Japanese News: 大相撲正代が大関昇進「至誠一貫の精神で」

大だい相撲すもうの正代しょうだいが30日にち、正式せいしきに大関おおぜきに昇進しょうしんし、伝達でんたつ式しきの口上こうじょうで「至誠しせい一貫いっかん（しせいいっかん）の精神せいしんで相撲すもう道どうにまい進まいしんして参まいります」と決意けついを述のべました。

日本にっぽん相撲すもう協会きょうかいは、東京とうきょう両国りょうこくの国技こくぎ館かんで11月つき場所ばしょに向むけた番付ばんづけ編成へんせい会議かいぎと臨時りんじ理事りじ会かいを開ひらき、正代しょうだいの大関おおぜき昇進しょうしんを正式せいしきに決きめました。

これを受うけて相撲すもう協会きょうかいの2人にんの使者ししゃが正代しょうだいと師匠ししょう代理だいりの枝川えだがわ親方おやかたが待まつ墨田すみだ区くの時津とぎつ風ふう部屋へやへ行いき、大関おおぜきへの昇進しょうしんを伝つたえました。

正代しょうだいは緊張きんちょうした面持おももちながらもはっきりとした口調くちょうで「謹つつしんでお受うけいたします。大関おおぜきの名なにはじぬよう、至誠しせい一貫いっかんの精神せいしんで相撲すもう道どうにまい進まいしんして参まいります」と決意けついを述のべました。

正代しょうだいが伝達でんたつ式しきの口上こうじょうに盛り込もりこんだ「至誠しせい一貫いっかん」という四よん字じ熟語じゅくご。“至誠しせい”には、「極きわめて誠実せいじつであること」や「この上うえない真心まごころ」という意味いみがあります。

正代しょうだいは、誠実せいじつさを貫き通つらぬきとおすことが「今後こんごの自分じぶんの生き方いきかたに当あてはまる」として、「至誠しせい一貫いっかん」の四よん文字もじに新しん大関おおぜきとしての決意けついを込こめました。

「至誠しせい一貫いっかん」 “相撲すもう道どうに対にたいして誠実せいじつに貫き通つらぬきとおす”

大だい相撲すもうで大関おおぜきに昇進しょうしんした正代しょうだいは会見かいけんで「大関おおぜきとしてたくさんの方ほうに憧あこがれていただけるような力士りきしを目指めざして頑張がんばっていきたい」と力強ちからづよく決意けついを述のべました。

正代しょうだいは、東京とうきょう墨田すみだ区くの時津とぎつ風ふう部屋へやで大関おおぜき昇進しょうしんの伝達でんたつ式しきを終おえたあと、父親ちちおやの巌いわおさん、母親ははおやの理恵りえさんなどとともに会見かいけんしました。

正代しょうだいは「とりあえずほっとしました」とそれまでの緊張きんちょうした面持おももちをやや緩ゆるめ、伝達でんたつ式しきでの口上こうじょうでの「至誠しせい一貫いっかん」ということばについて「これからこうなりたい、こういう風かぜに生いきたいという気持きもちを込こめてこのことばにした。相撲すもう道どうに対にたいして誠実せいじつに、貫き通つらぬきとおすという気持きもちを込こめた」と説明せつめいしました。

大関おおぜき“今いままで以上いじょうに精進しょうじん”

大関おおぜきという地位ちいについては、「今いままで以上いじょうに負まけられない地位ちいだし、いろいろな責任せきにんを伴ともなうものだと思おもうので、今いままで以上いじょうに精進しょうじんしていきたい」と責任せきにんの重おもみを感かんじている様子ようすでした。

正代しょうだいはかつて控ひかえめな発言はつげんから「ネガティブ力士りきし」と呼よばれて話題わだいになりましたが、少すこしずつ自信じしんを口くちにするようにもなり、「優勝ゆうしょう争あらそいをしたことや成績せいせきも伴ともなって、気持きもちのどこかで自然しぜんと口くちにするようになってきたんじゃないかと思おもう。目標もくひょうを口くちにすると自分じぶんにもプレッシャーがかかるので遠慮えんりょをしていたが、少すこしずつ口くちにしていこうかなという感かんじですね」とみずからの変化へんかについて説明せつめいしました。

一方いっぽうで、「さらに上うえの地位ちいを目指めざす意識いしきはあるか」という質問しつもんに対にたいしては「今いまの段階だんかいではまだ難むずかしいので、まずは大関おおぜきとして存在そんざい感かんを示しめしてからだ」と目めの前まえの目標もくひょうを見据みすえる姿勢しせいを崩くずしませんでした。

地元じもと熊本くまもとへ“少すこしでも勇気ゆうきづけられたら”

