瀬戸選手にとっては新型コロナウイルスの影響で大会の中止が相次いだことなどから2月以来、およそ半年ぶりのレースとなりました。
早稲田大学のOBとして男子200メートル個人メドレーに出場した瀬戸選手は前半、得意のバタフライで前に出る場面もありましたが、練習不足から後半の伸びを欠いて1月にマークした自己ベストのタイムよりおよそ3秒遅い1分58秒62でした。
瀬戸選手はレース後、開口一番「死ぬほどきつかった」と話し「率直に練習不足だと思ったがしっかりやればできることも確認できた。タイムが落ちたと思われるかもしれないが、全然練習していなかったので自分の中では合格ライン。焦らずここから頑張っていきたい」と話していました。
瀬戸選手は去年の世界選手権で個人メドレー2種目を制して東京オリンピック代表に内定していますが、今月3日に取材に応じた際には「自分の中のスイッチが入らず苦しい日々が続いている」などと話し、オリンピックが1年延期されたことで心身ともに調整が難しいことを明かしていました。
瀬戸 半年ぶりのレース
およそ半年ぶりとなるレースの直後「レースでパリッとした。過去に感じたことがない疲労感もよかった」と話した瀬戸選手。
金メダル獲得を信じていた東京オリンピックの延期決定によって、練習に身が入らない時期が続いていましたが、今回のレースの刺激を糧に前を向くきっかけをつかもうとしています。
瀬戸選手はオリンピック延期決定後「喪失感で抜け殻になった」という気持ちを、再び奮い立たせようと、さまざまな手を打ってきました。
小学5年生から指導を受けてきた梅原孝之コーチとのコンビを解消。
新たな強化策を探ろうと、同じく梅原コーチの教え子で高校時代の同級生、浦瑠一朗氏をコーチに招きました。
6月からは週6日の練習を再開させ、有望な高校生スイマーやトライアスロンの日本王者を練習パートナーに招いて刺激を得ようと試みています。
それでも気持ちが乗らず、練習を直前にキャンセルする日もあり、練習不足で体重はベストの時と比べて一時4キロ増えました。
28日のレースは、自己ベストからおよそ3秒遅いタイムでした。
しかし、瀬戸選手の受け止めは前向きなものでした。
「現状を身にしみて感じてよかった。自分の中では全然合格ラインで、ここから上げていきたい」
悲願の金メダルを手にするために「水泳がやめたくなるほど」泳いだかつての気持ちを取り戻すため、試行錯誤が続きます。
久しぶりの実戦の場に選手は
瀬戸選手が出場した、早稲田大学と慶応大学の対抗戦は、そのほかのトップ選手にとっても久しぶりとなる実戦の場でした。
男子200メートル平泳ぎの、前の世界記録保持者、渡辺一平選手は100メートル平泳ぎで1分0秒70。
渡辺選手は「けさ起きたときや、レース前のアップがすごく楽しく、うきうきしたのでレースがあるからこそ味わえる喜びだと感じた。もっと強くなった自分を見せられるように精進したい」と話していました。
成長株の19歳、佐藤翔馬選手は、得意の200メートル平泳ぎで2分8秒38、100メートル平泳ぎは自己ベストを0秒31更新する1分0秒01でした。
佐藤選手は200メートル平泳ぎについて「そこそこのタイムでほっとした。勢いにのっていたので、オリンピックの延期は正直悔しかったが、さらに成長したい」と話していました。
そして、リオデジャネイロオリンピックで銀メダルを獲得した坂井聖人選手は、100メートルバタフライで55秒39でした。
坂井選手は肩のけがなどから不調が続いていましたが「外出自粛の期間が肩を休める機会になった。リオ以降は結果が出ず、苦しい思いをしてきたので、なるべく金メダルに近づけるようにしたい」と前を向いていました。