当時、大学で順子さんに英文学を教えていた教授が初めて取材に応じ、「世界に羽ばたく前に命を絶たれたことが本当に残念だ」として事件解決を強く訴えました。
上智大学外国語学部の4年生だった小林順子さん(当時21)。
平成8年の9月9日、東京・葛飾区の自宅にいたところを何者かに刃物で殺害され、さらに住宅が放火されました。
アメリカに留学する2日前の出来事でした。
当時、大学の講師で今も教授を務める東郷公徳さんは順子さんが入学した年から英文学の授業を担当していました。
明るい人柄や下級生の面倒を見る姿などが強く印象に残っているといいます。
東郷さんは、「真面目で親しみやすく下町出身の学生といった感じで多くの友達に慕われていました」と振り返っていました。
そして、「将来の夢はジャーナリストになることだと聞いていましたが、世界に羽ばたく前に命を絶たれたことは本当に残念で、本人も無念だったろうと思います。順子さんに留学に行かせてあげたかったし本人も行きたかったでしょう」と話していました。
東郷さんは、事件解決を願って関係する新聞記事などのスクラップを今も続けていて「いまだに信じられない。一日も早く真相が知りたいし解決してほしい」と強く訴えていました。
リポートにつづられた順子さんの思い
亡くなった小林順子さんが大学在学中に書いたリポートが今も残っています。
このリポートは、1年生の時、東郷さんの講義を受けた際に書かれ、あるイギリス人作家の小説について考察したものです。
原稿用紙11枚に手書きでつづられ、ジャーナリストを目指していた順子さんが、小説が書かれた時代背景や当時の社会の風潮を自分なりに分析する内容となっています。
東郷さんは、「すごく素直で、まっすぐな学生だったがリポートにもそういった人柄が出ていました。変に飾ったり新しいことをねらったりする感じではなく素朴な彼女の考えを書いていたと思います」と話していました。