決勝は予選を通過した12人が、それぞれ3回滑り、最も高い得点で順位が決まります。
予選トップ通過の平野歩夢選手は1回目の滑走を終えた時点で9位でしたが、2回目に軸を斜めに縦に3回転、横に4回転する最高難度の「トリプルコーク1440」を決めるなど、4回転の大技を3つ入れて、91.75の高得点をマークし、2位に浮上しました。
そして、最後の3回目、それまでよりも高いエアに加え、再び4回転の大技を3つ入れて、2回目を上回る96.00をたたきだし、逆転で金メダルを獲得しました。
また、平野選手はソチ大会、前回、ピョンチャン大会の銀メダルに続く、3大会連続のメダル獲得となりました。
銀メダルはオーストラリアのスコッティ・ジェームズ選手、銅メダルはスイスのヤン・シェレル選手でした。
このほかの日本選手は、歩夢選手の弟の平野海祝選手が9位、戸塚優斗選手が10位、平野流佳選手が12位でした。
一方、過去3つの金メダルを獲得し、今大会を最後に引退することを表明しているアメリカのショーン・ホワイト選手は、4位でした。
【予選93.25】 (1回目)33.75(2回目)91.75(3回目)★96.00 「まだ実感があまりないがようやく小さいころの夢がひとつかなった。ここを取らずには終われないというところでずっとやってきたことを最後にすべて出し切れた」「2回目の得点に納得がいかず、その怒りを最後の滑りで表現できた。緊張ではないがいつもとは違う気持ちで思い切ってすべて出し切ろうとかなり集中していた」「家族や身近にいる人たち、そして応援してくれる人たちがあっての自分だと思う。納得いく滑りがみんなに少しでも届いて刺激になってもらえればそれ以上はないと思う」
【予選91.25】 (1回目)16.50(2回目)★92.50(3回目)47.75 3 ヤン・シェレル(スイス)=初メダル 【予選79.25】 (1回目)70.50(2回目)★87.25(3回目)7.50 4 ショーン・ホワイト(米)=前回含め過去3大会で金 【予選86.25】 (1回目)72.00(2回目)★85.00(3回目)14.75
【予選83.50】 (1回目)★81.75(2回目)25.00(3回目)20.00 6 バレンティノ・グゼリ(豪) 【予選85.75】 (1回目)75.75(2回目)★79.75(3回目)79.75 7 チェイス・ジョージー(米) 【予選69.50】 (1回目)62.50(2回目)23.00(3回目)★79.50 8 アンドレ・ヘフリヒ(独) 【予選75.00】 (1回目)13.25(2回目)★76.00(3回目)50.00 9 平野 海祝(日本) 【予選77.25】 (1回目)★75.50(2回目)37.75(3回目)15.75 「目標にしていた最初のバックサイドエアは一番高く飛べたのではないかと思っている。記録より記憶に残ってもらいたいと思っていたが自分なりにめちゃくちゃよく決まった。ひと目で『うわ、高い!』と思ってもらえたと思う。兄ちゃんも金メダルをとって自分もすごく記憶に残りすごく楽しいオリンピックになった」「(兄の歩夢選手について)めちゃくちゃうれしかった。去年夏のオリンピックにスケートボードで出場してすごくつらいと言っていたがストイックにやっていた。毎日一緒にいてうれしいや楽しいだけではなくすごくつらい思いをたくさんしているところを身近で見てきたからこそ金メダルを目の前でとったのを見て感動して泣きそうになった。兄ちゃんとはきょうくらいゆっくり話したい」「次もまたその次もいけるところまで頑張ってやろうという気合いを兄ちゃんから受け取った。これからも高いエアを目標にしつつ兄ちゃんを超える勢いで頑張っていきたい」
【予選84.50】 (1回目)62.00(2回目)★69.75(3回目)26.50 「1本目と2本目をクリーンに決められず3本目で最後まで滑れなかったのが自分の弱さだと思う」「(平野歩夢選手について)決勝のあの場面でしっかり決められるのはすごいと思う。自分も決めて勝てる選手にならないといけない」「ピョンチャン大会と比べると成長できていると思うが、全体的な技の難度も上がっているのでもっと練習が必要だと思い知らされた」
【予選73.00】 (1回目)54.50(2回目)5.75(3回目)★69.50 12 平野 流佳(日本) 【予選87.00】 (1回目)★13.00(2回目)11.75(3回目)9.25 「予選の時はうまくいっていたがきょうは壁が少しだけ開いていて、そこを蹴ることとボードを回すバランスがうまくとれなかった」「予選はいい滑りができたので全体的に見たらけっこう楽しかった。1本目こけても2本目は立てるぐらいのメンタルはもうちょっとつけたい。次はこうならないためにもっと練習しようと思う」
きっかけは4年前。東京大会から新競技に採用されたスケートボードについて、平野選手は「スルーするわけにはいかない」と挑戦を表明し、二刀流をスタートさせました。 ところが、そのオリンピックはまさかの1年延期。スケートボードでオリンピック出場を実現したものの北京大会まで残された時間はわずか半年でした。 日本代表チームの関係者からも「さすがに間に合わない」とか「ブランクがありすぎる」といった不安視する声があがるほど無謀な挑戦と思われていました。それでも逆境こそが平野選手を奮い立たせました。 「『普通はこう思うよね』というところの逆をいくのが好きだから」と常々、話している平野選手はあえて代表選手たちとは離れ個人で合宿をして、短期間でスノーボードの技を徹底的に磨き上げました。 復帰直後は、感覚を取り戻せずなかなかうまくいきませんでしたが、人の2倍やることもあるという豊富な練習量で少しずつ以前の姿を取り戻していきました。今シーズンのワールドカップは3戦のうち2勝し、去年12月の国際大会では軸を斜めに縦に3回転、横に4回転する大技「トリプルコーク1440」を決めて世界を驚かせました。驚異的なスピードでトップレベルに戻ってきたのです。 「限界にチャレンジすることでその先にある景色が見えてくる」と話していた平野選手。誰もが間に合わないと考えた半年間を走り抜き、ついに金メダルを手にしてここまでの二刀流の挑戦を終えました。 今回の決勝は同じくスケートボードとの二刀流に挑戦し、過去3大会で金メダルを獲得したショーン・ホワイト選手の現役最後の試合となりました。二刀流から二刀流へ、世界的なスターからのバトンが平野選手に引き継がれました。
【最終順位】★=ベストスコア
“二刀流” 東京オリンピックからわずか半年で「金」