」と話はなしていました。

中国ちゅうごくもボランティアで油あぶら回収かいしゅう

中国ちゅうごく国営こくえいの中国ちゅうごく中央ちゅうおうテレビは、現地げんちにある中国ちゅうごく大使館たいしかんの館員かんいんや中国ちゅうごく企業きぎょう15社しゃの従業じゅうぎょう員いんら合あわせて200人にん以上いじょうが、ボランティアで油あぶらの回収かいしゅう作業さぎょうに参加さんかしたと18日にち伝つたえました。

中国ちゅうごく中央ちゅうおうテレビは、現地げんちではボランティアが回収かいしゅう作業さぎょうの主力しゅりょくになっていて、簡易かんいな装備そうびで、海岸かいがんやマグローブ林りんなどに漂着ひょうちゃくした油あぶらを取り除とりのぞいていると伝つたえています。

また、ボランティアらは、サトウキビの葉はやタオル、ペットボトルなどでオイルフェンスをつくり、油あぶらの拡散かくさんを防ふせいでいるということです。