こうした中、政府は22日、オスプレイ5機を10月1日に横田基地に配備すると、在日アメリカ軍から連絡があったことを発表しました。
オスプレイが、沖縄県以外の在日アメリカ軍基地に配備されるのは初めてです。
また、2024年ごろまでに、合わせて10機の体制にする計画で、今後、段階的に5機が追加配備されるということです。
新たに配備されるオスプレイは、主に特殊部隊の輸送に使われ、夜間でも地形を詳しく把握できる暗視装置などが備えられています。
配備の理由について、防衛省は「軍事上の機密で、詳細は明らかにできない」とする一方、「日本有事を含む各種事態の際に、偵察・情報収集や人質救出などを行うアメリカ軍の特殊作戦部隊の迅速な展開が可能になり、抑止力の向上につながる」としています。
また、オスプレイの事故やトラブルが相次いでいることから、基地周辺の住民に、安全対策など十分な情報提供を行って、理解を得たいとしています。
横田基地に配備されるCV22オスプレイとは
今回、横田基地に配備されるアメリカ空軍のCV22オスプレイは、沖縄に配備されているアメリカ海兵隊のMV22オスプレイと基本的な構造は同じで、主に特殊部隊の輸送に使われます。
夜間でも地形を詳しく把握できる暗視装置や、相手のレーダーを妨害する電子戦用の装備などが備えられています。
一方、2010年には、アフガニスタンでの作戦中に着陸に失敗して、兵士4人が死亡する事故が起きたほか、2012年にはアメリカ・フロリダ州で訓練中に5人が負傷する墜落事故も起きています。
このため、防衛省は、今後、関係自治体に配備計画を丁寧に説明していくことにしています。
福生市長「説明なく遺憾」
オスプレイの横田基地への配備がことし10月1日と決まったことについて、基地周辺の6市町でつくる「基地対策連絡会」の幹事を務める東京 福生市の加藤育男市長は「安全性について住民の不安を払拭(ふっしょく)するだけの説明がない中での正式配備であり、遺憾だ。6月以降は5機が常駐しているが、低空飛行や夜間の離発着も多く、市民は敏感になっている。アメリカ軍の司令官や防衛省には、安全性についての情報提供と日米合同委員会の合意を順守するよう繰り返し求めていく」と話していました。
これまでの経緯 横田基地周辺では
横田基地へのオスプレイの配備をめぐって、アメリカ軍は、アジア太平洋地域における安全保障上の懸念に対応するためとして、予定を前倒ししてことし4月3日にこの夏の正式配備の見通しを明らかにし、その2日後、5機が横田基地に飛来しました。
北関東防衛局によりますと、5機はこれまで、横田基地と各地にある基地との間を行き来しているほか、静岡県の東富士演習場などでの訓練に参加しているということです。
横田基地は都心からおよそ40キロの場所にあり、周辺は人口が密集した地域になっていますが、以前から、基地を発着する航空機の部品や訓練中のパラシュートの落下などが起きています。
基地周辺の自治体では、オスプレイの事故や緊急着陸などのトラブルが相次ぎ、安全性を懸念する声もあがっているとして、安全対策や訓練の内容、飛行ルートなどについて情報提供するよう国などに求めていました。
首都圏上空での飛行 増加か
オスプレイをめぐっては、東京の横田基地への配備に加え、千葉県木更津市にある陸上自衛隊木更津駐屯地に定期整備の拠点が設けられていて、今後、首都圏上空での飛行が増える見通しです。
木更津駐屯地の整備拠点は、陸上自衛隊が今後導入するオスプレイのほか、沖縄のアメリカ軍基地にすでに配備されている機体も受け入れることになっていて、防衛省によりますと、現在、沖縄に配備された2機が定期整備を受けているということです。
一方、陸上自衛隊は合わせて17機のオスプレイを佐賀空港に配備する計画で、このうち5機がことし秋に先行導入されますが、ことし2月に佐賀県で陸上自衛隊のヘリコプターが墜落する事故が起きたことなどから、準備が間に合わないとして、この5機を暫定的に木更津駐屯地に配備する方向で調整を進めています。
オスプレイの訓練先は
3年前の2015年にアメリカ軍が日本側に示した報告書では、今回、配備されるCV22オスプレイの国内での訓練先として、首都圏に比較的近い静岡県の東富士演習場や群馬県、長野県、新潟県などにまたがる訓練空域のほか、青森県の三沢基地近くの訓練場や沖縄県内の訓練場が挙げられています。また、国外の訓練先としてグアム島や韓国にあるアメリカ軍の基地も挙げられています。
防衛省によりますと、CV22オスプレイは、ことし4月に横田基地に飛来して以降、国内では、これまでに東富士演習場や沖縄のアメリカ軍嘉手納基地のほか、報告書で訓練先には挙げられていない埼玉県所沢市にあるアメリカ軍の通信施設などで離着陸を行ったことが確認されているということです。
防衛省は、報告書で示されている場所以外にも、国内のアメリカ軍施設などで訓練が行われる可能性があるとしていますが、具体的な情報は現時点で把握していないとしています。