第1管区海上保安本部や自衛隊などが行方不明者を捜していますが、5日も現場海域の周辺は風が強く、波の高い状態で捜索は難航しています。
沈没した「KAZU 1」に取り残された人がいないか海上保安本部が水中カメラによる捜索も行いましたが、午後3時の時点で新たな手がかりは見つからなかったということです。
海上保安本部などはこのあとも、夜を徹して海上での捜索を続け、行方不明者の発見を急ぐことにしています。
一方、沈没事故をめぐって海上保安本部は業務上過失致死の疑いで捜査を進め、運航会社の社長から任意で事情を聴くなどして、安全管理体制に問題がなかったか引き続き調べています。
5日は漁業者など30人ほどが漁船4隻に乗り込み、午前5時半すぎから9時間余りにわたって知床半島の羅臼側まで回り捜したほか、半島の先端付近では漁船に同乗した斜里町の職員らが港から上陸して海岸を数キロにわたって捜索したということです。 5日はいずれも手がかりは見つからなかったということです。 ウトロ漁協では今後、定置網漁が本格化しても▽漁場への行き帰りや▽漁の合間にできる範囲で捜索を続けることにしています。 捜索の指揮をとった漁業者の古坂彰彦さんは「1人も見つけることができず申し訳ない気持ちです。要請を受けての捜索はきょうで終わりですが、あす以降もそれぞれ捜索を続けていきたいと思います」と話していました。
斜里町役場のウトロ支所で午後5時ごろから開かれた説明会には、乗客の家族およそ20人が出席し、国土交通省などが最新の捜索状況を1時間ほど説明したということです。 この中で、海上保安庁は、5日午後3時15分ごろから北方領土の国後島の西側の海域で新たに捜索を始めたことを伝えたということです。 国後島の西方沖では、先月27日に救命胴衣をつけて漂流する人をロシアの警備艦が見つけましたが、天候が悪く、救助できないまま見失ったということです。 このほか、説明会では、一斉捜索が5日で最後となった漁業者に対し、家族からこれまでの捜索に感謝する声が上がったということです。 説明会に同席した斜里町の馬場隆 町長によりますと、家族の1人は漁業者が5日朝捜索に出る前に港に駆けつけ、直接、お礼を伝えたということです。 馬場町長は「遺体が安置されていた町内の施設にはいまも花を手向ける人が絶えない。寄せていただいた祈りが届き、早く見つかるよう切に願っています」と話していました。
漁業者などによる一斉捜索 5日で最後に
国後島の西側海域での捜索開始 家族に説明 海上保安庁