また、地元じもとの熊本くまもとで地震じしんや大雨おおあめなど災害さいがいが続つづいたことについて聞きかれ「ここ数すう年ねん、悪わるいニュースが続つづいていたので、元気げんきなニュースをお届とどけすることができたんじゃないかと思おもう。これからも活躍かつやくしてその姿すがたを見みていただいて、少すこしでも勇気ゆうきづけられたらなと思おもう」と話はなしていました。

そして、「大関おおぜきとしてたくさんの方ほうに応援おうえんしてもらい、憧あこがれていただけるような力士りきしを目指めざして頑張がんばっていきたい」と力強ちからづよく決意けついを述のべていました。

師匠ししょうの代理だいり枝川えだがわ親方おやかた「上うえを目指めざして」

正代しょうだいの師匠ししょうの時津とぎつ風ふう親方おやかたは、急性きゅうせいすい炎ほのおと診断しんだんされ、29日にち急きゅうきょ、手術しゅじゅつを受うけることになり、大関おおぜき昇進しょうしんの伝達でんたつ式しきとその後そのごの会見かいけんには、時津とぎつ風ふう部屋へやの部屋へや付つき親方おやかたの枝川えだがわ親方おやかたが代理だいりで出席しゅっせきしました。

枝川えだがわ親方おやかたは、「率直そっちょくにうれしい。こんな経験けいけんができると思おもっていなかったので、大関おおぜきにありがとうと言いいたい」と笑顔えがおで語かたりました。

そのうえで、「この半年はんとしで力強ちからづよさと自信じしんを持もつようになった。まだまだ上うえを目指めざしてほしい」と期待きたいしていました。

また日本にっぽん相撲すもう協会きょうかいの使者ししゃとして大関おおぜきに昇進しょうしんした正代しょうだいのもとを訪おとずれた鏡山かがみやま親方おやかたは、「強つよい大関おおぜきになってもらいたい。上うえを目指めざして頑張がんばってもらいたい」と今後こんごに期待きたいしていました。

正代しょうだいは時津とぎつ風ふう部屋へやの力士りきしとして、昭和しょうわ38年ねん春場所はるばしょで新しん大関おおぜきとなった豊山とよやま以来いらい、およそ57年ねんぶりの大関おおぜき昇進しょうしんとなりました。

元もと大関おおぜき豊山とよやまで先々さきざき代だいの時津とぎつ風ふう部屋へやの師匠ししょうの内田うちだ勝男かつおさんは、伝達でんたつ式しきに訪おとずれ「東京とうきょう農業のうぎょう大だいの後輩こうはいでもあるし、いい機会きかいを作つくってくれてうれしい。まっとうな相撲すもうで、立ち合たちあいでこそくなことをしない基本きほんに忠実ちゅうじつな相撲すもうは、双葉ふたば山さん関せきの時津とぎつ風ふうの師匠ししょうの教おしえがそうだった。今いまのような質実しつじつ剛健ごうけんの姿勢しせいを貫つらぬいて、これからも大おおきく成長せいちょうしてもらいたい」と喜よろこびを語かたるとともに、正代しょうだいに一層いっそうの活躍かつやくを期待きたいしていました。

現役げんえき時代じだいは正代しょうだいの兄弟子あにでしとして、引退いんたい後ごは時津とぎつ風ふう部屋へやの部屋へや付つき親方おやかたとして指導しどうしている元もと関脇せきわけ豊ゆたかノ島しまの井筒いづつ親方おやかたは、「私わたしも現役げんえき時代じだいに優勝ゆうしょうに絡からんだことはあったが、大関おおぜきは夢ゆめの話はなしだった。正代しょうだいは優勝ゆうしょうだけでなく大関おおぜき昇進しょうしんも果はたし、夢ゆめをかなえてくれた」と喜よろこびました。

今後こんごに向むけては「大関おおぜきより上うえの番付ばんづけがあるのだから、これからはどんどん欲よくを出だしていってほしい。自分じぶんの相撲すもうを取とれれば優勝ゆうしょうは2回かい、3回かいと増ふやしていけるのではないか」と激励げきれいしていました。

両親りょうしんも喜よろこび

正代しょうだいの会見かいけんには、地元じもとの熊本くまもとから駆かけつけた父親ちちおやの巖いわおさんと母親ははおやの理恵りえさんも出席しゅっせきしました。

巌いわおさんは、「最初さいしょは実感じっかんがわきませんでしたが、きょうこういう場所ばしょに来きて実感じっかんがわきました。今いままでどおりけががないようにしてもらいたいです」と喜よろこびを語かたりました。

