ねらわれる持続じぞく化か給付きゅうふ金きん 申請しんせい代行だいこう持もちかけ投稿とうこう その手口てぐちとは

不正ふせいに受け取うけとった男性だんせい「みんな『コロナバブルだ』と言いっている」

実際じっさいに給付きゅうふ金きんを不正ふせいに受け取うけとったという男性だんせいがNHKの取材しゅざいに応おうじ、その手口てぐちを明あかしました。

関西かんさい地方ちほうに住すむ男性だんせいはことし6月つき、知人ちじんに「給付きゅうふ金きんを申請しんせいすれば100万まん円えんもらえる。手続てつづきは税理士ぜいりしが全部ぜんぶやる」と誘さそわれたといいます。

男性だんせいは事業じぎょうを行おこなっていないため持続じぞく化か給付きゅうふ金きんの受給じゅきゅう資格しかくはありません。

しかし、過去かこの職業しょくぎょうなどを知人ちじんにLINEで伝つたえると、税理士ぜいりしが作成さくせいしたという去年きょねんの確定かくてい申告しんこくに必要ひつような売り上うりあげ台帳だいちょうなどが送おくられてきたということです。

売り上うりあげ台帳だいちょうなどに記載きさいされていた職業しょくぎょうや収入しゅうにゅう、支出ししゅつなどはすべてうその内容ないようでしたが、男性だんせいは税務署ぜいむしょで確定かくてい申告しんこくを行おこなったあと、申告しんこく書しょの控ひかえを写真しゃしんに撮とり、振込ふりこみ先さきの口座こうざの通帳かよいちょうの写うつしとともに知人ちじんに送おくりました。

その後そのご、知人ちじん側がわがこの確定かくてい申告しんこく書しょとともにことしの売り上うりあげが減へったように装よそおううその書類しょるいを提出ていしゅつして持続じぞく化か給付きゅうふ金きんを申請しんせいしたとみられ、1週間しゅうかん後ごには口座こうざに100万まん円えんが振り込ふりこまれました。

男性だんせいは手数料てすうりょうとして30万まん円えんを知人ちじんに手渡てわたし、その後そのごも5、6人にんの知り合しりあいを紹介しょうかいしたということです。

男性だんせいは「何なにもしなくてもカネがもらえるならやったほうが得とくだと思おもった。去年きょねんの確定かくてい申告しんこくも赤字あかじで税金ぜいきんが発生はっせいしないようにうまく調整ちょうせいしてもらえる。持続じぞく化か給付きゅうふ金きんは審査しんさも緩ゆるく、みんな『コロナバブルだ』と言いっている」と話はなしていました。

「持続じぞく化か給付きゅうふ金きん」必要ひつよう書類しょるい少すくなく手続てつづき簡素かんそ 4兆ちょう4000億おく円えん支給しきゅう

「持続じぞく化か給付きゅうふ金きん」は、新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで売り上うりあげが大おおきく落ち込おちこんだ事業じぎょう者しゃを対象たいしょうに資金繰しきんぐりを支援しえんするもので、中小ちゅうしょう企業きぎょうなどは最大さいだい200万まん円えん、個人こじん事業じぎょう主ぬしには最大さいだい100万まん円えんが支給しきゅうされます。

ことし1月つき以降いこう、特定とくていの月つきの売り上うりあげが前まえの年としの同おなじ月つきより50％以上いじょう、減へっていることが条件じょうけんで窓口まどぐちが混雑こんざつするのを避さけて、迅速じんそくに支給しきゅうするため、オンラインで受け付うけつけています。

申請しんせいの際さいには確定かくてい申告しんこく書しょや売り上うりあげが減へったことを示しめす台帳だいちょうなどの書類しょるいのほか、振込ふりこみ先さきの金融きんゆう機関きかんの通帳かよいちょうの写うつし、運転うんてん免許めんきょ証しょうなどの本人ほんにん確認かくにん書類しょるいのデータを送信そうしんする必要ひつようがあります。

しかし、ほかの助成じょせい金きんや給付きゅうふ金きんなどと比くらべると必要ひつような書類しょるいは少すくなく手続てつづきが簡素かんそ化かされていて、スマートフォンで撮影さつえいした書類しょるいの写真しゃしんを送信そうしんすることも認みとめられています。

