▽「教育無償化」が39%、
▽「子育て世帯への手当・補助金の拡充」が33%と続いたほか、
▽「育児休暇の取得促進」や、
▽「保育所などの受け皿の整備・拡充」も20%を超えています。
日本財団は「子どもを持ちたいと考える若い人も、金銭的負担や仕事との両立が壁になると考えている現状を重く受け止める必要がある。精神的な負担など子どもを産み育てることへの不安は多岐にわたっており、幅広い支援が必要だ」としています。
日本学生支援機構の調査では、奨学金を受給している大学生は1990年度には21.8%でしたが、2020年度には49.6%と2人に1人が利用しています。
最初に弁護士が病気などの理由で返済が厳しくなった場合について、返済期限の猶予を申請したり、返済期間を延ばして月々の返済額を減額したりする方法があることなどを説明しました。 このあと互いの状況を語り合うワークショップが開かれ「奨学金の返済で、貯金もやりたいこともできない」とか「生き方の幅が狭まっている」といった不安の声が聞かれました。 参加した25歳の女性は「夢を持って社会人になったのに生活が苦しい。手取りも15万円ほどで、『子育てもしたいけれど考えられないよね』という話を友達とよくします。それが普通の会話なので、悲しくなる時があります」と話していました。
都内に住む25歳の女性は、教員になる夢をかなえたいと、地元を離れて教職課程がある都内の私立大学に通いましたが、兄弟もいるため、自身の学費と1人暮らしに必要な生活費は奨学金400万円を借りて賄いました。 無事に教員免許を取り卒業後は高校の教員として働き始めましたが、手取りおよそ20万円の給料から月に1万7000円ずつの返済が始まりました。 その後、体調を崩して退職を余儀なくされると、貯金はすぐに底をついて奨学金の返済が難しくなり、一時は知人に借りて対応したということです。 女性は「400万円は大きな額だと思っていましたが、学生時代は大学を卒業して真面目に働けば返せるだろうと思っていました。まさか自分が体調不良になって仕事を辞めると想像していなかったので、真っ先に奨学金どうしようと考え、死んで何とかしなければと、思い悩んだこともありました」と振り返りました。 女性はその後転職し、生活は安定しつつあるといいますが、今後、返済は18年間続き、自分が生きていくための衣食住を確保していく以上の余裕はないと感じていて、将来子どもは絶対に産まないと決めているといいます。 女性は「子どもはすごく好きで、見かけると『かわいいな』と目で追ってしまうほどですが、自分の奨学金を返さなければいけないのに、子どもの学費のことを考えたら産む想像もできないです。お金を借りなければ進学ができない人が多い現状を知ってほしいし、お金の不安や子どもの学費への心配が解消されないと考えは変わらないと思う」と話していました。
中央大学文学部のゼミで家族の在り方や少子化問題を学んできた学生たちに、国に進めてほしい少子化対策を聞いたところ、4年生の男子学生は「子育てにかかるコストは、みんなが不安を抱えている少子化の根本的な部分だと思うので、いちばん対策が大事なのかなと思う」と話していました。 そのうえで、別の4年生の男子学生は「財源がないのは承知しているが、子どもは国の将来に直接関わると思うので、未来に投資するために少子化対策にもっとお金を使ってほしい。漠然とした不安があるので、大きなインパクトのある大学の学費無償化などがあれば、前向きになれるのではないか」と話していました。 また、3年生の女子学生からは「子どもを産んでも仕事を諦めてなくていいような働き方の工夫が必要」といった声が上がるなど、安心して子育てができる環境づくりを求める意見が相次ぎました。 一方で、別の3年生の女子学生からは「漠然とした不安をきちんとことばにしないと政治家には伝わらないので、その不安を自分たちの中でも理解してことばにしていく必要があると思う」といった声も上がり、世代を超えてともに議論していく重要性も指摘していました。
そのうえで求められる対策として「児童手当の拡充など子育て家庭への支援も必要だが、経済的な理由から結婚したくでもできない人も増えているので、奨学金返済の軽減策など、若い人向けの対策も必要だ。いちばん不安が大きい高等教育の費用の負担軽減も、少子化対策の大きなポイントになる」と話しています。 そして「今の若者は働き方も含め非常に多様で、正社員どうしの夫婦もいれば、2人とも非正規で働くカップルも増えている。結婚しない人もたくさんいる。若い人の立場に合わせてきめ細かな対策を取らないと少子化対策にはならない。若者はこうだと決めつけるのではなく、さまざまな声を吸い上げて対策を打っていく必要がある」と話していました。
学生の半数が奨学金受給 返済に関する勉強会も
奨学金返済が壁 “将来子どもは絶対に産まない“
学生が求める“国に進めてほしい少子化対策“
専門家「多様な若者に合わせてきめ細かな対策を」