理恵りえさんは、「偉業いぎょうを成し遂なしとげたんだなとしみじみと感かんじています。毎日まいにち、稽古けいこを頑張がんばって上うえを狙ねらっていただきたいです。やはり体からだのことをいちばん気遣きづかいますね」と話はなしていました。

口上こうじょうとは

大関おおぜき昇進しょうしんは、日本にっぽん相撲すもう協会きょうかいの使者ししゃが新しん大関おおぜきと師匠ししょうのもとを訪おとずれて直接ちょくせつ伝達でんたつし、新しん大関おおぜきは、受諾じゅだくする意思いしとともに大関おおぜきとしての決意けついを示しめす「口上こうじょう」を述のべます。

正代しょうだいのように「口上こうじょう」に四よん字じ熟語じゅくごを盛り込もりこんだ例れいは過去かこにも見みられました。

平成へいせいの大だい横綱よこづな貴乃花たかのはなは、平成へいせい5年ねんに大関おおぜきに昇進しょうしんした際さい、「今後こんごも不撓ふとう不屈ふくつ（ふとうふくつ）の精神せいしんで相撲すもう道どうに精進しょうじんします」と述のべました。

「不撓ふとう不屈ふくつ」は、「どんな苦労くろうや困難こんなんにもくじけないこと」という意味いみのことばで貴乃花たかのはなが横綱よこづな昇進しょうしんの際さいにも用もちいていました。

貴乃花たかのはなの兄あにの元もと横綱よこづな若乃花わかのはなが大関おおぜきに昇進しょうしんした際さいは、「今後こんごも一意いちい専心せんしん（いちいせんしん）の気持きもちを忘わすれず相撲すもう道どうに精進しょうじんいたします」と口上こうじょうを述のべました。

「一意いちい専心せんしん」は、「脇目わきめもふらず心こころを一ひとつのことだけに注そそぐ」という意味いみです。

一方いっぽうで、四よん字じ熟語じゅくごなどを使つかわない口上こうじょうもありました。

元もと横綱よこづな稀まれ勢ぜいの里さとが平成へいせい23年ねんに昇進しょうしんした際さいの口上こうじょうは「大関おおぜきの名なを汚よごさぬよう精進しょうじんします」という簡潔かんけつなことばでした。

去年きょねんの春場所はるばしょのあとに大関おおぜきに昇進しょうしんしたときの貴き景勝けいしょうは、「武士ぶし道どう精神せいしんを重おもんじ、感謝かんしゃの気持きもちと思おもいやりを忘わすれず相撲すもう道どうに精進しょうじんして参まいります」と述のべ、「武士ぶし道どう精神せいしん」という漢字かんじ5文字もじに思おもいを込こめました。

直近ちょっきんのケースだと、ことしの春場所はるばしょ後ごに大関おおぜきに昇進しょうしんした朝あさ乃山やまは、「大関おおぜきの名なにはじぬよう相撲すもうを愛あいし、力士りきしとして正義せいぎを全まっとうし一生懸命いっしょうけんめい努力どりょくします」と述のべました。

母校ぼこうの富山とやま商業しょうぎょう高校こうこうの校歌こうかの歌詞かしにある“愛あい”と“正義まさよし”に加くわえ、中学生ちゅうがくせいのころから使つかっていた“一生懸命いっしょうけんめい”という四よん字じ熟語じゅくごで決意けついを示しめしていました。

母校ぼこうの中学校ちゅうがっこうでは

正代しょうだいの地元じもと、熊本くまもと県けん宇土うと市しにある母校ぼこうの中学校ちゅうがっこうは、お祝おいわいムードに包つつまれました。

熊本くまもと県けん宇土うと市し出身しゅっしんの正代しょうだいは市内しないの鶴城つるしろ中学校ちゅうがっこうに通かよい、相撲すもう部ぶでは3年生ねんせいでキャプテンを務つとめ、個人こじん戦せんでも全国ぜんこく大会たいかいに出場しゅつじょうしました。

学校がっこうでは、30日にち朝あさ、大関おおぜき昇進しょうしんを祝いわって教員きょういんが紙かみに「大関おおぜき昇進しょうしん」と書かき、正門せいもん横よこの掲示板けいじばんに張り出はりだしました。

正代しょうだいの中学ちゅうがく時代じだい、相撲すもう部ぶで顧問こもんを務つとめた下田しもだ功いさお治ち教諭きょうゆは「活躍かつやくに元気げんきづけられるとともに県内けんないに希望きぼうを与あたえてくれた。角界かくかいに入はいると聞きいたときから活躍かつやくしてくれるだろうと期待きたいしていたが、力ちからをつけてくれた。おめでとうと言いいたい」と大関おおぜき昇進しょうしんを祝福しゅくふくしました。