申請しんせいが認みとめられれば、2週間しゅうかんほどで現金げんきんが口座こうざに振り込ふりこまれます。

中小ちゅうしょう企業庁きぎょうちょうによりますと申請しんせいに不審ふしんな点てんがなければ、申請しんせい者しゃに問い合といあわせたりすることはなく原則げんそく、給付きゅうふしているということで、先月せんげつ28日にちまでにおよそ340万まん件けん、4兆ちょう4000億おく円えんが支給しきゅうされたということです。

SNS上じょうには不審ふしんな勧誘かんゆうの投稿とうこうも「最大さいだい100万まん円えん 手数料てすうりょうは10％」

SNS上じょうには持続じぞく化か給付きゅうふ金きんの申請しんせいを代行だいこうすると持もちかける不審ふしんな勧誘かんゆうの投稿とうこうが相次あいついでいます。

持続じぞく化か給付きゅうふ金きんは中小ちゅうしょう企業きぎょうやフリーランスなどの個人こじん事業じぎょう主ぬしが支給しきゅうの対象たいしょうになっています。

しかし、SNS上じょうでは「学生がくせい、主婦しゅふ、無職むしょく、会社かいしゃ員いんの方ほう必見ひっけん！コロナに対にたいする持続じぞく化か給付きゅうふ金きん案件あんけんです！最大さいだい100万まん円えんもらえる手続てつづきを行政ぎょうせい書士しょしの先生せんせいが代行だいこうします！手数料てすうりょうは成功せいこう時じの10％のみ！」などと受給じゅきゅう資格しかくがない人ひとでも給付きゅうふ金きんを受け取うけとれるかのような投稿とうこうが確認かくにんできます。

また、別べつの投稿とうこうには札束さつたばのイメージ画像がぞうとともに「簡単かんたん手続てつづきで短期たんき（1週間しゅうかん程度ていど）で100％給付きゅうふ金きんいただけます。どんな状況じょうきょうでも大丈夫だいじょうぶです」などと書かかれていて誰だれもが給付きゅうふ金きんを受け取うけとれるかのように誤解ごかいさせる内容ないようになっています。

このツイートに対にたいして、中小ちゅうしょう企業庁きぎょうちょうは「事業じぎょうを行おこなっていない方ほう向むけに、それを知しりながら持続じぞく化か給付きゅうふ金きんの申請しんせいを支援しえんする行為こういは、犯罪はんざいに当あたりますので、御ご注意ちゅういください」と返信へんしんしていました。

大学生だいがくせいや会社かいしゃ員いんが逮捕たいほされる事件じけんも

「持続じぞく化か給付きゅうふ金きんの不正ふせい受給じゅきゅうをもちかけられた」という相談そうだんは全国ぜんこくの消費しょうひ生活せいかつセンターに相次あいついで寄よせられています。

国民こくみん生活せいかつセンターによりますと、売り上うりあげが落ち込おちこんだ事業じぎょう者しゃに支給しきゅうされる「持続じぞく化か給付きゅうふ金きん」のトラブルなどの相談そうだんは9月つき30日にちまでに全国ぜんこくでおよそ690件けんに上のぼっています。

最近さいきんはSNSやLINEなどを通をつうじて「持続じぞく化か給付きゅうふ金きんの不正ふせい受給じゅきゅうをもちかけられた」という20代だいから30代だいの学生がくせいや会社かいしゃ員いん、主婦しゅふなどからの相談そうだんが多おおく寄よせられているということです。

このうち30代だいの女性じょせいは、無料むりょう通話つうわアプリで「特定とくていの会社かいしゃを通をつうじて申請しんせいすればサラリーマンや無職むしょくでも持続じぞく化か給付きゅうふ金きんが受け取うけとれる」ともちかけられたほか、20代だいの男性だんせいは知人ちじんから税理士ぜいりしを名乗なのる人物じんぶつが参加さんかするメッセージアプリのグループに招待しょうたいされ、「架空かくうの売り上うりあげ台帳だいちょうを税務署ぜいむしょに持もって行いって確定かくてい申告しんこくし、申請しんせいすれば給付きゅうふ金きんをもらえる」と言いわれたということです。

そして2人にんはいずれも「給付きゅうふ金きんの一部いちぶを手数料てすうりょうとして支払しはらう必要ひつようがある」などと要求ようきゅうされたということです。

「持続じぞく化か給付きゅうふ金きん」は事業じぎょうを行おこなっていない学生がくせいや会社かいしゃ員いんなどに受給じゅきゅう資格しかくはなく事業じぎょう者しゃと偽いつわって申請しんせいすると刑事けいじ罰ばつを問とわれる可能かのう性せいがあり、実際じっさいに給付きゅうふ金きんをだまし取だましとったとして大学生だいがくせいや会社かいしゃ員いんが逮捕たいほされる事件じけんも各地かくちで相次あいついでいます。

