これに合わせて司法書士など相続の専門家でつくる日本承継寄付協会は先月、50代から70代の人に意識調査を行い、1000人から回答を得ました。
それによりますと、遺産の寄付を考えたことがあるか尋ねたところ、「ある」と答えた割合はほぼ5人に1人あたる22.9%に上りました。
理由としては「何かしらの社会貢献をしたいから」が57.6%、「支援したい特定の団体があるから」が17%に上りました。
一方で、寄付をするために遺言書を作成して準備を済ませたと答えた人は1.2%で、関心があっても寄付の手続きまでつながっていないことも明らかになりました。
日本承継寄付協会の三浦美樹代表理事は「遺贈寄付は人生最後の自己実現といえます。ただ、どこに相談したらいいかわからない人が多いので、情報提供を充実させ相談の窓口を増やしていくことが必要です」と話しています。
「遺贈寄付」手続きをした女性「次世代の後押しに」
11日開かれたオンラインセミナーでは、児童養護施設の出身の人や医療的ケアが必要な子どもたちを支援するために遺贈寄付の手続きをした60代の女性が自身の経験を話しました。
女性は「夫が40代で病気で亡くなり、2人の子どもを育ててきました。夫が残してくれたお金は手を付けずにいましたが、遺贈を知って、小児がんや難病の子どもたちに役立ててもらいたいと考え、寄付することにした」と話しました。
そのうえで「遺贈寄付を通してその人の思いがいつか芽を出し山を動かす力があると思っています。これからの子どもたちの世代を後押ししていけたらと考えています」と話していました。
「遺贈寄付」するには
遺贈寄付をするためにはどんな準備が必要になるのでしょうか。専門家に聞くと、確実なのは遺言に寄付の意思を明確に書いておくことだということです。
そうすれば死後、遺産が直接、NPO法人などに寄付されます。
このほか、手紙やエンディングノートなどで相続人に意思を伝え家族などが遺産をいったん相続してから寄付する方法もあります。
銀行などの信託の仕組みを使って契約を結び寄付の手続きを託す方法もあります。
寄付する団体などを選ぶ際のアドバイスとしては、まず、遺産をどんな活動に役立ててほしいかを考えて遺贈先を探すようすすめています。
また遺贈を受け入れているかどうか、寄付金の使いみちや会計処理が明確に決まっているかも確認するべきだということです。
遺言を作成する前に団体に問い合わせたり、実際に活動を見たりしてどのように寄付金が使われるか知れば準備も進むとしています。