国民こくみん生活せいかつセンターは、「不正ふせい受給じゅきゅうは罪つみに問とわれる可能かのう性せいが高たかく不審ふしんな勧誘かんゆうには絶対ぜったいにのらないでほしい。電話でんわで口座こうざ番号ばんごうやマイナンバーなどを聞きかれても絶対ぜったいに教おしえないでほしい」と注意ちゅういを呼よびかけています。

中小ちゅうしょう企業庁きぎょうちょう 対策たいさく強化きょうか 氏名しめいの公表こうひょうや刑事けいじ告発こくはつも

中小ちゅうしょう企業庁きぎょうちょうは持続じぞく化か給付きゅうふ金きんの不正ふせい受給じゅきゅうが相次あいついでいる状況じょうきょうに危機きき感かんを強つよめています。

ことし6月つきからは不正ふせい受給じゅきゅうの調査ちょうさを行おこなう専門せんもんの職員しょくいんを配置はいちするなど対策たいさくを強化きょうかしているほか、事業じぎょうを委託いたくされた業者ぎょうしゃも不正ふせい受給じゅきゅうの手口てぐちを蓄積ちくせきしてリスト化かするなどして審査しんさを強化きょうかしています。

中小ちゅうしょう企業庁きぎょうちょうによりますと給付きゅうふ金きんの受給じゅきゅう資格しかくがない学生がくせいや会社かいしゃ員いんなどがSNSなどで勧誘かんゆうされ、「個人こじんで事業じぎょうをしている」などと偽いつわって申請しんせいするケースが多おおいと言いうことで、不正ふせいな勧誘かんゆうをするSNS上じょうの投稿とうこうには「不正ふせい受給じゅきゅうは犯罪はんざい」などという警告けいこくメッセージを発信はっしんする取り組とりくみも進すすめています。

不正ふせい受給じゅきゅうを見みつけた場合ばあいには支給しきゅう額がくに年とし3％の延滞えんたい金きんを加くわえ、その合計ごうけい額がくの20％をさらに加算かさんした額がくの返金へんきんを請求せいきゅうするほか氏名しめいなどを公表こうひょうし、悪質あくしつな場合ばあいは刑事けいじ告発こくはつする可能かのう性せいもあるということです。

中小ちゅうしょう企業庁きぎょうちょうの担当たんとう者しゃは「軽かるい気持きもちで不正ふせい受給じゅきゅうの勧誘かんゆうに乗のってしまうケースが目立めだつが不正ふせいが見みつかれば厳きびしく罰ばっせられる。スピーディーに支給しきゅうするために手続てつづきを簡素かんそ化かしているが、不正ふせいは絶対ぜったいに許ゆるしてはならず警察けいさつと連携れんけいしながら徹底てっていした調査ちょうさを行おこなっていく」と話はなしています。

専門せんもん家か「不正ふせいを見抜みぬくのは難むずかしい」

元もと国税こくぜい調査ちょうさ官かんの根本ねもと和彦かずひこさんは、「持続じぞく化か給付きゅうふ金きんは事業じぎょう者しゃの救済きゅうさい措置そちなので、迅速じんそくに給付きゅうふするために手続てつづきや書類しょるいが簡素かんそ化かされていて、去年きょねんの確定かくてい申告しんこくの書類しょるいとことしの売り上うりあげ台帳だいちょうがあれば申請しんせいできる。税務署ぜいむしょなどで不正ふせいを調しらべる場合ばあいには確定かくてい申告しんこく書しょを数すう年ねん分ぶん並ならべて不審ふしんな動うごきがないかを見みていくが、情報じょうほう量りょうが少すくないと不正ふせいを見抜みぬくのは難むずかしい」と指摘してきしています。

そのうえで「過去かこの確定かくてい申告しんこくの履歴りれきや、事業じぎょうの届け出とどけでなど行政ぎょうせいが持もっているデータをつきあわせれば怪あやしい申請しんせいを浮き彫うきぼりにすることができる。給付きゅうふのスピード感かんは必要ひつようだが、事後じごのチェックはちゃんとやるということを広ひろく伝つたえ、不正ふせいを抑止よくしすることが必要ひつようだ」と話はなしています。